表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/35

1. 婆サマは十一歳

こんにちは、新連載です。どきどきです。

本日、三話までを投稿いたします。

その後は週末に投稿して行く予定です。

どうぞよろしくお願いします!


 前世を思い出したのは、十一歳で初潮がきたときだった。この世界でも生理ってあるのか、めんどくさいな……、と思った時だ。


「ん?この世界?」


 って感じ。


 最初は、どこかで読んだ小説の内容をぼんやり覚えてる、みたいな感じだったけど、少しずつポツポツと思い出した。忘れてしまったことも多いけど、そのうちひょっこり思い出すこともあるのかもしれないな。


 いやいや、私、孫が複数人いたお婆ちゃんだったんだよ!!もうすぐひ孫だって生まれるはずだった。


 息子は可愛いお嫁さんを連れてきてくれたが、結婚してからも夫婦してひーひー言いながら真面目に働いても働いても生活に追われてる状態だったから、孫たちは私が育てたようなもんだった。まあ、私らの子供世代は大体みんなそんな感じだったので、孫たちは別に拗ねたりグレたりせず、いい子たちに育ってくれた。孫馬鹿じゃないぞ。本当だ。

 特に下の孫娘は私に懐いていてくれて、高校生になっても一緒に買い物に行ったりゲームしたり、あの子の好きなアイドルの追っかけを一緒にしたりしてた。で、


「あ、これ、えーとなんだっけ、あの子がやってた、名前は思い出せないけど、あのゲームだ」


 ここが孫娘がやっていたゲームの中の世界だと、気がついたというわけです。


 しかもだよ。


 私の、この容姿。この声。この境遇。

 そのゲームの主人公の女の子と、そっくりなんだよなあ。

 ピンクのふわふわ髪、薄桃色の瞳、よく通る声。我ながら滑舌も謎にいい。


 徐々に前世の記憶が甦るにつれ、ユーウツになった。ゲームの内容はあまり覚えてないけど、どんどんと私は主人公の子と同じになっていく。記憶が戻ってきはじめた頃と前後して、位は高くはないけど相当裕福な、ヨーエンギーという貴族に今世の母が後妻に入り、お義姉様とお義父様と義弟ができて、お義姉様には婚約者がいて、その方は第三王子の側近候補で。


 あぁ、ゲームと一緒。ここで主人公として暮らしていくの?ユーウツ。


 ユーウツにもなるでしょ。だって、ゲームでは、主人公は次々と見目いい高位の男子生徒たちと知り合って、恋愛していくんだよ。中には、婚約者がいたりするキャラクターもいるのに。時代ってスゲーと思いましたよ、あの時は。でもそれを、自分が?


 無 理 で す ! !


 前世では爺さんとだって見合いだった私。それも、最初に会ったのが見合い、二度目も親同伴で会い、三度目は結納の席。だから恋愛らしい恋愛もしてこなかった。それがだよ、攻略?婆が!?


 そもそも、攻略対象とやらも多分、孫より若いよ、覚えてないけど!恋心なんて持てないって!

 それに、彼女さん、もしくは婚約者さんがいる時点で、もう無理です。古い固い頭なんだよ、すみませんね。


 記憶が戻る前から、私は「ばあちゃん気質」だった。近所の子には、よく言えば「落ち着いてるね」、口が悪いヤツは「婆クサい」「年寄りじみてる」なんて言われて、そういう性格かと思ってたけど、前世の影響もあったらしい。そういや、料理人の父さんのお店で、お客様に「おやしゃいも、ちゃんとたべなきゃダメでしゅ!」「のこしたりしたら、バチがあたりゅんでしゅ!」とか言ってたらしい。そんな幼児、怖。ほとんどホラーだ。


 でもね、せっかく、ゲームの中だろうがなんだろうが、また人生を生きてるわけなんだから、あんまりゲームには囚われずに、恋愛は置いといて楽しく過ごすことにした。憧れだったんだよね、すごく足が速いとか、外国語を流暢に話すとか、難しい問題をスラスラ解くとかさ。自分もできるようになれるかも、って、すごい!私、前世では中学しか出てないんだ、すぐ働きに出たから。婆の年代では、そこまで珍しいことじゃなかったよ?調理師をもう長いことやってたんだ。



 少しずつ記憶が戻っていく中で、こっちでも頑張りましたよ。若い脳みそや体は理解も習得も早いから、練習とか勉強とかするのも楽しいし。お婆ちゃん的に常識はずれなことじゃない限り、色々やってみました。「楽器を弾きこなす」と「美しい絵を描く」は早々に挫折したけど。今世も芸術とは無縁らしい。くすん。




 困ったこともあったよ。一番の頭痛の種は母さんかな。「お母様って呼びなさい」って言われてもさ。なんかもう有頂天になっているのがミエミエで、我が母ながらちょっと、いやだいぶ引いてたんだよね。


 そもそも貴族のお義父様と、髪結をしてた母さんはどうやってか愛し合ってたらしいんだけど、身分違いだから引き離されて、母さんは料理人をしてた父さんと、お義父様は婚約者だった前妻である奥様と結婚「させられた」んだってさ。ツッコミどころが多すぎるけど、まずは。


 婚約者いたんかーい、お義父様!それなのに母さんと恋仲になってたってこと!?


 いや無理。古くて固い頭には無理。時代が違うとか世界が違うとか(文字通り)、理性が感性に言い聞かせてもやっぱ嫌なものは嫌だ。


 婚約中から浮気するようなお義父様と、よく結婚したもんだ、前の奥様は。しかもだよ、三人もお子様を残されたんだよ。残念ながらその後は出産されるもお子様は生き延びられないことが続いて、とうとう七人目の出産の際に奥様も命を落とされてしまったんだって。元々体の弱い方だったらしい。その時のお子様も助からなかったんだって。


 ちょっとお義父様の意図を感じるのは婆だけかな?もう男の子もいるのに体の弱い奥様をその後も何度も妊娠させてさ、案の定、出産で母子共に亡くなられてさ、そんな悲劇があったのに、直後に嬉々として母さんを迎えに来てさ。婆の勘繰りすぎかな?

 お義姉様にはご存命の弟が二人いて、私と同い年の上の子はまだ赤子の頃にヨーエンギー家の本家に養子に行って(え、なんで?)、二つ年下の子は騎士の養成学校に割と幼少から放り込まれてほとんど帰ってこないんだって。前の奥様に似て体が丈夫じゃないのにだよ!お義父様ってば鬼畜。それにさあ。


 跡取りはどうすんのよ、跡取りは!

 ま、さ、か、私に婿でも取らせて継がせる気じゃないでしょうね!断固拒否!!


 と、口で言っても私の意思なんて、母さんとお義父様の二人ががりですぐにペッシャンコにされるだろう。なんとかしなきゃ。


 そう決心した十一歳の暑い日でした。




ーーーーーーーー

ありがとうございました。あと二話、本日投稿します。よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