石化事変11
◆◆◆緊急オペ開始◆◆◆
「──はぁ〜〜〜い、じゃあ深ーく吸って〜吐いて〜〜〜いきますッッ!!!」
『キャインッッッッッ!!?!?』
(訳:痛ッッッッッ!!?!?)
「はいはい、動かないでね〜」
「大丈夫っスからね! 先生が直ぐに治してくれるっすから頑張るんすよ!!!」
そーそー、大丈夫だからね〜〜〜。某、動物医療映画を全作網羅してるドクター如月に任せなさいって!!!
ちょっと痛いかもしれないけど……直ぐに悦く──間違えた。良くなるからね〜。
──ん? おっ!! 早速、腕ごと突っ込んだドクターパラサイトが何か掴んだようだ!
「そぉらよ!!!!!」
『アギャオンッッ!!?』
傷付けない様に丁寧かつ迅速に、掴んだモノを勢い良く引っ張り出す!
──『何か見覚えのある蛸足』──を入手した。
ん? 蛸……の…足……???
…………え? あ……いや、でも、蛸くらい何処にでも居るし……このサイズだって、う、海は広いから…ね?
まさか…………な???
◆◆◆
ち、違うって……。
──『見覚えのある蛸足』──を入手した。
そんなワケ無いだろ!
──『見覚えのある蛸足』──を入手した。
コレが、アイツのである証拠なんて何処にも無いじゃないか! 違ッ……
──『見覚えのある巨大な蛸の胴体』──を入手した。
『ル……ゲジュン、パ…………ブヂュ、ソン……ケ……?』
(訳:あ……しゅ、よ…………クラー、ケン……は……?)
あーーーーーッッッ……うん。今、証拠が第一子として産まれてきたネ! 元気な女の子ですよ!!!
──そして、第一子の存在から……アンフィスバエナさん(♂)のお腹には、第二子も居るだろう事が明らかとなった。いや、何なら……第三子と第四子も居る。
一先ず、四つ子か……まだ増える可能性も有るが、そりゃあ苦しいわ。
こりゃ長丁場になるぞぉ…。しかも餌の無敵が切れる前に、餌を出産させなきゃならん。
──ま、オレとしては別に……服や髪が少し溶けるくらいなら、全っ然構わないんだけどな?
◆◆◆
『キャ♡ ンギャワン♡』
(訳:あッ♡ もっと優しくして♡)
「──すみません、今、第何子目ですかコレ!?」
「あー、28子かしら……あ。29子になったわ」
第一子出産から、手を突っ込んでは出してを繰り返すこと──早30回近く。
まだ、餌が産まれてこんのだが……ホントに食われてんのかコレ!? あ、ちなみに第五子はもう出産済みだ。
「つーか、どんだけ食ってんだよ!!? ウワッ、溶けかけの鶏出て来た! 壁、パス!!!」
「──30子目確保! って、モザイクモザイク!!!」
「あ、でもだいぶお腹の方も凹んで来たッスよ! 先生、ファイトっす!!!」
──簡単に言ってくれるなぁ囮!!?
「そぉい!!!!!」
『キャイーーーーーーーーン』
(訳:産まれるーーーーーーーーッ)
「──ブハぁッッッ!!?!?」
掛け声と共に腕を引っ張り出すと──ドクターパラサイトは、服が溶けかけてる餌を体外へと引き摺り出した!
「──やっと産まれたッス!!! アンフィス母父さん、良く頑張ったっすね!」
「ホントに良く頑張ったわね! ドクター如月、ドクターパラサイトもお疲れ様!!!」
『ンギャルス、グルンスギャオ! アゲキャルギャルギャ」
(ありがとう、ドクター! 身体がとても楽になったよ)
「──ふぅ。今度からは変なモノを拾い食いしないように気を付けてくださいね!」
最後に確認がてら腕を突っ込んでみたが、うん。ドクターパラサイトが何も掴んで来なかった事が答えだろう。
「ぇ? え!? な、何でござるかこの大団円みたいな流れは??? いったい何が──」
と、一人困惑顔の餌に……オレは一言告げる。
呆れ顔で──。
「──餌さん、食われたのならちゃんと『食われた!』って言って下さいよ。報・連・相は社会の常識でしょうが、まったく何年社会人やってんだか……!」
「ぇ──? 嘘でござろう?? 木に吊るして餌にした張本人が、それを反省すらせずに逆に叱って来るとか……マジで言ってるでござるか? はぁ〜〜〜キレそう!!!」
と……何故かキレそうになっている餌を放置して、オレは壁と囮と龍に向かって、
「──よし、じゃあロッジに戻りましょうか!!!」
と、笑いながら声を掛けたのであった。
(完)
見てくれてありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(●´ω`●)
◆◆◆
──さて、長かった『石化事変』も終わり『夏編』もあと少しで終わるワケだが……ふと、オカメは思った。
(あれ? 噛ませのハズの『夏編』長ない???)
と──。
はい! 計画性というモノが皆無なもので……もう少しだけお付き合い頂ければ幸いです( ^ω^ )
ではでは、長ったらしい挨拶はここまでにして──
──次回、『夏祭り編』開幕!!!!!
ぜひ、見てくれよな_:(´ཀ`」 ∠):