肝試し3
◆◆◆佐藤&鈴木ペア◆◆◆
『──い、今! せ、せせ拙者の背中を何かがツーって滑って行ったでござる!!!!!』
『どうせ冷や汗でもかいていたんだろ? まったく、幽霊だ何だと馬鹿馬鹿しい!』
──ほぅ? コレはアレですな?? ペアの一人がビビりまくるから逆に自分は怖く無くなるという……仕掛け人からしたら面白くないヤツ。
「面白くないわね……」
ボソリと、千尋さんは呟く。
──まったくだ。肝試しにクソ真面目な理性キャラは要らないんですよ!
仕方ない……此処は小道具でも使うとしようか。
「……千尋さん…………ちょっとコッチに来て下さい」
「? どうしたの??」
千尋さんを小声で呼び出し、アイテムボックスを開く。
「何か使いたいモノとかあります?」
「──ふはッ! アンタ準備万端過ぎるでしょコレ!?? え〜、迷うわね!」
まぁ、ゆっくり選んでもらうとして……そろそろG-2が動き出す頃合いだな。
途端──ポタッ……と、何か液体の様なモノが鈴木の頬へと滴り落ちる。
『──ひッ!? な、ななな何でござるか雨でも降って来たのでござるきゃ!!?!?』
『はぁ? 雨など降っていないg──うわぁッ!?? す、鈴木くん君その頬はどうしたのかね!!!?』
『へ? ほ、頬???』
鈴木が自身の頬へと手を当てる。そして──、
『み、水でも──ひゃぁあああッッッ!!?!?』
──頬に滴り落ちた何かを拭い、それを見て悲鳴を上げた!!!
『こ、コレって血!? 血でござるか!!? え、えッ何ッ、だって、痛みなんてちっとも!? それにコレは上から降って──ひぃッ』
『何をいっているんだ! 上から血なんて降ってくるワケが無いだろう!!? 気付かないウチに怪我を……おい? いつまで上を見上げて──ッ!!???』
怒鳴りかけていた佐藤の声が止まる。
──ポタッ…………パタタッ……、と、尚も赤い水はその量を増し二人へと降り注ぐ。
二人の動きが停止まり、上空へと視線が固定されている。
そんな二人の視線の先には……一人の女性の姿があった。
いや──もっと正確に言うのなら、二人の視線の先には……『空へと浮かぶ血濡れた姿の女性』が、一人。愉しそうな笑顔を顔に貼り付け、其処に居た。
──女性は嗤う。その悪意を隠そうともせずに。そして、告げる。
『アぁ……嬉シい…………やっト、見テくれタ……』
口を三日月のように歪め──身体中から血を流しケタケタと嗤っていた。
「ひッ!?」
「……ッ!!!」
「〜〜〜ッッ!!?」
空中に映ったカメラ──キャメラ映像を観て、綾ちゃん、久遠、上野は目を見開き……声を引き攣らせ、固まる。
…………うん。G-2、お前……本気出し過ぎな?
内心そう思いつつ、片手に蒟蒻を持ちフリーズしている千尋さんへと目を向ける。
「え……本気過ぎない? 蒟蒻ぶつけて驚かせようとかした私is何???」
G-2のあまりの本気っぷりに、若干というか、かなり引いていた。
うん。その気持ちは正直理解る……まさか持たせていたオレ手製の血糊を頭から被るとは──。
──引きつつ、佐藤と鈴木ペアの様子を観察し続けていると……恐らく、フリーズから復帰したであろう佐藤の肩がビクリッ! と跳ね、人間の限界を超えたスピードでポッケから自身のスマホを取り出し……、
『意弟代! 蓮糜ぃ䵷咤ン!!!!!』
……ごめん、何て言った?
ま、まぁ……なんかよく理解らん事を佐藤は叫び、レヴィアタンを召喚し──これまた常人離れしたスピードで、鈴木をレヴィアタンの上に半ば放り込むように投げると……即座に自分も騎乗→離脱。
もういっそ、拍手の一つでも贈りたくなる程に──見事な逃走であった。
◆◆◆
「──出た!!!!!!!!!!」
後、放心した鈴木を連れてレヴィアタンに乗って帰って来た佐藤の手には──ちゃっかりと『御守り』が二つ握られていたのだった。
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