Ｇとカナブンに違いなんてあるの？
◆◆◆カクカクシカジカ……◆◆◆
「──成程ねぇ？ そりゃあアンタが悪いわ！！！」
「確かに……Ｇと間違うのは…………」
「はい…………キメラさんが可哀想です」
もうやめて！！！ 言葉は凶器になるって知らないの、この子達（約一名はいい歳）は！！？！？
さっきから……チクチクブスブスと！ 悪気があったワケでも、態と間違えたワケでも無いんです！！！
──あの、アレだよ！ ちょっと目がぶっ壊れてただけなんだよぉッッ！！！
「それに言っちゃうけど、別にそれほど似てなかったわよね？ あの虫ちゃんの分体とＧって？？」
「え？」
「それはまぁ……はい。キメラさんの分体は、どっちかと言えばカナブンみたいな見た目でしたから」
「──え？」
「それは正直、オレも思った。鈴木さんとの戦いの時にチラっと見えただけだが……」
「…………えぇぇ？？」
いや、あの──。
「──Ｇとカナブンなんて殆ど見た目同じじゃないですか。呼び方の違いだけで、見分けなんてつかんよ？？」
◆◆◆
「あーーー、まぁ、アンタの目は壊れてるって事でＯＫ？」
と、呆れた顔を向けて会話をぶった斬ってくる社長……解せぬ。
だが──。
「ま、まぁ……こういうのは価値観？ センス？？ の、問題っすから！」
「は、はい！ 今は、キメラさんと仲直りする方法を考えるべきかと！！！」
──と、久遠と綾ちゃんが気遣って全力でフォローしてくる。
それも、顔が少し引き攣っているのだが……え？ 普通の人はカナブンとＧの違いって理解るモノなの？？
いや、寧ろ──カナブンとＧに違いなんてあるの？ 原種がＧで、その亜種がカナブンみたいなモノじゃん。
「？？？(-᷅_-᷄ )？？？」
「分かりやすく納得してない顔ね？ もうアンタにとっては、Ｇとカナブンは同じって事でいいわよ……何言っても平行線だろうし」
──解せぬ……だが今は、キメラに御免なさいする方が確かに重要だ。
「………………理解りました。でも、問題はそれだけでは無いんですよ、実はキメラ……怒って、出て行っちゃったんですよね…………」
「──？ 普通に召喚すれば良いだけじゃない！」
そ、それはそう……なのだが…………でも……ッ！
「あー、女社長？ 一応、言っておきますけど……仮に召喚して、強制的に呼び出したりなんてすれば……間違い無く余計に拗れるっすよ？？」
「私もそう思います。この場合は、キメラさんが自分の意思で帰って来るのを待つべきかと……」
「──え、何で？？？ まどろっこしくない、それ？」
…………何で千尋さんの友達が少ないのか、理解ったわ。
だが、ふむ……キメラが自分の意思で帰って来て──仮に、オレが謝って許されたとしても……詫びくらいは用意すべきでは無かろうか？
それに千尋さん達との約束もあるし……彼処なら、詫びの品だって用意しやすい。
キメラも、直ぐには帰って来そうに無いし……いや、それはオレの所為だけど。
──一先ずは……！
「よし！ 取り敢えずは『祭り』に行きましょうか！！！」
………………この時のオレには、知る由もなかった。
オレのこの──安直な行動の結果、事態が余計に拗れてしまった事を……。
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