祭り 終
夏が終わったぁああああああああ!!!
◆◆◆
──ゾクリッ!
「……? 久保のヤツ、まだ何か企んでいそうだな?」
背筋を這うような悪寒に、警戒を強める。
『主! こんな所で何を──は! まさかまた何かあったので!?』
「ん、ナイナイ。言うなら、ちょっと釘を刺そうとしてただけだ」
『…………釘を?』
何を想像したのか、首を傾げるキメラに苦笑しつつ、オレもキメラに問いを投げる。
「お前こそどうしたんだ? モンスターに飲み込まれた社長を助けに行ってたが……もういいのか?」
『あ、はい! それなら飲み込んだモンスターの腹を【自主規制】して救出しました!』
ぉ、ぉおう……どうりで塗れてるワケだ。血に。
「そ、そうか! 調子も良さそうだが、身体とかも大丈夫か?」
『はい、問題ありません!』
どうやら本当にいつもの調子に戻ったらしい。
その事に安堵していると──、
『あの、主! 実はその、主にお願いしたい事があるんですが……』
──と、改まった様子でキメラはオレに告げる。
そのまま「続けろ」と、無言で促すと……緊張した面持ちのまま、キメラは話しを続けた。
『主……私が「捕食」したコトで消滅したモンスター達を、元に戻す事は可能ですか!?』
そう、真剣に問うて来る。
──それは、つまり。
「それはつまり、お前が『捕食』したコトで消滅したオレのモンスターを元に戻せるか。と言う事か?」
キメラの能力『捕食』は──実を言うと、二つの効果がある能力だ。
一つ、敵に使うコトで自身の能力値を一時的に増加させHPを回復させる効果。
一つ、味方に使い、その味方を消滅させる事で自分の能力値を永久的に増加させたままにする効果。
……今回、キメラが言っているのは味方を消滅させる方のコトだな。
思えば──最初の頃に、めっちゃモンスター捕食われたっけか。懐かしいなぁ〜。
『はい。戻せるのでしょうか、主?』
どこか不安そうに訊いてくるキメラ。
──ぶっちゃけると、クッッッソほど面倒だが多分できる。面倒だが!!!
消滅したモンスターのランクもそれ程高くはないし、再度捕獲する方が楽だと言える。
だが──。
「多分できる。が、何故そんな事を今になって訊いてくるんだ?」
…………あー、オレ……キメラが、何を言うか、思ってんのか分かっちゃったわ。
消滅したあのモンスター達も、オレのモンスターだ。代わりなんて何処にも居ない。
『私が消滅させたあのモンスター共も、主のモンスターです。代わりなんて何処にも居ない──だから!』
──ほらな?
まぁ、いつかはやろうと思ってたし丁度良いか。
『えと、消滅させた私が言うのも何ですけど……元に戻して欲しい、です』
罪悪感からか下を向くキメラに、オレは一つ息を吐き、悪戯っぽく笑いながら、告げる。
「──全くだ。昔のお前は勝手にモンスターを捕食するし、手加減も出来ないしで苦労させられたよ」
『ぅう……あの時は、まだ感情面が未成熟で……本当に申し訳ありませんでした、主』
すっかり項垂れてしまったキメラに、オレは言葉を続ける。
「そんなお前と一緒に居て、その成長を見る事が出来て嬉しい限りだ」
『──え?』
コレが子の成長を見守る親の気持ちなのかねぇ? あー、なんか泣きそうだわオレ。
「だから、オレからの謝罪と──お前の成長祝いってコトで一つ。プログラム開発と同時にやるか!」
──半ば血反吐を吐き散らしそうな作業になりそうだけど、ソコはアレだ。根性で何とかしよう。
主たるもの、我が子の願いくらい5徹エ●ドリチャージで叶えてやらぁよ!!!
■■■〜〜〜おまけ 苦行風景5徹目〜〜〜■■■
「──ぅう、あぁぁ………………」
『主ファイトです! はい、3秒チャージどうぞ!』
「あー、ぅーーわ?」
『はい! パッと見、異常ありません! 流石は主です、さすある!!!』
「だーだーぁー?」
『大丈夫ですよ主! ほぼほぼ抗体プログラムの強化の方は完了してます!」
「うぅーーー! ぁーばーあぁーーー!」
『あ、そう言えば主! 主が気に入っている雌からスイーツを食べに行かないかとお誘いがありましたよ!』
「──嘘やろ? あと雌って言わない」
「すげぇッッッ! あの先生の蒸発した理性が一瞬で戻りやがった!!!」
「いや久遠違う。オレの理性が戻って嬉しいのかもしれないけど、今は関心するトコでも無いから!」
『因みに、あの雌と二人きりというのは気に食わなかったですけど──主には休んで欲しかったので特別にOKしました! 着替えも準備出来てます!』
「嘘やろ??? (二回目)」
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■■■〜〜〜お知らせ〜〜〜■■■
今年のホラー企画にて『黄鳳伝 〜帰り道 還る路〜』を投稿しましたので、ぜひ見ていって下さると嬉しいです( ^ω^ )
次回予告──『学校祭編』開幕!!!
…………何で挟みで入れた『夏編』が一番長くなったんだろうか?