夏の陣 〜開幕〜
一週間ご迷惑をお掛けしましたm(_ _)m
それでは、予告通り──夏編開幕!!!
■■■〜〜〜誘い〜〜〜■■■
──聖域の騒動から、月日は流れ……只今、夏休み初日である。
「如月くぅ〜ん! あ〜そ〜ぼぉ〜!!!」
「──え、嫌です」
いきなり家に社長が突撃訪問して来たんだけど、何この人暇なの??
しかも麦わら帽子にグラサン、白ワンピと……何というか『The☆夏』みたいな格好してるんだけど社長。
いやまぁ──確かに今は夏だけども……何が楽しくて夏休みに社長と遊んでやらなきゃいけないの?
「なんでよ、遊びなさいよ! つーか遊びに行くから付き合いなさいよ!!」
「千尋さん……世の全ての人間が『夏だイヤッホォオオオオオッッッ!』ってオメデタイ頭してるワケじゃないんですよ? 暑い、マジ無理、お外嫌いエアコン最高!! じゃ、とっとと帰ってもろて」
──モンスターに遊んでもらいなさい。如月さんはソレどころじゃないの!
「これだから現代っ子は! 偶には大人に気を遣って外で一緒に遊んであげなさいよ!!」
「大人なら子どもの我儘くらい笑って聴いて部屋に引き篭もらせてあげて下さいよ!」
遊んでほしい?社長 VS 家から出たくないオレ。
クッソほどつまらん試合が今幕を──開けない。そんな余裕無い!
「千尋さん、オレ本当に今は手が離せないんで──ッ」
「──先生! レンタル延期の依頼が来て……あれ?? 女社長?」
階段から久遠が顔を覗かせ言う。
「え? なんで、久遠くんが如月の家に居るの??」
──クソッ! タイミングがマジで悪い!!!
「久遠、そっちはオレがやるからお前は社長の話し相手になってやって!」
「ぇ? あ、は、はい!! お願いします……?」
社長の相手は久遠に任せ、オレはもっと面倒な仕事を終わらせに行く。
◆◆◆
「──てな事で、オレはモンスターを使った新ビジネス……『如月警備』を新しく展開させたってワケです」
「オレはその手伝いっス」
千尋さんに事情を説明し、改めて遊びへの誘いを断る。
「アンタ本当に色んなモンに手を出すわね……まぁでも、事情は分かったわ」
「──ならッ」
「じゃあそのPCも一緒に持って行けば良いだけね! 仕事は向こうでやれば良いのよ、ほら早く用意しなさい!! 青い海と白い砂浜が私達の事を待っているのよ!」
断ったのに、ソレを断られただと?
──しかもお前、海って! よりにもよって電子機器の天敵たる水が大量にある場所に?? 正気か!??
「だから行きませんって! オレは色々と忙しいんですよ!!!」
「何でよ!? じゃあ具体的に何が忙しいのか言ってみなさい!」
──はぁッ!? 上等だ言ってやろうじゃないか!!!
「先ずは最初に言った新ビジネス、『如月警備』の管理や運用問題についてです!」
「だからソレはPCを一緒に持って行ってアッチで解決すればいいじゃない! 何なら、コッチで防水機能付きの高スペックなヤツを支給してやっても良いわよ!」
──防水機能付き高スペPCを支給…………じゅるり。
Σ( ゜д゜) ……いやいや! そんなモノになんぞ釣られんぞ!?? でも、高スペ……じゅる。
「ッ──! 問題はソレだけじゃ有りませんよ!! 実は新しく作ったゲームのテストプレイを頼んだヤツらが『ゲームの世界観に良く似た異世界に転移』したらしいので救出&バグ修正をしなきゃならないんです!」
◆◆◆
「………………は?」
オレの言葉に、社長は固まる。
「ごめんなさい、私疲れてるのかしら? 今、また洒落にならないバグを持ったゲームを作ったって聴こえたんd──」
「──バグで異世界に転移しちゃうゲームを作りました!」
………………
………………………………
………………………………………………おい、何か言え。
「あの、先生? オレそれ初耳なんスけど??」
と……純粋に問うてくる久遠。
「そりゃあ言って無いからな……ちなみに、テストプレイを頼んだ奴らから届いたメッセージがコチラだ」
『──ナーロッパは本当にあったんだ!!!!!』
スマホを操作し、送られて来たメッセージと写真を久遠と社長に見せる。
「凄いよな、スマホって……異世界なのに普通にメッセージとか連絡とか出来るんだぜ?」
「──いやソレも凄いけど! 異世界に転移しちゃったのに第一文がコレでいいのこの子達!? もっと助けを求めたりとかしないの!!?」
社長がツッコむ中……理解が追いつかなかったのか、久遠は宇宙久遠顔になっていた。
「ふぅ……写真を調べてみたら、地球上の何処にも該当する場所は有りませんでした。つまり悪戯とかでは無く、ガチで異世界に転移したらしいです」
オレは溜息を吐き、話しを続ける。
「千尋さん……コイツらは、実はオレのクラスメイトなんです。そんでオレがテストプレイを頼んだから異世界に転移してしまった──今はまだ余裕そうでも、一刻でも早く助けてやりたいんですよ!」
そうだ、コイツらだって本当は不安なのを必死に隠して気丈に振る舞っているのかもしれない! いや、ホントに楽しそうな顔をしてるけど!!
「──如月…………」
千尋さんは真面目な顔で、オレを見てくる。
そして──、
「──理解ったわ、その代わり……ちゃんとその子達を助けてあげるのよ? アンタまで異世界から帰れなくなったりしたら絶対に許さないんだから!!!」
小さく息を吐き、千尋さんは告げる。
「はい! ありがとうございます千尋s──」
「──はぁ、まったく……綾ちゃんに如月は来れないって連絡しなきゃね、あの子楽しみに──ッ」
「よし久遠、気分転換に海にでも行くか! じゃあちょっと秒で用意して来るので待ってて下さいね、千尋さん!!」
「ゑ? いや、ちょッ──アンタ、同級生の事は……助けに??」
「大丈夫です『ログアウトしとけ』って送っておきます」
──ソレにアイツらだって楽しそうだったしな! 夏休みの思い出にもなるだろう!!!
「いやログアウトすればどうにかなる問題でも無いでしょ!? ソレで異世界から帰って来られるの!!?!?」
「大丈夫大丈夫、もしダメでも授業でサバイバルとか習ってるんで! 数日くらい余裕で耐えれますよ、オレ達」
知識だけでは無く、実習で経験も豊富だからね! イケるイケる!!
「大体──ダメそうなら、いくらオレでも『如月警備』を優先したりとかしませんよ。あの問題児共なら必ず自力で解決します、如月さん信じてる!!!」
見てくれてありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いしますm(_ _)m
──え? 今が夏かって???
最近、暑くなって来ましたね…………つまり、そういう事です!