VS 黙示録6
◆◆◆_:(´ཀ`」 ∠):◆◆◆
「──何やってんスか? バ帝王佐藤さん??」
キメラの分体が離れ、クリアになったオレの視界には……何故か血みどろ状態の『黙示録』リーダーの姿が映る。
「綾との……デートな…ど……私は、決して──認めん……ぞ……!!」
──はぁ? デート?? 綾ちゃんと? 誰が?
つーか、社長室がエラい事になってんな……。
……大窓は割れ、その破片は床一面に散らばり……内装もボロボロ──うわ、カイザーが乗って来たっぽいモンスターも瀕死寸前じゃん……可哀想に。
「キメラ、オレ以外の奴らは?」
『──カイザーでしたっけ? を除けば、全員無事です! 主と同じように、私の分体を纏わせましたので!!』
オレの問いに、キメラは答える。
「……そうか。よくやった」
本当に良くやってくれた。それにしても……、
「──バ帝王さん、コレ、どういうつもりですか? ご自分の娘さんだって居たのに、親バカな貴方らしくもない」
何考えてんだ、この人? 下手すれば綾ちゃんだって怪我をしたかもしれないのに……?
まぁでも、取り敢えずは……バカイザーの怪我を治しておくか。勿論、有償でな。
「ふん! いくら君でも、相手が自分の恋人なら全力で護るだろう……? そうでなくとも、予め、綾には私のモンスターの『守護』スキルを掛けておいたがね!」
──そんで自分には守護スキルを掛け忘れましたって? 馬鹿じゃねぇの?? つーか、恋人??
「? 奇襲にしてもやり過ぎなのでは? 下手をすれば、死んでたかもしれないんですよ?」
……オレの作ったアプリで死人が出るとか冗談じゃ無い。
なので、少しだけ強く言わせてもらう。
「──はっ! 君を道連れに出来るのであればそれでも構わなかったがね!! 娘に集る毒虫が!」
…………は!? 毒虫!? え、なに!?? 今日のこの人、なんか物凄く当たりが強いんだけど!!?!?
オレ、何かしたっけ??
──綾ちゃんをノリノリで裏切ったり、財布にしたりはしたけど………………怒られるような事は何も……。
あ〜、でも……煽るのはちょっとやり過ぎたなぁ。
──まさか、その事で怒って突撃して来たのか??
「ぁあ……確かにその事はオレにも非はありますけど、何も命懸けでする事ですか? ちゃんと謝罪とお詫びだってしますよ?」
仕事終わりに、綾ちゃん行きつけの喫茶店で好きなだけ奢る約束だってしたし……本人もそれでチャラにするって言ってたけど?
「命懸けでする事、だと!? 当然だ!! 大切な一人娘なんだぞ!!? 誰が嫁になどやるものか!!!」
バカイザーは吠える!!
………………というか、嫁??
「あの、佐藤さん? その、さっきから恋人とか嫁とか──いったい何の話しっスか??」
なんかさっきから言葉のキャッチボールが出来ていないような気がするのは、オレだけだろうか?
「「「──はぁあああああッッッ!?!!? 君はこの期に及んで尚、トボけるつもりなのかね!??!? コレを観たまえ!!!」」」
そう言って馬鹿イザー、何故かオレに自身のスマホの画面を見せて──は??
◆◆◆( ゜д゜)!? 〜〜〜ゴリ社長→帝王〜〜〜◆◆◆
『ねぇ、佐藤』
『アンタの一人娘、如月に財布にされてるわよ?』
『つーか、今からデートに行くらしいけど……娘の相手、本当にアイツでいいの?』
『親としてどーなの? アンタも如月が金に汚いって知ってるわよね??』
『もしこのままデートに行けば……食事→カラオケ→ホテル→朝チュン』
『──に、ならない? 一気に恋人から嫁へ……』
『まだ中学生なんでしょ、娘さん。それが如月の毒牙によって……(ノ_<)』
『そしてそのまま、如月のAT──あぁ、いえ……財布として貢ぎ続ける事に……』
『ソコに愛は無く、如月は外にまた女をつくり……いやぁ! これ以上はとても私には耐えられない!!!』
『如月のシフトが終わるまで、あと十分!』
『如月を止められるのは貴方しかいないのよ佐藤!』
『だからはよ来い! そして如月を止めてぇえええ!!』
・
・
・
◆◆◆終了……(O_O)◆◆◆
「──えっと……なんスかコレ??」
……いや、本当に何これ!??!? 意味が理解らないうえ、なんでカラオケ→ホテルになるの!? 唐突過ぎるだろ!? 睡眠薬か? 睡眠薬を盛ったのかオレ!? そんでヤッちゃったのか!?!!? いくら何でもクズ過ぎるだろオレ!!! いや、やってないけどさ!!
「あのゴリラ社長からメッセージが来たから、負け惜しみでも送ってきたのかと思えばコレだ!! いったいどういう事かね如月くん!? 綾とのデートなぞ私は認めんぞ!!」
──いや、コレがどういう事なのか訊きたいのはオレの方なのですが??
つか、失敗したわ。こんな事になるなら、妨害電波を停止めるんじゃなかった!!
「…………キメラ、あのクソ社長ってどれ?」
『其処のヤツです。あ、もう分体を纏わせておく必要も無いので回収しておきますね』
キメラが自身の分体を回収する。
──あ〜、居た居たクソ社長!!
「む、虫が……虫が私の身体にウゾウゾって……! ッ!? つーか何よこの部屋の荒れようは!?!!?」
クソ社長が元気良く宣っておられる……ところ、大変恐縮なのだが──ッ!
