衝動買いというヤツです…
■■■〜〜〜海〜〜〜■■■
「………………」
千尋さんに遊びに誘われてから、早3時間。
モンスターに乗って、千尋さんに案内されるがまま……オレ達は、とある『島』へと到着した。
──ここ何処???
そう思ったのが、顔に出ていたのだろう……千尋さんはドヤ顔で告げる。
めっちゃ嬉しそう──というか、誇らしそうに。はたまた、自慢するように。
「──ようこそ! 私の島へ!!!」
………………………………は?????
◆◆◆
「つまり──海で遊びたいけど人混みには行きたくない→そうだ、島を丸々一つ買えばいいじゃない! って、そういう事ですか??」
浪費家を砂浜に正座させ、ニッコリと笑いながら問うと、
「………………はい」
項垂れながら、千尋さんは肯定する。
──成程ね? いや、別に社長の金だし?? 社長の好きに使えば良いと思うよ?
「もう一つ訊きますけど……コレ、元手を取れる見込みがあって購入したんですよね?」
じゃなきゃ『島』なんてねぇ〜? 買わないよn──
「──ぶっちゃけると、勢いで買いました。衝動買いというヤツです……」
………………………………。
「衝動買いで『島』を買ったんですか? 管理とかを一切考えずに??」
「──はい。みんな、羨ましがるかな? って」
………………(°-°)
「き、如月? 何でそんな感情を忘れたような顔をしてるの!?? ち、誓って! 会社のお金には手をつけて無いわよ、信じて!!」
白い砂浜、綺麗に透き通っている海、自然豊か……少し手を加えてリゾート地とかにしたら案外──Σ( °ω°)
「──如月??」
「ま、まぁ社長の金で買ったのなら問題ありません! それに、下心は有れ……オレ達を労う為に誘ってくれたワケですし、そこは素直に感謝します──誘ってくれてありがとうございます、社長」
下心が有るのは此方もだが、ソレを隠して礼を述べる。
「え? じゃあ何で私、砂浜に正座させられたの??」
「──それで? 飛行モンスターでわざわざ飛んで来させて、まさか日帰りとかじゃないですよね?? 宿泊施設とかはキチンと準備出来てるんですか?」
千尋さんの言葉を無視し、何とか一枚噛めないか探る。
「いや聞きなさいよ? まぁ、でも……アンタの言う通りよ。遊んで、はいサヨナラなんてそんな真似はしないわ!」
◆◆◆
──おぅふッ!? こ、これは……ッ!
ついて来なさい! と、歩き出した千尋さんの後を追う事数分……オレ達の目の前に──ロッジの様な建物が現れる。
それと同時に──、
「──あ! 境夜たん!!! フッフッフ、どうでござる!? 我が聖域と黙示録、そしてドワーフが造り上げたこの施設の出来栄えは!!?!?」
聞き覚えのあるハイテンションな声に、帰りたくなった。
「あー、良いんじゃ無いですか……こう、殺人事件とか起きそうで? 周囲に建ってるのはコテージですか??」
現実逃避したくて周辺へと目を向けると、コテージ? 小屋?? が、幾つか目に入る。
「そそ! 見た目こそボロいロッジとコテージですが、その中身はどれもハイテクでござるよ!! やっぱり建築はドワーフ様々でござるな!」
「──その言葉には賛同するが、鈴木くん。君はキャーキャーと奇声を上げていただけじゃなかったかね?」
と、佐藤さんが何処からかニュルリと現れた。
「あれッ、お父さん長期出張だって言ってなかった!? どうして此処に!??」
いきなりの父親襲来に、綾ちゃんは声を上げる。
「ふぅ……何処ぞのパワハラ社長に呼び出されてね、島を買ったから整備して宿泊できる場所を作れと無茶振りされ、この島に放り込まれたんだよ、鈴木くんと一緒にな!」
「──書類仕事よりは楽しかったでござるよ!」
「君は半ばサボっていた様なモノじゃないか!」
と、鈴木に吼える佐藤の目の下には隈があり……顎にも無精髭が生えて、この人の苦労を物語っていた。
──つーか、そんな大雑把な指示でちゃんとしたモノを造るんだから凄いよ見直したわ。
「今、ナチュラルにパワハラ呼びしなかった? まぁ、別に良いけどね……私がパワハラするような人間だって言うのなら、アンタ達が頑張ってたから用意したせっかくの休暇も勿論要らないのよn──」
「──嘘です神よ! だから休暇を下さい!!!」
「積みゲーとアニメを消化させて下さい!!!」
「最初っからそう言や良いのよ、そう言や!」
──夢に溢れる学生達よ、これが社会悪だ!
ま、そんな事よりも……
……こうして、オレ達の夏の物語が幕を開けた!!!
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