VS 黙示録 (終)
◆◆◆すまんな佐藤……!!◆◆◆
…………うん。面倒臭いな!
仕事中ならまだ真面目に相手をするんだが──オレ、もうシフト終わってるからさ……。(只今、17:10)
「──さぁ! 正々堂々と掛かって来たまえ!!」
このノリにも飽きたし……千尋さんはご臨終してるし。
……それに、綾ちゃんとの約束だってある。
今日はもう良くないか? モンスターやアイテムだって売れたし、店じまいしても誰も文句を言わんでしょ?
佐藤ツインズ以外の黙示録連中もオネンネしてる(させた)し……このまま放置しておけば、千尋さんが上手くやってくれるだろうしな。(←丸投げ)
………………結論、オレ要らなくね?
要らないよね? うん、要らない!!(←断言)
──つーワケで、佐藤には悪いのだが、戦闘を端折らせてもらおう!
スマンな佐藤! この会社、残業禁止なんだ!!
◆◆◆BOM◆◆◆
「──まさか怖気付いたワケではあるまい! さぁ、モンスターを出したまえ!!」
佐藤はノリノリで告げる。だが──悪いな佐藤!!
オレはスマホを操作し、一つのアイテムを取り出す。
……手榴弾にも似たコレの名は『BOM』!! まぁ、ゲームで言うところの『即死アイテム』である!
野生モンスターを即座に消滅させる為、経験値などは入手できないが……PvsP(PvP)においては『一撃必殺の武器』となる! (尚、アイテムなどは入手できない)
──防ぎたい場合?? 一部のモンスターが持つ『無敵スキル』や『無敵付与スキル』を使ってください☆
つーかそもそも、PvPには使わないで下さい。嫌われちゃうゾ☆
……だが戦闘が面倒であり、且つ、アイテムや経験値が要らない場合は容赦無く使うが良い!! 気分がスッッッとするからな!!
「──そぉれ☆」 (°▽°)つ=●
まず一投!! 狙うはレヴィアタン……お前だぁ!!!
──別に避けても良いよ〜? その場合、BOMは大窓から外へ落下し……デカいから場外に召喚されたベヒモスに当たるだけだからネ☆
「ッ!? アイテムかッッ!!?」
佐藤は驚きの声を上げるが──ダメッすよぉ? ちゃぁんとモンスターに指示をしてあげないとぉ〜??
オレの投げたBOMはレヴィアタンの腹部へと見事ヒットし、レヴィアタン……何もする事無く、凝縮されプチッと……消滅したのである。
──あ、BOMって名前だけどコレ別に爆弾じゃ無いから。爆発はしないよ? そもそもとして、爆発物をこんな場所では使っちゃダメでしょ?
「んなッッッ!?!!? れ、レヴィアタン!?!??」
驚いている暇なんて無いよぉ〜?? そぉら二投目だ!!
「──せぇい☆」 ( ^ω^ )つ=●
再びBOMを取り出し、次のターゲットは大亀──貴様だぁあああッッ!!!
「またかッ!? き、君は私と戦う気が無いのかね!?」
──無いとも!! 有るのは早くこの残業を終わらせたいという欲望のみ!!!
「えぇ〜、真面目に戦ってるじゃないっスかぁ」
無論、大嘘である! 真面目にやるなら最低限モンスターは使うわ。
──はい、そうこうしてる間に……ベヒモス、BOMにより消・滅☆
「〜〜〜ッゥウ、ふ、巫山戯るなぁ!!!」
あ、佐藤がキレた。
「──如月さんッッッ!?」
オレに掴み掛かろうとする佐藤に、綾ちゃんは声を上げる。
おっとパパン大人気が無い。プレイヤーに直接攻撃しようとは……プレイヤーの風上にもおけないな佐藤は!!
…………え? オレ?? オレは良いんだよ!!!
「あ〜ッ! お客様おやめ下さい〜! キメラさんヘルプお願いしま〜す!!!」
(つД`)ノ <オタスケ〜!!
『次があれば、主のお仕事中にどうぞ! グッナイ!!』
ボギャッッッ!!! ──って……これ、首から鳴っちゃダメな音なんじゃないの??
「──あふんッッッ!!!」
佐藤の悲鳴もヒデェな!!?