「おいクソ社長……テメェ、名誉毀損って言葉知ってるか??」
──マジ巫山戯んなよこのクソ社長!! 有る事無い事馬鹿イザーに吹き込みやがって!!
「めーよきそん? ナニソレ美味シイノ??」
……ほぅ、それが答えか? あっはっは、ファッ★!!!
◆◆◆ジャーマン→逆エビ→四の字◆◆◆
「「「──ぃだいだだだだだだだだ無理無理無理無理無理無理むりぃ関節はそんな方向には曲がらないってばぁあああああああああッッ!!!」」」
「イケるイケる! 千尋さんならこのくらい余裕っスよ! さぁ、今度はもう少し──ふんッッッ!!」
「「「いだぁッッッ!!! ゴメンって!! もう許してッ! 二度としないからぁ!! だいたい財布にしてたのはホントじゃない!!! お詫びとか言ってるけどデートよね!? そんなモン、デート後の若人共なんてそのままホテルinからの朝チュンになるでしょ普通!?」」」
──何処の世界の普通なんだソレは!?
「……言いたい事はそれだけですか? ふんぬッッ!!」
「「「ああああああああああああああああああああああああああああああああああ──ッッッ!!」」」
◆◆◆制裁完了!◆◆◆
「ふぅッ☆ これに懲りたら、もう有る事無い事宣うのはやめて下さいね千尋さん!」
「…………………………」
──おや、どうやら少々やり過ぎてしまったようだ。ま、いっか☆
さぁて、問題は馬鹿イザーの方だが……ん?
「──綾、お父さんはな……お前に幸せになってほしいんだ!」
「あの、父さん? いきなり過ぎないかな、その話?」
……コッチはコッチで、何かややこしい事になってらぁ。
「好きだと思える相手が居る、それは素晴らしい事だがな──お前にそういうのはまだ早いんじゃないかと、お父さん思うな! 最近妙に、料理やオシャレについて勉強しているなとは思っていたが……悪い事は言わない、如月君はやめておきなさい! 顔と頭が良いだけだぞアイツは!」
──あら嫌だ、何かオレの話題が出てきた。
「べ、勉強の事はどうでもいいでしょ!? それに、如月さんとは……まだ……そういう関係じゃないし!! こ、今回だって! 如月さんと一緒にお出掛けするだけだもん!!」
綾ちゃんや……頬を真っ赤にしながらそれを言っても、説得力はありませんぜ?
「それが危険だと言っているんだ綾! 如月くんはとても頭が回る! お前なんか一瞬で奴に利用されてポイッ、だぞ!!」
……いや、オレ極悪人すぎん?? そこまでクソでは無いと思いたいんだけど?
「──そーだそーだ!」
「騎士様、悪い事は言いません……あの男だけはやめた方がいい! これは貴女の為に言っているのです!!」
「むしろオレと付き合って下さい騎士様! 三食昼寝付きで養いますから!!」
…………………………あ、ごめんちょっと待ってね。
「キメラ、其処のうるせぇ残党共を黙らせといて」
『はい! 了解しました主!!』
ふぅ……おまたせ☆ まったく、馬鹿も鳴かずば撃たれまいに。
「〜〜〜ッ!! そもそもお父さんには関係無いでしょ!? 如月さん、もうお仕事終わりましたよね!? サッサと行きましょう!!」
──おっとぉ? 何という急展開……だが、この流れはマズいとオレの直感が言っている!!
綾ちゃんは馬鹿イザーを無視してオレの手を引くが……、
「待ちなさい綾!!」
……それをパパン許さない!! というか、なんでオレを睨んでくるの!?
「くッ! それもこれも全ては君のせいだ如月くん!! 綾が反抗期なのも、『騎士』という二つ名を恥ずかしがるのも……嫁が『頭の病院行ってこい』と私に辛辣だったのも──全て!!!」
──いやそれは紛れも無くアンタの所為ですよ!? なに流れるように罪を擦り付けてきてんの!!?
つーか寧ろ、イタいアダ名を付けられてもアンタに付き合ってくれてる綾ちゃんに感謝しとけよ! 全く反抗期じゃねぇよソレは!!
「綾を君の魔の手より救い出す為にも! 私が君を討つ!」
馬鹿イザー、スマホを構える。
「──いでよ『ベヒモス』!! 終末の獣の力を此処に示すがいい!!」
そして、何かそれっぽい決め台詞と共にモンスターを召喚した。……頑張って台詞考えて来たんだろうなぁ。
「そして再び目覚めよ! ──『レヴィアタン』、大いなる海の化身よ!!」
あ、さっきオレが治療してやったモンスターが起き上がったわ。
……どうも社長室の強化ガラスをぶち破って瀕死寸前になっていた、あのドラゴン? が、レヴィアタンらしい。
えーと、ステータスは……。
『ランクL/ベヒモス (Lv 26)
(HP15378/15378)
(MP2964/2964)
(攻撃力 3684)
(防御力 6925)
(魔法力 1632)
(魔法防御力 5247)
・
・
・
{特殊スキル}
(特殊障壁)(守護)(加護/地)』
……ふむふむ、ベヒモスは盾役っと。レヴィアタンは?
『ランクL/レヴィアタン (Lv 25)
(HP8692/8692)
(MP5879/5879)
(攻撃力 5632)
(防御力 3541)
(魔法力 7531)
(魔法防御力 2583)
・
・
・
{特殊スキル}
(浮遊)(加護/水)』
──なるほど、魔法アタッカーか。でもこう考えると……強化ガラス強いな……?
つーか、オレ……今からこの二匹を相手取らなきゃいけないの? 面倒臭いのだが??
見てくれてありがとうございます、是非ともブクマなどを宜しくお願いしますm(_ _)m