肝試し4
◆◆◆綾ちゃん&久遠ペア◆◆◆
「──ダメだ綾! 御守りならホラ、ちゃんとパパが取って来たから!!! だから行くのはやめなさい、あの霊に襲われたらどうするんだ!?」
そう必死に綾ちゃんを説得しようとする佐藤。
……つか、御守りを二つ取って来たのって鈴木の分じゃなく綾ちゃんの分だったのか。なるほどなー。
「まぁ、御守りを取って来たのは佐藤さんですし……別に肝試し自体は強制では無いので、好きに決めてもらって構いませんよ」
何度も言うが、強制はしない。
──無事に夜を越えられる自信があるのなら、無理に参加しなくても構わないのだ。
「でもその場合、鈴木さんは御守り無しで夜を過ごすか──もう一周して御守りを取ってくる事になりますけどねww」
「…………え……マ"ッ!!?」
「だって御守り無いでしょ? あ、もしや御守り無しで夜を過ごす派ですか??」
鈴木は絶望したような声を上げるが、無料で安全な夜を手に入れようって? はは、ワロス。
「ほら! 如月くんもこう言っているし、無理して行く必要は無い!!! 良い子だからパパの言う事をきいてくれ!」
畳み掛ける様に、佐藤は言うが……、
「でも、そうしたら鈴木さんが──」
と……鈴木へと目を向ける綾ちゃん。
「──鈴木くんならもう一周して来ると言っている! そうだろ、鈴木くん??」
「え"ッ!!?」
ふッw 明らかに逝きたく無さそうな声を上げた鈴木を、佐藤が睨みつける。
──そりゃあ、佐藤の頭の中での優先度は、綾ちゃん>>>>>>>>>>鈴木……だろ? オレもそうだわ。
「鈴木くん…………?」
「いやでもッ! アレをもう一周とかちょっと……」
よほど怖かったのか、鈴木も必死に佐藤を説得出来そうな言葉を探す。
──すると。
「ううん、やっぱりダメ……自分の分は自分で取って来るから、その御守りは鈴木さんにあげて?」
◆◆◆
『──キャッ!?』
『うおッ!?? 大丈夫か、佐藤!?』
『う、うん…………ぶつかっちゃってごめんね、龍鬽くん。あと、支えてくれてありがとう』
…………チッ!>(^ཀ^ )
「如月、男の嫉妬は見苦しいわよ?」
「──ですね。はぁ〜〜〜、肝試しってこういうラブイベントにも使えるって事を忘れてました」
だが……、
「誰だあの馴れ馴れしい男は!?? 人の大切な娘にベタベタベタベタ触りやがって! 私は認めんぞ!!!!! 綾は誰にもやらん!!!」
……佐藤父よりはマシだと思う。
だってこの人、もう目がヤバい。血走ってるし、射殺さんばかりに映像を睨みつけてんだけど?
「そもそもだ! 普段から女の子とか美少女尊ぇとか言っているクセに、その美少女を犠牲にしておいて何が尊ぇだ巫山戯るな!!! 恥ずかしくないのか鈴木ッ!?」
そしてガチギレ→八つ当たり。
いやぁ──道具箱に入れてあるチェンソーとか渡したらリアルで殺人事件が起こりそうだな。
「うん? どうなのよ鈴木?? 大好きな美少女を犠牲にして手にした安全の味は?」
「もうやめて……拙者のライフはもう0でごじゃる、うぅッ…………綾たん……」
「綾を犠牲にした貴様に、『綾たん』などと呼ぶ資格は無い!!!」
「いいぞ、もっと言ってやれ!!!!!」
(責めるのはやめましょうよ、可哀想ですよw)
『──キャアッッ!!?』
「綾ッ!?」
うわ怖ッ!?? いま、ギュルンって佐藤父の首が一瞬で鈴木→映像の方に向いたんだけど!?
そのまま、オレも自然と映像へと目がいく。
──其処には、
『大丈夫だ、佐藤。ただ小枝を踏んで音が鳴っただけだ』
『……え? ぁ…………ひゃあッ、ご、ごめんなさい龍鬽くん!?? 私ビックリしちゃって、つい!』
『気にすんな。早く御守り取って帰ろうぜ』
『うん!』
すぅ〜〜〜〜〜ッッッ──オレの気のせいで無ければ二人が抱き合っているように見えました久遠は56す!!!
「( °Д°)」
「佐藤(父)さん、ちょっと……」
フリーズする佐藤(父)を半ば引き摺るように、道具箱の近くへと連れて行き……道具箱の中をゴソゴソ。
そして目的のブツを二つ発見し、佐藤(父)へと一つ渡し──そしてオレもブツを装備する。
──そんで、満面の笑みで千尋さんへと告げた。
「すみません千尋さん、オレ、佐藤(父)さんとちょっと一緒にお出かけして来ますネ!」
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