表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

詐欺によく会う青年

作者: 木崎 咲

光一「ふぃ~。終わったぁ~。あ~。疲れた」


乙女「お疲れ様です。おじさんくさいですよ、先輩」


光一「しょうがないでしょ。だって4件だよ? 今週で。まだ水曜なのに」


乙女「それを全部一人で、ですもんね。さすが出世頭。先輩の業績、すごいことになってますよ? いい加減私にもコツとか教えてくださいよ。何をしたんですか?」


光一「いやー。偶然だよ。偶然」


乙女「またそうやって誤魔化す。偶然がそんなに続くわけないじゃないですか」


光一「いやほんと、たまたまなんだって」


乙女「も~。その冗談は聞き飽きました。ね~。どうやってるんですか~」


光一「おっと。今日は午後休でね。おじさんは退散させて貰います。おつかれさんでした~」


乙女「あ。コラ! ……もう。またこのパターン。また1件追加かなぁ」


場面転換 自宅

チャイム音


光一「ん? はいはーい」


ドアを開ける


詐欺師1「こちら、真鍋光一様のお宅で間違いないでしょうか?」


光一「真鍋光一は私ですが……。どちらさんです?」


詐欺師1「失礼。私、こういうものでして」


名刺を差し出す


光一「……はぁ。役所の方ですか。あぁ、すみません。中へどうぞ」


詐欺師1「失礼いたします」


移動


光一「それで、本日はどのようなご用件で?」


詐欺師1「誠に申し訳ございません!」


光一「お、おおぅ?」


詐欺師1「我々のミスで真鍋様の個人データが流出してしまいました」


光一「…………マジか」


詐欺師1「誠に申し訳ございません。真鍋様は既に個人データカードを発行されておりますので急ぎ新たなカードへと取り換える必要があります」


光一「郵送とかでは出来ないと?」


詐欺師1「ええ。既に個人データカードの利用は停止していますが、流出させてしまったデータがデータですので直接参りました」


光一「ほう。なるほど」


詐欺師1「誠に申し訳ありませんが、個人データカードを預からせていただきたく」


光一「分かりました。ちょっと取ってきますんで少々お待ちください。あ。飲み物いります?」


詐欺師1「いえ。お気になさらず」


部屋を離れる。


光一「えっと、確かここに。お。あったあった」ガサゴソ


部屋に戻ってくる。


光一「すみません。お待たせいたしました」


詐欺師1「いえ。こちらこそお手数をおかけして――――」


ガチャン。と手錠がかけられる。


詐欺師1「―――え?」


光一「えー。13時32分。詐欺罪で現行犯逮捕します」


詐欺師1「……は? え? けい、さつ?」


光一「そうですよ。お巡りさんです」


詐欺師1「はぁ!? おまっ。ラーメン屋のバイトじゃねぇのか!?」


光一「……名前まで調べてるのに何でみんな僕をラーメン屋のアルバイトって勘違いするの? どこの真鍋さん?」



場面転換

職場(警察署)


光一「お疲れ様で~す」


乙女「あ。先輩お疲れ様です。後ろのは詐欺師ですか?」


光一「正解。よく分かったね~」


乙女「そりゃ分かりますよ。今週5件目ですね」


光一「今日は午後休だった筈なんだけどなぁ」


乙女「今日『も』、ですよね?」


光一「そうなんだよね。これ、働いた扱いになって有休消化されないんだよ。パトロールしてたことになる。いや、とても良いことなんだろうけどね」


乙女「実際してたから捕まえたんでしょう? 流石ですね先輩。ところで詐欺師を見極めるコツは―――」


光一「あー。取調室に行かないとー。じゃまた。あ、後、明日はまるっと休むから」


乙女「了解です。いい加減ちゃんと有休消化してくださいね。上から『先輩に言っといて』って私に来るんですから」


光一「あはは。僕も取りたいよ」


場面転換。翌日


光一「さて。昼ご飯を……」


電話がなる


光一「はい。もしもし?」


詐欺師2「もしもし、オレオレ。オレだけど」


光一「…………どちら様?」


詐欺師2「オレだよ。声でわかるだろ?」


光一「…………あぁ。光二? どうした?」


詐欺師2「いやー。実は会社でミスして……ちょっと金欲しいんだけど……」


光一(はぁ。誰なんだろうね光二って。そんな人知らないんだけど。えーっと。逆探知機は――――)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