幕引き
◆◆◆〜〜〜女湯〜〜〜◆◆◆
「──あ"ぁ〜〜〜〜〜、生き返る〜〜〜!」
「はい……とても気持ちいいですね」
『d(^_^o)』
『うんうん! 温泉さいこーーーーーッッ!!!』
──ドガンッ、バキッッッ!
『腕の一本くらい安いモノでござる!』
『前衛部隊は一度後退し、隊を立て直せ! 後衛部隊は前へ!!! 混沌龍をヤれ!』
「…………アイツら、何やってんのよ?」
「さぁ?」
『( ^ω^ )?』
『見て来てあげよっか? オバさん』
「──ファ●ク、結構よ羽虫ちゃん♡ (´∇`#)」
『まぁ……ぶっちゃけた話し、コチラを覗こうとしておられるだけなので無視しておけば宜しいかと…………』
『え? それってイザナギくんも女湯を覗こうとしてるってコト?? 浮気よね、それ!??』
──メシャッッ! グチャボキャバキッッッッッ!!!
『ッ!?? 違うぞイザナミちゃん! まだ未遂だ、覗いてないセーフだノー浮気!!!』
『確かに……「まだ」……覗いてないからね?』
『──シッ! キューピッド貴様少し黙っておれ!!!』
「ッッ!!? キューピッド様!?」
『──それって覗こうとはしてたって事でしょ!?? イザナギぃいいいいいいいいいいいいいいいッッッ!!!!!』
◆◆◆〜〜〜男湯〜〜〜◆◆◆
『主、また二人が夫婦喧嘩を始めそうなのだが……一発いっておくかい?』
キューピッドが愛用の弓を構え、報告してくる。
「──頼む! お前らもっとテンポ上げろ、リア充が一人脱落するぞ!!!」
『いや今回儂は悪く無いじゃろ!? 覗きは男児の性で仕方n──ぁふんッッッ!!?!?』
『ふぅ…………任務完了だ。主、悪戯も程々に』
そう言い残し、恋愛のプロはサウナへと消えてゆく。
──残ったのは、
『ちょっと私、男湯の方に行って来るわ!』
と、コチラに強襲かけて来そうな社長が一人と……。
『……ああ…………儂は何と愚かな真似を──イザナミちゃんと言う素敵な女性が──(以下略)』
『──そんな……素敵だなんて……(以下略)』
壁越しに甘々展開を繰り広げている二神である。
「チッ!」
「ぺッ!!!」
「爆ぜろリア充め!」
──お陰で我々の統率が下がる下がる。
「ちょッ、皆の衆! 今はこの聖戦に集中してほしいでござるよ!!?」
何とか指揮を維持しようと鈴木が吠えているが、コレは無理だな。狙いが完全に逸れちまった。
「ッ、如月くん……私と一つ取引をしないか?」
と、現状をチャンスだと捉えたのか佐藤(父)がオレに取引を持ち掛けて来る。
「ふむ……内容は何です?」
同志達がリア充への怒りに支配されている現状では、指揮系統の立て直しも難しい。
──取引次第では、コチラに鞍替えするのも有りか……。
「綾のアルバム……見たくない?」
◆◆◆〜〜〜幕引き〜〜〜◆◆◆
「──くぅ! 明らかに劣勢でござる、境夜たん!! 何か良い策など……ぬぅッ!!?」
あ、気付かれた。やっぱり、不意打ちなんて慣れない事をするもんじゃ無いね。
「き、境夜たん何を!!? 我々は同じ目的を持つ同志であろう!?」
ふッ、同じ目的? 同志???
「ッは、あははははははははッッッ!!!」
「──っ!? な、何がおかしいのでござるか!??」
「いやぁ、すみません……敗戦の将と言うモノはここまで──何も見えていないのかと思いまして」
オレの言葉に、
「それはどういう意味でござるか!!?」
と……鈴木は問う。
「よく周囲を見て下さい……敵は、最初から佐藤(父)や久遠だけでは無かったという事ですよ」
「──なッ!!?!?」
まったく……通りで、おかしいと思ったのだ。
攻撃が何かに弾かれたり、タイミング悪く物が飛んできたりと──思えば、おかしな所は沢山あった。
「──ま、敵が二人だけだと決めつけてしまった時点で負けてたって事ですよ。あっちの作戦勝ち、みたいな?」
それに…………。
「目的なんて、状況次第でコロコロ変わるモノですし? 一つの目的に固執した、オレ達の負けです」
──なので……オレはアナタの首を手土産にアッチへ鞍替えしますね(ゲス顔)
「馬鹿……な…………! 男たるもの……女湯の、誘惑に……耐えられる、など、ありえ──ガクッ!」
「ふ、愛の力は偉大だと言う事だよ……。今は眠れ、鈴木」
そうして、鈴木を失った『覗き隊』は解散。
後は皆で普通に温泉を満喫し──今回の聖戦は呆気なく幕引きとなった。
■■■
ふぅ、やっぱ風呂上がりはフルーツ牛乳だわ!
──ん? 『敵が二人だけだと決めつけてしまった時点で』ってどういう事……だって??
敵は二人だけでは無かったのか!?? って?
あぁ、それね……う〜ん、全部答えてもつまらんし、あの二人に協力した奴を特定出来るヒントだけ教えようかな!
……先ず一人目のヒントは、『何かに攻撃が弾かれた』事だな。
一応、半透明なドーム状の膜は見えたと言っておく。
次は──もう一人……いや、一匹って表現の方が正しいのかな?
……障害物を風に乗せて飛ばして来たり、強風起こして妨害して来たりと──まぁ、恋人が覗かれそうになったワケだし??
いやぁでも、人外×人間って個人的には良いと思うよ? やっぱ愛は偉大だねぇ〜リア充爆ぜろ。
──ま、こんなトコかな?
頑張って特定してみてくれ。じゃあの( ^ω^ )ノシ
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