VS 黙示録3
◆◆◆(○д○)もうヤダァァ……◆◆◆
「──ゔぁあああああぁぁぁ………………」
「あらら〜、これはもうダメね。真っ白な灰になっちゃって……何と言うか、『ざまぁ』って感じ!」
千尋さんはケラケラ笑いながら言ってくる。
それに対し『この女ぁ!』と思いはしたが、オレはその言葉を呑み込み……、
「もうキメラを案内役にするのはやめます。ダメ、絶対!」
負け犬の遠吠え基、反省点を素直に認めよう!
──そして、モンスター販売ルートを諦め……アイテム販売ルートへとルートチェンジだ!!
アイテムをバンバン売って、ガンガン儲けさせてもらう!! 覚悟しておくんだな、『黙示録』のお客様がた!
「あら素直ね? モンスター販売は諦めたの?」
嫌味たっっっぷりに千尋さんは訊いてくるが、甘いわッ!!
「はい、諦めました。やっぱ悪い事は出来ませんね〜」
オレは爽やかな笑顔で答える。
──モンスターは有限だが、アイテムは無限! お客様にはたっぷりと課金改め、アイテム購入していただくとしよう!!
「……っ!? な、何かしら……今、凄い寒気がしたんだけど!!?」
「気の所為ですよ、気の所為! ハハッ☆」
さぁ、お客様がた!! この『社長室』へと辿り着きたいのならば……アイテムを購入する事を恐れるな!
──大丈夫、我が『SHOP如月』では……アイテム先払い、金後払いでもOKだから!
まぁ……回収時にはモンスター引き連れて行くけど! ちゃんと払えば何にも怖くないよ〜??
■■■〜〜〜十五階〜〜〜■■■
『………………』
「「「──無理無理ムリムリ無理無理むりむりむリ無理無理無理ムリムリムリムリムリむりむりむりむりむりむりむりむりむりむりッッッ!!?!?」」」
『はぁ……お帰りなさいませ』
明らかな溜息を吐きつつ、キメラさんは渋々と出迎えてくれる……。
──そして、
『この階を攻略するのにどれだけ時間を浪費するおつもりですか? もう十五時ですよ??』
……途端に始まるお説教。
………………
………………………………
………………………………………………おかしくない?
いや絶対おかしいよね!? どうして敵側であるキメラさんが怒ってお説教してくるの!?
『──はぁ? どうして私が怒っているのか……ですか?? 理解りませんか、それくらい?』
あ、やば……そういえば、キメラさんには『意思疎通』のスキルが有るから私の考えが──ッ!!
『──はい。丸わかりです☆』
「ひぇ……!」
キメラさんは笑顔で告げるが……アレは、心の中では笑っていない顔だ!! 絶対内心ブチギレてる顔だよぉ!!
『はい、ブチギレてます☆』
──oh、それはそれはご丁寧に教えて下さってどうも……でも、き、如月さんも……怒ったらこんな風になるのかな……?
『それは確かに興味ありますが……今はそれどころではありませんよね? 貴女方の脆弱さについてです!!』
「…………はい」
──脆弱さって……この山盛りモンスターハウスを用意した側がそれを言うの? 単体の強さならまだ……
『シャラップ!! 数など言い訳になりません! 私であれば瞬殺できますよこんな奴ら!』
「…………はい」
た、確かに出来そうではあるよね……あのステータスなら……。
『出来そうではなく、出来ます。秒で沈めて見せますよ』
あ、はい。そうですね。
『それに比べ貴女方は! 何をチンタラやっているのですか? 貴女方がチンタラ行動する程、私が主の元へと帰り着くまで時間が掛かってしまうんですよ理解ります!?』
「え? す、すいません……?」
──えぇッ!? なんかコレ無茶苦茶な理不尽を言われてッッ──
『あん?』
「「「──貴重なお時間を取らせてしまい本当に申し訳ございません!! (土下座)」」」
……怖ッ!! このモンスター、物凄く怖い!!!
「でもあのぉ……この階、本当にモンスターの数が尋常じゃなくてですねぇ? もう少し手加減とかぁ……」
仲間の一人がそう言うが、
『は? 何です貴方? 主が難易度を計算し間違えたとでも??』
「──いえ滅相も御座いません!! ただ僕達がクソ雑魚ナメクジだっただけです!!!」
……早々に撃沈した。いや、貴方はよく頑張ったよホントに!!
