未来
■■■〜〜〜未来〜〜〜■■■
『──よぉ、待ってたよ……オレ』
「それはどうも、オレ……」
意地の悪い笑みを浮かべたまま、『オレ』は片手を上げ言ってくる。
「自分に言うのも変だけど、余裕がありそうな所とか、何でも知ってそうな所とか……何か腹立つわ」
『安心しろよ、昨日のオレもそう思ったから』
──まぁ、喧嘩しに来たワケでも無いし……とっとと用事を済ませて、元の時間に戻ろう。
「で……ブツは?」
『ちゃんと用意してある──半日もあれば余裕で作成できるぞ。ほら、オレって天才だし?』
あーはいはい、そうだねぇ。才能だけは有るからねー。
──ウンザリしながらも、半透明の青い弾丸を一つ受け取る。それにしても……。
「……抗体プログラムまで実体化してんのかよ。マジでオレの作るモノってどうなってるワケ?」
『──さぁな? オレに言われても困る』
まぁ……そうでしょうね?
「この抗体プログラムの使い方は?」
『形状通りだ。ソレをキメラの「本体」に撃ち込め──出来るだろ、「ハンター」?』
揶揄う様に訊いてくる未来のオレ……やっぱり腹が立つなぁ〜?
「お前に出来て、オレに出来ないワケ無いだろ? 余裕だ」
『そりゃそうか。まぁ、頑張れよオレ』
ふむ……用事は終わったから、もう未来に用はないのだが──このまま帰るのは何か腹立つし、余計な事だろうが一言言っておこう。
「そっちこそ頑張れよ? まだなんだろ、スイーツ地獄」
『──ウッ!!?』
お? 何だ、急に未来のオレの顔色が真っ青に──
『オレ……というより、未来のお前だけどな…………何とかスイーツ地獄から逃げられないかと──時間跳躍で、更に未来へと跳んだんだよ……未来で、何見たと思う?』
………………4んだ魚の目とは、ああいうのを言うんだろう。プルプルと震えてまでいる。
マジで怖いのだが──未来の自分の事だし、気になったので……オレは未来のオレに話すよう促す。
──そして、後悔した。
『急性甘味中毒起こして──入院してたんだ──それも、意識不明の重体で…………担ぎ込まれたって……ッ』
■■■〜〜〜現在〜〜〜■■■
再び、クロノスの時間跳躍を使い……元の時間へと帰って来た。
──どうやら、千尋さん達は無事『楔』を守り通してくれたらしい。感謝する。
「あッ!? やっと帰って来たわね!」
「先生!!!」
「ふぅ……漸く一息吐けそうだ」
「それでキメラたんを元に戻す抗体プログラムは入手出来たのでござるか!?」
「如月さん! おかえりなさい!!!」
「──ひッッッ!!?!?」
戦闘に集中していたであろう皆様に、矢継ぎ早に声を掛けられたのだが……最後。
甘味乃化身にお声を掛けられた瞬間、オレの喉さんは思わず引き攣った悲鳴を上げる。
「え? あの、如月さん……???」
「はい、何でございましょうか綾ちゃん様……!」
人間、恐怖を憶えた相手には従順になるらしいから……コレは仕方ない。うん。
──オレに出来る事は、如何にしてこの方を怒らせず……不快にさせず、地獄の回避方法を探るか…それだけだ!
「この度は、私めの様なゴミ屑野郎の為に貴重なお時間を割き楔を守って下さり誠に有難う御座いました……」
「え……急にどうしたんですか如月さん!!?」
「未来で何を見て来たんだね?」
「先生! 今はそんなお礼の言葉よりもキメラを──!」
そんなお礼の言葉より……だと?
「──久遠てめぇ! お礼は大事だろうが、綾ちゃん様がオレみてぇなゴミ屑糞野郎なんかの為にわざわざ動いて下さったんだぞ!?? いつからそんな人に感謝が出来ない人間になったんだ! そんな子に育てた覚えはありませんよ!!!」
「いや感謝は大事だけど……!? いやそもそも育てられた覚えは──」
「社長さん大変です! 如月さんが何かおかs──こ、壊れました!!!」
「──はぁッ!? 壊れたってどういう──ああもうコッチは虫ちゃんの攻撃でそれどころじゃないのよ! 適当に頭シバいたら多分直るからそうして!!!」
その言葉が終わるや否や、綾ちゃん様はノールックでオレの頭に──へぶッッ!!?!?
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