VS 教皇3
◆◆◆〜〜〜幽世〜〜〜◆◆◆
「──ふははははッッ!!! 貴様ら雑兵ごとき我が手にかかれば塵芥も同然よ!」
オレのBOM二刀流を喰らい、他に平伏した憐れな塵芥共に声高々と告げてやる!
──当初の計画とは明らかに違うが、スッキリしたのでまぁ良しとしよう!
一つの計画だけに拘ると碌な事が無いって何処かの偉人も言ってた気がするし、仕方無いネ!!
「さすがッス、先生!!!」
久遠も目を輝かせながら言って来るが、
「──お世辞はいいからサッサと解放しろ。BOM投げるぞ、良いのか?」
そう冷たく言葉を返す──貴様は許さんからな、いつか絶対に復讐してやる覚えてろ。
「す、すみません! コッチを抑えるのもそろそろ限界です!! ヘルプをお願いします!」
沸き立つ憤怒(3割)と吐き気(7割)を結構本気で抑えていると、離れた場所から綾ちゃんのヘルプを求める声をオレのお耳がキャッチした!
──おっと、こうしちゃ居られねぇ! 好感度上げに行って来ます(`_´)ゞ
「おら行くぞ、久遠!」
「は、はいッ! 先生!!」
■■■移動中なぅ………■■■
『──イザナギ様を誘惑して下さい!』
「…………ゑ?」
教皇が召喚したアテナを二神と共に抑え込んでいる綾ちゃんの元へと向かう途中……サボっていた千尋さんとサトリを回収して来たのだが──何か面白い事になってらぁ!
ちな──最初は千尋さんの近くに綾ちゃんも居たけど……今は戦闘中だからね、知らん内に離れ離れになっていたらしい。一応補足ね。
んで、本題なのだが……。
「──サッサと誘惑して来いよ言い出しっぺ」
「はぁああああああああッッッ!!?!? アンタ、乙女の純情を何だと思ってんのよ!?」
嫌々期を迎えた社長が乗り気じゃないのか、なんか面倒臭い事を言ってる。
「何って──『無知』でしょ!」
「そういうグゥの音も出ない正論でぶった斬って来るのやめなさいよ!!! だって私……ファーストキスだってまだなのよ!? それなのにッ! 初めてがプルプルしてるお爺ちゃんとって──ッッ!!?」
──あーはいはい。
「嘘乙。大体の人は幼児期に親や祖父母にファーストキスは奪われてるモノなんですよ……オレはファーストは爺ちゃん、セカンドは婆ちゃん、サードは父でした。だからもし千尋さんが本当にファーストだったとしても大丈夫だって自信待てよ! ( ^ω^ )bグッ☆」
それに誘惑しろとは言ったが、付き合えとは言ってないからな? いやまぁ、付き合いたいのなら好きにすれば良いとは思うが。
「……え? 嘘でしょ?? アンタの身内が我が子のファーストを奪う特殊なご家庭なだけでしょ? く、久遠くんのご家庭はどうなの?? ファーストは……大丈夫よね?!?」
「あ〜………………父さんに、奪われたって母さんからは聞いてるッス……」
「──嘘でしょ?? (2回目)」
■■■〜〜〜到着なぅ〜〜〜■■■
「ホラ、安心して誘惑して来いよ」
社長にそう言って肩ポンしたのだが、まだ嫌々期が終わっていないのか「いや、でも──」と言い訳を並べてくる。
『──イザナギ様、イザナミ様……お待たせ致しました! そして急で申し訳ありませんが、イザナギ様に我が仮の主人が話したい事があると仰っていますので、少しばかりお時間をいただいても宜しいでしょうか?』
のだが……いやぁ、流石はオレのモンスターなだけあるわ、容赦が無い。
サトリは無慈悲にも、お膳立てを秒で終えてしまう。
──因みに、補足情報として……アテナの相手だが今は久遠とバハムートがしている。
『ん? 儂に何の話しじゃ、お嬢さん??』
柔和な顔を向け、イザナギお爺ちゃんが千尋さんへと問う。
…………やっべ、今日一番にワクワクしてるわ、オレ。
「いや、あの──えっと………………」
モジモジし、口の開閉を繰り返している千尋さん。
「あの、これは一体……?」
千尋さんの様子に、綾ちゃんは疑問を抱いたのか──そうオレに訊いてくるので、
「ああ、うん……千尋さんがイザナギに告るらしい」
と、簡単に説明した。
──そして、後押しがてらついでに一つ情報もプレゼントしておこう!