『でしょうね? 主の期待にあなた方が応えられなかっただけです……ですが、我が主は慈悲深い!!』
「「「…………(え? なんか狂信者みたいな事を言い出したぞこのモンスター……)」」」
意思疎通によって私達の考え(↑)なんてとっくに理解っているハズなのに、それを無視しながら恍惚の表情でキメラさんは続ける。
『私は主より事前に「あ、もしだけど黙示録の奴らが苦戦してたら手を貸してやれ……勿論、有料でな」と、言われております。良かったですね黙示録達!』
………………何だろう? いま、なんかとても不名誉なルビが付いていたような気がするんだけど……?
『それでは──此方をどうぞ☆』
そう言って、キメラさんに渡された料金表には……『キメラ使用代──30000』と追加されていたのだった……。
◆◆◆一方その頃 〜社長室〜◆◆◆
「──遅いわねぇ……」
「……遅いですね〜」
何かあったか? ……いやでも、もしもの場合はキメラに手を貸すように言ってあるし……?
「如月くん、ちょっとあの連中を迎えに行ってきて」
──はぁ〜〜〜??
「面倒なんで嫌です」
千尋さん、理解って下さい。ドヤ顔で去ったのに迎えに行くとか……メッチャ恥ずかしいんですよ? オレも相手も。
なので、そう即答するが……、
「じゃあ直通エレベーターのカードキーを渡して来るだけで良いわよ。私、もう待つのに飽きちゃった」
この社長……そもそも我慢が出来ない性格なうえ飽き性なので、ご覧の有様である。
……というか、ソレは迎えに行く事とさして変わらんだろ! あと、オレだって飽きたよ!!!
「却下です。大人しく待ってて下さいよ、オレだって我慢してるんですから!」
まぁ、この作戦考えたのオレだけどね? たく! アイテム大量に購入してサッサと来いよ黙示録共!!
「──嫌よ! だいたい何で部署エレベーターの方に乗せたの!? 直通エレベーターの方に乗せておけば、今頃はもう私の勝利で終わってたのに!!!」
HA?? それじゃあオレの稼ぎ場が無くなるだろいい加減にしろ!!
「それに何でアイツら負けそうになったらエレベーターに逃げ込むのよ!? そんで何でアンタのモンスターも追撃しないの!?」
「──そりゃ、エレベーター内は安全地帯として設定してますからね。モンスターにも攻撃しないように言い聞かせました!」
……せっかく開店した『SHOP如月』を無茶苦茶にされたくないしな。
「なんでドヤ顔!? その安全地帯の所為で相手は絶賛『芋り中』なのよ!?」
「いやいや、『芋る』のも立派な戦法ですよ?」
──その間にもアイテムが売れていると思うと……いやぁ、芋りくらいニッコリ顔で我慢できるわ!
「アンタは良いかもしれないけど、私は嫌なの!! 暇だ〜! 戦わせろ〜!!!」
うわぁ……まるで駄々っ子のように床の上でジタバタと…………この人、もう三十代後半だよな? 歳。
「ヒ〜マ〜だ〜〜〜!!! はやく戦いたいぃ暴れたいぃぃ無双してドヤ顔したいぃぃぃ!!!」
あーあー、どんどん手に負えなくなっていくな〜もう!!
「はいはい、多分もう直ぐで来ますから後生なんでお黙り下さい面食い社長」
はぁ……もういい歳なんだから大人しく待ってろよ。
──心底嫌だが、千尋さんに無償でアイテムを提供して黙らせるか?
「カッチーン!! ……アンタ、自分を端正な顔に産んでくれた母親に感謝しておきなさい? アンタの顔が私好みじゃなかったら、今頃凹凸だらけの顔になってるわよ??」
……はぁぁ〜〜〜?? それはアレか? オレの顔が中性的(←社長の好み)だって言ってんのか?? 男っぽくない顔だって??
「──あっはっは。それはもう毎日でも感謝していますよ? お陰でパワハラ社長から虐められる事も無いので☆」
…………いや、ホラ……イライラってさ、伝染するもんなんだわ。あと、誰の顔が女っぽいって?(←幻聴)
「あ”ぁ”ん?」
「おおん”??」
頭では理解していても、我慢できない事ってあるよね?
「──丁度いいわ!! 日頃のストレス&アンタへの恨み辛み……此処で解消してやる!!!」
そう叫ぶと、クソ社長はティアマトをオレにけしかけて来やがった!!
「はぁ? このゲームの開発者であるオレに勝てるとでも?? 返り討ちにしてやるわ!!」
なのでオレも、予備のスマホを使いモンスターを呼び出す!!
──こうして……もう一つの争い(←同士討ち)は、華々しくその幕を開けたのだ!!
見てくれてありがとうございます!!
面白かった、続きはよ!! と、思われましたらブクマなどをお願いします(直球)!!!