石化事変2
◆◆◆
──ふむ……。
「先ず、状況ですけど……糞ほど悪いですね」
取り繕っても仕方無いので、キッパリと事実を告げる。
オレの言葉に、ロッジに集まった面々は不安そうな表情を見せるが……、
「具体的には? 何が糞ほど状況を悪くしてるの??」
……流石と言うべきか。千尋さんはそう問うてくる。
うんうん。肝が座ってるネ、さすがは社長!
「石像に──いえ、『石化』した奴らの中には上野や鈴木も居たと、オレはそう綾ちゃんと久遠から聞きました。それはつまり……『御守り』の有無は関係無いという事です」
「……御守りって、たしか『モンスター避け』の?」
空かさず、千尋さんが言葉を挟む。
「はい。あの御守りの効果範囲から考えて、『石化能力』を持っているそのモンスターは『遠距離』からでも相手を石化させる事が出来る──と、考えた方が良いでしょう」
──いやまぁ、モンスターじゃ無かったとかなら知らんけど……多分、モンスターだろう。そう仮定する!
そして──、
「問題はまだ有ります。そのモンスターの召喚者は誰なのか? 言っておきますけど、オレではありませんよ」
──いくらオレでも、そんなヤバいのを放し飼いにはしない。…………多分、しない。
え、してない……よな? 後でコッソリ確認しとこ。
「まぁ……アンタが本気で考察してる時点で、アンタがやったんじゃ無いって解ったわよ。疑ってごめんなさい」
──グッ……ほ、本当に何でこういう時だけ素直に謝って来るんだよ! いや、流石にしてない筈だ!!!
自分の記憶を信じろ、オレ!
「コホンッ──ま、まぁ……その事についてはもういいですよ社長。それに、糞な状況とは言えモンスターによる石化であれば『解除』することは可能です」
オレのその言葉に、ロッジに集まった面々は表情を明るくするが……すまんな。
一つ、大きく息を吐いて──オレは話しを続けた。
「ただ──問題なのは解除した『後』です。モンスターであれば何も問題は有りませんが、人間が石化から元に戻った時に、どんな『状態』で戻るのか? その生死については……残念ながら、オレにも解りません……」
◆◆◆探索準備◆◆◆
「──それでは、全員準備は出来ましたか?」
オレの問いに、全員が頷く。
まぁ……結局のところ、どんなに悩んでも事態は好転しないのだ──なら、行動するしか無いだろう?
「念の為に、もう一度確認するけど……佐藤コンビ率いるA班、アンタ達の役目は──」
「──ロッジに待機し、B班、C班、D班からの連絡を待つ事だろう?」
「連絡が有り次第、その情報を整理、そして即時に他の班にも共有する事……でしたよね?」
……そう、A班は拠点となるロッジに待機し……他の班との『橋』になってもらう。要するに、連絡係だ。
「はい。ですが、A班の役割は他にも有ります……『拠点』となるロッジの『守護』も忘れないように」
だからこそ、A班には最も人手を割く必要がある。
[A班/12人]
・まとめ役2人
・警備4人
・其々への連絡係として2人ずつ
[アイテム](1人につき各10ずつ配布)
・万能回復薬
・蘇生薬
・BOM
[モンスター]
・『石化耐性』持ちを内に4体。外へ10体配置。
・『石化耐性』&『石化解除スキル』持ちモンスターを1人1体ずつ配備。
と──まぁ、A班はこんなトコだ。
この際、出費がどうこう言ってられないしな……犯人め、纏めて請求してやるから覚えておけよ?
「うん──もう要塞ね! 今日ほど、如月が味方で良かったって思った日は無いわ!!!」
「そら人命が掛かってますからね。それに、死人が出たゲームで遊びたいとは思わないでしょ?」
配布したアイテム、『万能回復薬』はHPと共に、状態異常も同時に回復するアイテムだ。
つまり──石化状態も解除できる。
次に『蘇生薬』だが、言わずもがな。即時復活アイテムである。
……人にも効くのかなコレ? だとしたら、万能回復薬をぶっ掛けて石化解除→蘇生薬ブッパでワンチャンあるか??
いや、普通に生きてるかもしれないけどさ……最悪は常に想定しとくべきだろ。
◆◆◆
「はい。じゃあ次にB班、C班、D班の役割ですけど……」
「……まぁ、これは簡単ね。件の石化モンスターの発見と排除。後、石化した子達の治療と情報収集ね」
はい、わざわざ説明ありがとうございます。
[B班/5人][C班/5人]
・連絡係(班長)1人
・索敵2人
・回復2人
[アイテム]
(A班と同じ)
[道具](※は班長が所持)
・毛糸(色別)
(迷子防止)
※・閃光弾 (空に撃つタイプ)
(赤:ヘルプ/黄:発見/青:帰還)
[モンスター]
・『全体回復』&『無敵付与スキル』持ち2体
・『石化耐性』&『索敵スキル』持ち1体
・『転移スキル』持ち1体
・『石化耐性』&『耐久スキル』持ちモンスター2体
──まあ、こんなモンでいいか? いや、やっぱ攻撃系のモンスターも編成しとくべきか……でもそれだと、数が多くなり過ぎて混乱するだろうし…………。
一応、全員にBOMは配布してるしな。モンスターを壁にして、投げるなりするか?
「……ねぇ、如月? アンタこの島に何しに来たのよ??」
「? 遊びにですけど???」
何を今更。でもまぁ、こんな風に役に立つとは思わなかったけどな?
──あ、そういや忘れてたわ!!!
「あと、千尋さん(B班:班長)と久遠(C班:班長)に渡しておくモノがあるんでした! はい☆」
そう言って、オレは、超重要な道具を手渡す!!!
ふッ、大事に使ってくれよな☆
「──え?」
「…………何すか、コレ???」
二人が何か凄くアレな視線を送ってくるが、別に巫山戯てるワケじゃないからね?
コレでも、今回のオレは真面目なオレだから! 必要だから渡しただけで他意は──無い、からw
「何って──鼻メガネですけど?」
見てくれてありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(*´∇`*)