一件落着
■■■一件落着■■■
「ふははははッッッ!!! コレで私の世界征服の計画がまた一歩前進したわ!」
上機嫌に社長は仰る。
「クックックッ……地獄へようこそ、歓迎するよ鈴木くん」
壊れた笑みを浮かべ、佐藤一号は佐藤二号へとウェルカムと手を伸ばす。
「──帰って良い??」
佐藤一号により拘そ──おっと間違えた。
ごほんッ──佐藤一号と握手を交わしている佐藤二号の手はガッチリと掴まれており、逃走は無理だと断言できる地獄直通ルートだ諦めろ( ´_ゝ`)
「じゃあ、鈴木さんの事は宜しくお願いしますね」
「──任せたまえ。さぁ、楽しい楽しいお仕事をしようじゃないか……鈴木ぃ」
そしてそのままズリッ…ズリッ……と、仲間が増えた事に喜びを隠せない佐藤が鈴木を引き摺っていく。
◆◆◆
「──これで残りはあと三組織ですか。やりますね…………オゴッッ!」
「なに格好つけてるのよ? ホラ、冷却シート!!」
格好つけて椅子に座ろうとした瞬間、ケツに鈍痛が蘇る!
──ぅう、母さんからの愛ある仕置きの後遺症を忘れてた……。
「クッ……ありがとうございます、社長…………っう!」
シートを椅子の上に敷き、その上にゆっくりと、ゆっくりと腰を下ろす。
──ああ、これがこの世の春か。紅葉塗れのケツが喜んでいるのが理解る。
「……アンタも大変ね。ま、それはそれとして! 聖域の子達は、ほぼ全員が私の部下になったわ。例外も居るけど、私の組織には手を出さないって約束させたから一応はこれで当初の目的は達成ね!!」
あーそうっすね。聖域は事実上解散に近いでしょうし、輝かしい笑顔ごちそうさまです。
「で? オレをわざわざ呼んだ理由は何です?? シートまで用意して?」
そう訊ねるオレに、社長は机の上に置かれた手を合わせ……真顔で──、
「──アンタ、今回誰と組んでたの?」
と……逆に問うてくる。
「何の事です?」
「とぼけるんじゃ無いわよ。というか、寧ろ気付かないとでも思ったワケ?」
質問に質問で返してくる社長。
「大体ね、何が『──ちょっと気になる事があるんです』よ? これ見よがしに私達に鈴木に売ったアイテムの情報を流して、んで無償で自分のモンスターを貸し出すなんて……取引とは言え、普段のアンタだったら絶対にしない事でしょ? だって私からしたら得しか無いじゃない」
そして続け様に、社長は言う。
──ふむ。
「成る程……でも、得しか無かったのなら良い事じゃないですか?」
「アンタのキャラじゃ無いでしょ!」
ひどッ……ズッパリ斬られたんだけど? ま、その通りだけどさ。
「いやいや、ホラ! オレってば今社長の陣営でしょ?? 少しくらいお役に立っておこうかなぁ〜って!」
「──アンタのキャラじゃ無いでしょ!!! (二回目)」
ふはッw 二回目の方が強く否定されてて笑うわ。
「まぁでも……はい。今の言い訳は自分でも無いって思いますね! 気持ち悪ッ!!」
自分で自分の言葉に寒気がしたわ、マジで無い心底気持ち悪い。
「んで? ホントのトコはどうなの?? サッサと吐きなさいな、楽になるわよ」
はぁ……仕方無いなー!
「オレの隣の家に住む後藤さんから依頼されました!」
──ほら、言ったぞ! これで満足したか社長!?
と、いう顔を向けるオレに、
「アンタこの前、隣の家に住んでるのは中野さんだって言ってなかった?」
千尋さんはジト目をオレに向け、告げる。
「……あれ? そうでしたっけ?? ああ、じゃあ中野さんは引っ越したんですね! んで、後に越して来たのが後藤さんなんですよ!!」
「──なるほど。つまり教える気は無いのね?」
さすが社長! 理解が早い!!!