オレと佐藤(父)の間にキメラは割り込み、そして皆さん大好き『手刀』により……佐藤、呆気なくオネンネである。
◆◆◆(( _ _ ))..zzzZZ◆◆◆
──さてと、
「いやぁ〜、待たせちゃってゴメンね〜。それじゃあ、行こっか☆」
漸く残業も終わり、オレは綾ちゃんに笑顔で告げる。
「……へ? あ、はい…………??」
対する綾ちゃんは、理解が追いついていないのか……終始、目をパチクリさせているのだが──可愛いので何も問題ない!
……現に、自分の父親が厨二病拗らせ相手モンスターに手刀かまされてオネンネしただけだ。ノープログレム!!
後は、キメラとの話し合いだが……どうせならもう一緒にやってしまおう!
「キメラも来い。今日は頑張っていたからな」
オレは笑顔のまま、キメラに言う。
『ッ、はい! 主の荷物、持って来ますね!!』
あーあー、あんなに嬉しそうにしてまぁ……説教されるとも知らずに。
──飼い犬騙して、散歩中に動物病院へと連れ込む飼い主みたいな気分だわオレ。
◆◆◆そういえば……◆◆◆
「──あの、如月さん?」
ちょうど会社から出た瞬間、綾ちゃんが何やら少し迷ったような顔で話しを切り出して来た。
「ん、どうしたの?」
──いやまぁ、何を言いたいのかは大体察しがつくんだけどね?
アレでしょ? 会社の事でしょ??
「……えっと……、良いんですか? 会社、このままで?」
ほらね?
『良いのでは? 今の社長室なんて風通しが最高ですよ。あと、出入りも楽になりましたし』
……せやな。お前は確かにそうだろうなぁ。
でもなぁ、それじゃあ千尋さんが納得しないのよ。
──心底嫌だし、気乗りもしないが……発狂し暴れ狂う社長よりはマシだ。
なので、
「まっさかぁ。ちゃんと『元に戻す』よ」
……ずっと隠れさせていた『奥の手』──その一匹をお見せしよう!
「──『ジャバウォック』、スキル解除」
そう命令した瞬間、まるで鏡のように……世界が蜘蛛の巣状にひび割れ、少しずつ砕け散ってゆく。
「──え!? へ、ぇえ!??!?」
砕けてゆく世界に重なっていたかのように、割れ散る『偽物』の景色を『本物』の景色が塗り替える……。
「な、なななッ!? 何ですかコレ!!?!?」
目の前の透明な硝子が割れ、その向こうの景色がより鮮明に映るように──偽りの世界はその姿を消していった。
「──どう、ビックリした? 実を言うと、綾ちゃん達がエレベーターに乗った瞬間をトリガーに、事前にモンスターのスキルを発動させていたのでした!!」
ドッキリ大成功☆ ってね!
「発動させていたジャバウォックのスキル──『鏡界』の効果は、範囲内の『プレイヤー』と『モンスター』を特殊な空間へと取り込み、閉じ込めること」
──まぁ、アレだ……一言で言うなら、バトルフィールドだ。めっちゃ使える。
「このフィールドからは、今みたいにスキルを解除しないと出られないし──スキル発動時にこのスキルの範囲外に居ようが、一度でも範囲内に入ったのなら問答無用で相手を取り込めるんだよ」
つ・ま・り……☆
「……つまり、綾ちゃん達はオレのモンスターが作った空間内で戦っていたってこと。その証拠に──」
オレは会社の最上階、社長室を指差す。
「──壊れて……ない……」
驚きが一周したのか、綾ちゃんは呆然と言葉を溢す。
「そういうこと☆ それに綾ちゃん達さ……エレベーターに乗ってから、社長室に着くまでの間に誰かと遭遇ったりした?」
「…………そういえば……誰とも……」
「でしょ?」
つまり、オレ達がどれほど暴れていても……本物の会社への被害は無かったってこと。無論、汗水流して働いておられる方々にもな!
『さすある(訳:さすが主です)!!』
キメラはオレを称賛してくれるが、褒めても説教はするからな?