「まぁ、イザナギのあの姿は実を言うと仮の姿でね……本当のイザナギはもう超が付くレベルのイケメンなんだよホント! いやぁ、マジで神様って感じで──」
「──好きです、一目惚れしました私と付き合ってください!!」
ふッ、計画通り……!
さっきの問答は何だったのかというレベルの掌返しに、オレは心の中で拍手を贈る。それでこそ社長だ!
「え……ッ!? し、社長さんがイザナギ様に一目惚れって──ぇええ!?!!?」
『──イザナギくん……?』
綾ちゃんは千尋さんの告白に声を上げ、イザナミお婆ちゃんは目を据わらせ声のトーンを数段低くする。
『え、いやぁ──き、急にそんな事を言われても困るのぉ〜、年寄りを揶揄うモノでは無いぞぉ?』
と……口では困った風を装いつつも内心嬉しそうなお爺。
『──ねぇ、境ちゃん……これって、浮気? 浮気なの?? 浮気よね、イザナギくん浮気してるわよね?』
&、お爺の浮気(疑惑)により怒りゲージが急上昇しているイザナミお婆──お姉さんが目を据わらせながら問うてくる。
──ここで一つ解説をしておこう!
実はイザナミお婆ちゃんはキレると若返る……と、いうか真の姿に戻るのだ! つまり今、大変にお怒りなのである。
「あ〜アレは浮気してますね、ギルティです間違い無い!」
『イザナギ様は内心では喜んでいます。浮気deathね』
内心、お爺ちゃんにゴメンなさいしつつオレとサトリは淡々と述べた。
『やっぱりそうよね!? イザナギぃいいいいいッッ! 今度という今度はもう許さないから覚悟しろやテメェぇええええええええええッッッ!!!!!』
──宇宙空間内にヒステリックな雄叫びが響く!
よっしゃ、確定演出キタコレ!!!
『──主人!』
「理解ってる!! 久遠! アテナの相手はもういいから離脱するぞ、キメラも撮影は中断して戻って来い!!」
矢継ぎ早に指示を出し、この場から離脱する準備を進めてゆく!
ヤバいよヤバいよぉ、時間的に間に合うかコレ!?
「……おんやぁ? 逃げるのですかな社長??」
「はぁあああッ!? んなワケ無いでしょ、ちょっと如月なに勝手な事してんのよ!!?」
と、鈴木の煽りにアッサリと引っ掛かった社長は文句をつけてくるが……、
「キメラはそこで言い合ってるバカ共を護れ。『幽世』の効果は上空までは及ばないから担ぐなり、咥えるなり、乗せるなりしてこの場から離脱急げ!」
『むぅ、不服ですが了解しました!』
……今は一刻の猶予も無いので無視させてもらう!
「久遠とサトリはバハムートに乗って上空へ離脱急げ! 綾ちゃんはイザナギに能力『現世』を指示して!!」
久遠はバハムートに乗って上空へ逃げれば問題無いし、綾ちゃんにはイザナミの『幽世』と対を成すイザナギの能力『現世』があるから大丈夫だ。
「──は、はい! イザナギ様、お願いします!!」
『コレはちと本気を出さなければならんか……というか、何で儂が怒られるんじゃッ!?』
──ごもっとも! だが、今は愚痴よりも能力の発動をお願いします!!
「さてと……ジャバウォック、オレと──あと地に平伏している奴らを纏めてこの結界から出してくれ」
「『「──え?」』」
◆◆◆
「──いや〜、今頃アイツら楽しんでくれてるかなぁ!」
結界から出た後、オレは暗くなった空に一人嗤う。
効率の良い方法なんて他に幾らでもあった…………が、効率だけでは解決出来ない問題も有るのだよ。
「いやいや、綾ちゃんだけをあの空間に置いて行くなんて可哀想だからね? コレは仕方無い事だったんだ!!!」
──イザナミの現プレイヤーである以上、綾ちゃんはあの場所に残る必要がある。
だが……綾ちゃんをあの場所に一人残して逃げるなんてオレには──とてもじゃないが出来なかったんだ!
「──だから生贄を置いて来たワケだ!!! 他意はない! 少しばかりの私怨が込められているかもしれんが誤差の範囲だよ、うん!!」
だってオレ……許してないし?
──いやぁ、オレを盾にしてくれたお礼だと思って……存分に楽しんでくれよな☆
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