「まぁ、貰うモン貰ってるんで!」
あんだけ積まれたらね? そりゃあ、お口をチャックしてダンマリを決め込みますわ!!
──オレは何も知らない! 関係ない!!!
「はぁ…………まぁ、いいわ。私に得しか無い取引だったし、結果として聖域を引き込めたしね」
そーだそーだ、得しか無かったんだから別に良いじゃないかぁ!
──どっちが負けても構わなかったけど、教皇よりは社長に味方しとこってなっただけだしな!
うん………………ほ、本当だよ? オレ、嘘つかない。
「で、次の件なんだけど……」
──ん、次? あれ?? 他にも何かバレるようなヘマやったっけ?
薄々、バレるかなぁ……? と、思ってたのはこの件だけだったんだけど?? えッ、何だろ?
「……キューピッド様についてなn──あ、ちょっと如月! 待ちなさいよ!!!」
真面目に悩んだオレが馬鹿だったよ!
ケツが痛むのを我慢し、椅子から即座に立ち上がるとそのままダッシュで逃げる!!
「クッ──絶対にこの件では逃がさないわよ、言い値を言いなさい言い値を!!! 金ならあるッ!!!!!」
とまぁ……こんな最低な終わり方にはなってしまったが──教皇編はコレにて一件落着と相成ったワケだ。
ま、日常エンド的なヤツだとでも思ってくれ。
■■■とある会話■■■
『あ、先輩! お疲れ様、報酬はいつものトコに振り込んでおいたからね!!』
「あいよ〜!! いやぁ、でもやっぱ色々と調整し直す必要がありそうだわ。ぶっ壊れアイテムとスキル作りすぎた」
『──もう! だから言ったじゃん「ホントにこれで良いの?」って!!』
「言うな。後悔ってのは後に悔いるから『後悔』って書くんだよ、つまりオレは間違って無い!」
『いやいや、意味が理解らないから!』
「HA・HA・HA☆ オレも理解らん、何言ってんのオレ? 疲れてんの??」
『──知らないよ!? あッ、でも意味が理解らない事と言ったらさ……何で、鈴木んトコの組織名って「サンクチュアリ」じゃなくて「サソクチュアリ」なの?』
「ああそれ……最初は『サンクチュアリ』だったんだけどな、著作権的にアウトだと思って──潰すぞ? って、脅したら『サソクチュアリ』になってた」
『な、なるほど?? でも結局潰してない?』
「オレは潰してない。潰そうとしてた社長達に手を貸してただけだ無関係だつまり潰してない!」
『うわ、保身……ああいや、先輩らしいね!』
「社長に脅されてぇ……泣く泣く協力するしかぁ、無かったんですぅ!」
『テレビ取材されたJKかな? まぁいいや……でもさ、何で社長の方を潰さなかったの??』
「うん? なに、不満??」
『いやいやまさか! 先輩って社長のこと苦手なのに何で味方したのかな?? って、思っただけ』
「そりゃお前……金の卵を産む鶏を殺す馬鹿が居る? それと同じ理由だよ。それ以外にある??」
『う〜ん? 無いけど……ホントにそれだけ??』
「それだけ。これ以上お前と連絡してて社長に勘付かれでもしたら面倒だからもう切るわ、じゃあな」
『え? あ、うん──じゃあね、先輩』
見てくれてありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします_:(´ཀ`」 ∠):
◆◆◆
やっと教皇編終わったぁあああああああ!!!!!
──ココまで読んでくださった方々、ブクマをつけて下さった方々も本当にありがとうございます!!!
※ それと大変に申し訳ございませんが、私用の為……一週間さb──お休みします。
………………いや、半分はマジで私用なんです。後の半分は──編明けなんです許してくださいm(_ _)m
■■■申し訳程度の次回予告■■■
──『夏編』突入!!!