「いくらオレでも、真面目に働く人の邪魔はしないよ」
あ、但し(不真面目は除く)と追加しておこう。
「……と、いうワケで会社は無事! 何にも問題無いし、早く綾ちゃんオススメの喫茶店に行こうか」
会社は無事だよ。その内部は知らんけど……少なくとも、問題児と帝王、あと黙示録が居るのは確かだ。
まぁ、少なくとも仕事終わりに社長室行こうっていう物好きは居ないだろう……居ない、よな?
──今の社長室の中は混沌だから気をつけろよ。って、声掛けた方が良かったか? あーでも、ウチの会社の奴らなら……勝手に何か察して社長を放置して帰りそうだし問題無いか。うん!
夕焼けに染まる街中を……二人と一匹は歩いてゆく。
──一切、会社を振り返る事無く……な。
■■■〜〜〜オマケ〜〜〜■■■
:(;゛゜'ω゜'):!?!!??!?
「──『ギャラクシープレミアムパフェ』を一つ、『エターナルオベリスクジャンボパフェ』も一つください。あと、『ストロングプリンパフェ』、『ルナΩパフェ』、『ソルαパフェ』も一つずつお願いします!」
何ソレ!? さっきから綾ちゃんはいったい何の呪文を唱えてるの!??!?
『ふむ……この「ロイヤルデラックスプレミアムソフトタワー(蜂蜜味)」というのを主と私、二人分お願いしたい』
──キメラまで!? つーか何ちゃっかりオレの分まで頼んでんの!!?!? オレ、甘い物って嫌いじゃないけど……それほど好きってワケでもないんだよな……。
「あ、それなら私も──『ウルトラサンシャインエターナル(太陽味)』を如月さんの分も含めて二つお願いします!」
──含めないで!!!?!? ていうか太陽味って何!?
『あ? それなら私だって「エクストラブリリアントジャイアントゴッドソフト」を主と私、二人分お願いする!!』
お前マジふざけんなよ!? 何を張り合って──、
「それなら私は『クイーンジュエリーエベレストウォールパフェ』を如月さんの分を入れて二つお願いします!!!」
──綾ちゃんまで!!??!?
「は、は〜い……し、暫きゅ──いえ、暫くお待ちちちちちちちちちちちちちちちち¥$$♪☆○*〒〆!?!!?」
店員さんマジすいません!!! 立ったまま高速振動晒す程のヤベェ注文なんですね……ウチの可愛い連れと虫がゴメンなさい!!!
──責任持って、食うし食わせますんで営業妨害でサツを召喚するのだけは勘弁して下さい!!
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ΣΣΣ((((;゜Д゜))))))) ナ、ナン…ダト!?!!?
…………オレは今、何を見ているのだろう???
「う〜〜〜ん、美味しい〜〜〜ッッッ!!!」
『ふむ、なかなかイケますね……』
涙目の店員さんによって次々と運ばれてくるデザート? を、一人と一匹は瞬時に平らげてゆく。
──コイツらの胃袋はどうなっているんだ?? しかも体型が一切変わっていないだと!??
おかしい……いや、本当におかしいって!! なんで自分の体格以上の量を平然と完食できるの!?
──え? これオレがおかしいの??
まださ、キメラはモンスターだからこの世界の法則が通用しないんだなぁ。って、ギリ思えるけど…………綾ちゃん?
綾ちゃんはモンスターじゃないよね? 人間だよね??
どうしてキメラ以上に食ってるのに、そんな輝くような笑顔をしてられるの??
「あれ? 如月さん、全然食べてませんけど……どうかしました??」
──ッ!? 全然食べてません……だと?
これでも身体中の穴という穴から、クリーム噴出させそうになりながら食べてんスけど??
『主、もしや体調が優れないのでは?』
──そりゃあね! こんな量のデザート食わされてたら体調も悪くなるわ!!
いや、美味しいけども!!! 量がおかしいのよ!!!
『ほら、此方など大変に美味で食べやすいですよ? アーンして下さい』
──おい虫……テメェ、意思疎通はどうした?? 態とか? 虐め?? やめて、それ以上オレにクリームを近付けるな!!
「あ! キメラさん狡い!! 如月さん、コレも凄く美味しくて食べやすいですよ!! はい、アーン!!!」
──ひッッッ!!! いやぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああ……あぁ……ぁ……。
見てくれてありがとうございます、是非ともブクマなどを宜しくお願いしますm(_ _)m