肝試し5
◆◆◆
──唐突だが、一つ質問しても良いだろうか?
夜に『偶然』、森を散歩していたら……すぐ近くで若い少年少女がイチャイチャしていました。
さて……君ならどうする??
1:襲う
2:強襲する
3:チェンソー持って追い回す
──どれ? やっぱり3だったりする??
ん、オレ?? オレは勿論……現在進行形で全部やってる最中だぜヒャッハーーー!!!
──あとついでに佐藤(父)も、オレと同じかソレ以上にヒャッハーしてるよ。
「な、何なんだよ!? 誰なんだよお前ら!!? 急に出て来たと思ったら追いかけ回しやがって!!」
と、リア充野郎は宣う。
う〜ん…………上から白い布を被っただけなんだけどな、オレら。(尚、チェンソー装備中)
──だが、ふむ。無言で襲われるのは流石に怖いか……コイツまだ中坊だしな。
「フハハハハッ!!! 我ラハ夜ノ使者、愚カナ迷イ子共ヨ……貴様ラハ罪ヲ犯シタ!」
そう声高らかに告げてやると、
「はぁ!? 罪って何の罪だよ!??」
と、久遠は食ってかかって来る。
ほぅ……トボけるつもりか、このリア充め!!!
「罪状は──不純異性交遊だ! 男性は処刑、女性は無罪!!! 何か言いたい事でもあるのかね!?」
「──むしろ何で無いと思うんだよ!??」
「貴様ニハ二ツノ選択肢ガ有ル……一ツ、素直ニ罰ヲ受ケルカ」
「──いや聞けよ!!?」
「二つ、彼女を我々に渡す事!」
「え? 私ッ!??」
「……ソシテ三ツ──我々ト命懸ケノ鬼ゴッコニ興ジルカ……ダ! フハハハハッ!!! マネーorトリートorダイ(訳:金か菓子か死)ドレガ良イ!!?」
「いや三つ!?? 選択肢を勝手に増やすなよ!!??? あーもうッ! 佐藤、まだ走れるか!!?」
「う、うん!!! 大丈夫だよ!」
──ほぅ、我らが断罪から逃げ切れるとでも?
◆◆◆マネーorトリートorダイ◆◆◆
「ッ! おかしいだろ!?? どうしていつまで走っても、この森から抜け出せねぇんだよ!!?!?」
「ハァッ、ハァ──それに、さっきから……何だか同じ場所を、グルグルと回っているような、そんな気がします……」
息を切らせる久遠と綾ちゃん……あと佐藤(父)。
──にしても、今日の綾ちゃんは本当に鋭いな?
現在、この森には……木に擬態したオレのモンスターが複数体居る。ソイツらが気付かれないように動き、この森はいつまでも抜けれないようになっているのだ。
そしてオレは最初こそ(チェンソー片手に)追い回していたが、モンスターにオレの所へ誘導するように命令したので走るのをやめてサボっていた。
──まぁ、今の位置関係を説明すると、
綾ちゃん
↓
● ○○←久遠 ●←オレ
↑
佐藤(父)
上記の様になっている。めっちゃ雑い説明だがな!
「はぁッッ、オェッ──ど、どうだ……?? お、大人しく綾ッ、じゃなくて娘を渡す気にッ、はぁぁあーーーッッ! な、なったか!?」
肩で息をしながら、佐藤(父)は二人(主に久遠)に問う。
「お前らみたいな得体の知れねぇ連中に、佐藤を渡すワケねぇだろうが!!!」
おぉ、今の台詞格好良いな? 何かのアニメの主人公みたいだ!! トゥンクってなったわ!
「──ホゥ? デハ、ドウスルト言ウノダ?? オ前ニ何ガ出来ル? 言ッテミロ」
なのでオレも悪役ヨロシク、ノリノリで問う。
……すると、久遠は上着のポケットからスマホを取り出しモンスターを召喚しようとするが──、
「ま、待って下さい……あの、貴方は確かこう言いましたよね? マネーorトリートorダイって。なら、コレでどうか……許してはもらえませんか?」
それよりも先に──綾ちゃんは、オレの前へと進み出ると…………可愛く包装されたキャンディーを二つ──差し出して来た。
「はッ? お、おい……佐藤??」
久遠が驚いたように、綾ちゃんに言うが、
「コレヲ……我ラニ捧ゲルト?」
オレは、綾ちゃんに問う。
内心──女の子からのお菓子ヤッフゥーーー! ってなってるのは内緒な?
──甘いのはまだキツいが、『貰った』という、その気持ちが大事なんだよ! ん?? 脅し? 脅迫???
………………ちょっと、何言ってんのか……よく理解んねぇ〜ッスわ!
「はい……捧げます。ですからどうか──」
「──理解ッタ……」
皆まで言うな。とばかりに、オレは綾ちゃんと久遠を素通りして──佐藤(父)の腕を掴んで引き摺ってゆく。
無論、佐藤(父)は抵抗し何か言おうとするが……それよりも早く、綾ちゃんから貰ったキャンディーを一つ口へと突っ込み黙らせた。
──約束は約束だ。今回はこの菓子に免じて見逃してやろう!
ただし!
「これに懲りたら、あまりイチャイチャするなよ?」
オレは背後を振り向き、完全に安堵していたであろう二人に釘を刺しておく。
「──はぁあ!!?!? べ、別にイチャイチャなんてしてねぇよ!!!」
「誤解です!!!」
あーはいはい、聴こえな〜い。
二人の言葉を無視し、オレ達は一足先にスタート地点に戻ったのであった。
……あ、擬態したモンスターにもちゃんと話しておいたので、今度は普通に森を抜けられる事を追記しておく。
見てくれてありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(*´∇`*)
◆◆◆追記◆◆◆
60話目で書き忘れていたのですが、ブクマ本当にありがとうございます!!!
──これからも精進していきますので、今後とも宜しくお願いしますm(_ _)m