意・思・疎・通……☆
■■■in 自宅■■■
「──おお、キメラか! お前帰ってたんだな、観光はどうだったよ??」
『はい! どうも主と入れ違う形になったらしく──一日千秋の想いで主のお帰りをお待ちしていました!!! 観光は楽しかったです!』
と、よほど嬉しかったのかキメラは『主〜!』と甘えて来る……いや、『来た』のだが。
オレの肩に乗った、自身の『分体』の姿を目視にて確認した瞬間──
『──ッッ!!?!?』
ピタリと動きを止め、一言。
先程までの甘声は何処へやら……ブリザードのような冷たいお声で、
『…………主、そちらの雌とはどういうご関係で? というか、誰ですかその虫は???』
背後に般若の様な何かを浮かばせながら、到底笑顔とは呼べない笑みでキメラは訊いてくる。
──はぇー、オレってばこんな顔も出来たんだ〜。
「じゃなくて──ッえ?! コレ、お前の分体じゃなかったのか!!?」
(二種類の)…恐怖の余り現実逃避しかけた自分を強制帰宅させ……逆に問う。
すると──
『知りません。それに、主が何処に行かれたのかは不明でしたので分体を送るなんて無理です不可能ですあり得ませんナッシングです……というより、気付かなかったのですか?』
キメラの声が、ブリザードを通り過ぎて絶対零度にまで到達する。
そして、オレのやっちまった感。
──伝わる? この感情。
そして、オレの脳に木霊する「Gにしか見えない」と言う社長の声。
オレの手には、其々『謝る』『謝罪する』『土下座』『切腹』……と、書いてある四枚の札が握られている。
──どうする!? どれにすれば良いんだ!!?
と、考えたのが良く無かった。
皆さんは覚えているだろうか、キメラのあの能力を──。
普段は無視しているのか、それともOFFっているのか……正直、役に立っているのか不明なあの能力。
その名も──意・思・疎・通……☆
つまり! オレの考え、全てダダ漏れ♡ \(^q^)/
──後は言わずもがな、理解るだろ?
キメラが、一瞬……顔をクシャリと悲しげに歪め、一言。
『──ッ、もう……いいです…………主の馬鹿ッ……!』
そう言って、キメラは擬態を解いたのか……無数の黒い粒子となって霧散した。
──その後、玄関のドアが開き……再び、閉じる。
恐らく、キメラが外に出たのだろうと思う。
………………オレ? オレは……。
「──こふ……ッ!」
心因性の原因で膝から崩れ落ち──玄関の床と熱い接吻を交わしたトコまでは覚えている。
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