祈りの弾丸
■■■〜〜〜前回のあらすじ〜〜〜■■■
(正気に戻す為に)──殴ったね……親にも尻ぺんされた事しか無いのに…(・ཀ・`)<アリガトウゴザイマス!
◆◆◆
「き、如月さん……? すみません、大丈夫ですか?? あと、そのッ、し、正気に戻りましたか!??」
「──うん。意識飛んだけど大丈夫です綾ちゃん様。では急ぎキメラに抗体プログラムをぶち込んで正気に戻しますね!」
「社長さんどうしよう、まだちょっとダメっぽいです!」
「ホントに未来で何見て来たんだよ、先生……」
「もうこの際放っておきなさい! 口調キモくなってもやるべき事はするでしょ!!!」
ティアマトちゃんとワイバーンでキメラに応戦している社長が吼える!
──口調キモいって酷くない? こちとら甘味乃化身様の機嫌を損ねない様、必死なのに……。
でもまぁ、確かに今はやるべき事をすべきか。
「パラサイト──銃形態!」
そうパラサイトに指示し、キューピットの弓的な形態になったパラサイトに抗体プログラムの弾丸をセットする!
──未来のオレは言っていた、弾丸をキメラの『本体』に撃ち込め……と。
キメラは一匹の『本体』に、無数の『分体』が集まったモンスターだ。
つまり……オレを真似たあの姿も、『擬態』によって一人の人間に見えているだけで、実際は虫の群れや巣に近い。
──その中から、一匹の『本体』を狙い撃て……と。
渡された弾丸は一発、ミスは許されない。
そして未来のオレのあの言い方からして、恐らく『分体』に当たっても効力は無いのだろう。
しかも、『本体』の位置は決まってすらいないし……何なら常に移動していると、この前──キメラ自身が自慢げに話していた。
──簡単な話し、軍隊アリっておるじゃろ? その巣の中に居る女王アリを、弾丸一発で撃ち抜いて下さい。
そう、言われたのと同じだ。
ハッハッハッ……笑える『挑戦』だろ?
──まぁ、未来のオレに出来たんだ。現在のオレに出来ない言われは無い。
それに、男って生き物はな……無茶振りされると、逆に燃えるモノだろう?
◆◆◆
「今から範囲攻撃するので、社長達は巻き込まれないようにモンスターを退げて下さい」
この『挑戦』を成す上で、先ず必要なのは──『擬態』の解除だ。
いくらオレでも、『擬態』によって人間同様の見た目をされてたら何処に『本体』が居るのかなんてまず解らん。
だが──この『擬態』という能力には……いや、こればかりはキメラというモンスターには──と、言った方が正しいか。
キメラには明確な弱点が存在する。それも複数な。
その一つが──
「ジャバウォック、シャドウゴーレム……『咆哮』!」
──『音』だ。
音とは空気の振動。故に、大きな音を……大きな振動を多少の方向性を持たせた上でぶつけてやれば──。
『………………ッ』
一匹、一匹は小さな虫である集合体は……その振動に耐えられず、一時的に結合が崩れて──『擬態』が解除される。
……久しぶりに見たな、まるで人間の浮かび上がった影のような……あの姿を。
『…………ッ……ッッ』
遠目から見れば、人影そのものだ。
だが、パラサイトで強化されたオレの視覚には──はっきりと虫達の姿が見て取れる。
「──フェアリーちゃん、凍風!」
『了解! いくわよ、そぉれ!!!』
……『擬態』を解除したなら、後は──その動きを最大限に鈍らせる!
キメラの二つ目の弱点──『寒さ』を使ってな!
さっきも言ったが、キメラは『虫』なのだ。だからこそ、寒さにはめっぽう弱い。
──ボロボロ……と、少しずつキメラの身体が崩れ、その動きが止まる。
その瞬間を見逃さず銃を構え、全神経を視覚に総動員して『本体』を捜し……そして──見つけた!
位置にして、ちょうど人間の心臓部。其処に、キメラの『本体』が居る。
「…………キメラ──『頼む』、戻って来い!!!」
──何故、だろうか……引き金を引く、その瞬間──オレの口からは、そんな祈りにも近しい言葉が、無意識の内に紡がれていたのだった…………。
見てくれてありがとうございます!! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします( ´∀`)