開戦の狼煙
◆◆◆宇宙空間◆◆◆
「さぁ……ラストバトルを始めよう!!!」
──クッソ長い道やら試練やらをクリアし、漸く教皇の元へと辿り着いたオレ達に、教皇はドヤ顔で↑の台詞を言い放つ! ドヤ顔で!!!
「──はぁ? (怒Д怒#)」
「あ"ぁ!? (怒ཀ怒##)」
「(^_^;)」
「(°-° ;)」
『( ^ω^ )』
「──ヒェッッッ!!?!? な、何故にそのような怒りに支配された様なお顔をされているのでゴザる!? き、境夜たん???」
あ? 何故?? わざわざ言わなきゃ理解らないと?
「はぁ〜〜〜〜〜ッ!! ……マジで腹立つわぁ……」
思い切り息を吐き出し、何とか気持ちを落ち着け答える。
──たった一言……。
「…………長いッッッ!!!!!」
「へ?」
教皇が展開させたであろう、宇宙空間を模したような守護地に──オレの放った声は飲み込まれて消えてゆく。
──ああ、これが虚しさか。
そんな思いを抱きながら、オレは教皇へ更に言葉を投げる。
「出すモノあんだろ? さっさと出して、ちゃっちゃと始めろ!!」
「ゑ?」
「──はい後3秒! 3秒以内に出さねぇと効果無効にしてオレが全部終わらせるから──はい、3・2・1──」
そう宣言し、カウントを開始すると……、
「ま、まま待たれよ境夜たん! ほらコレの事でゴザろう!?」
……そう言って、教皇が懐から取り出したのは案の定『試合不参加券:如月』。
「チッ! 使用するのは何枚??」
「じ、十二枚で……! (一人につき一枚)」
こんな事になるなら売るんじゃなかった……と、思いつつもソレを受け取る。
そして──、
「──ご利用、ありがとうございます☆」
表面上の感謝の言葉も忘れない。
はい! コレでオレの一つ目のお仕事終わり!!
「よし、キメラ! カメラをありったけスタンバイ!! 小型はそれぞれ分体に持たせて、色んな角度から撮るぞ!」
『了解しました、主!』
なので二つ目の仕事の準備をしつつ、オレは千尋さん達に声をかける。
「──じゃ、 教皇を煮るなり、焼くなり、ボコすなりお好きな様にどうぞ!!」
「はぁ、言いたい事は色々とあるけど……まぁ、約束だからね。任せておきなさい!」
そう溜息を吐きつつ、寛大なお言葉を返してくれる社長。
さすが裏取りh──おっと、触らぬ神に祟り無し……お口は閉じて作業に集中しなきゃ!!
(`・ω・´)b d( ̄^ ̄)
◆◆◆参加はしてないから!◆◆◆
「──? 社長、境夜たんと何かしたのでゴザる??」
オレの行動に若干呆れつつも、放置する事を選択した社長に教皇は訝しげな表情で問いを投げた。
「さぁ、どうかしらね? 怖いのならサッサと降参でもしたらどう??」
対する社長は、余裕の表情で教皇を煽る。
──両者無言の睨み合い! いいね、いいね!! いいよぉその顔!!!
「はぁ?? 社長はいつから目が悪くなられたので? 算数できりゅ??」
教皇の側には、これまでの試練で戦ってきた聖域の面々(久遠以外)が集結し……モンスターまで召喚していた。
……側から見れば、完全に多勢に無勢。教皇が調子に乗るのも理解る。
「アンタこそ頭大丈夫? 人数の差なんてモンスターの数で埋められるわよ?? 大切なのはモンスター一体、一体の強さでしょうが?」
──ああ、良い! 社長は負けじと言い返す!!
「ッ!? そ、そそそんなの理解ってますし! アテナ様、ご出陣お願い申す!!」
社長の言葉に、教皇は遂に自身が崇拝して止まない神を召喚した。
『ランクL/アテナ (Lv 51)』
神々しい女神が降臨するも、社長は涼しい顔を浮かべている。
「あら〜、もうラスボスを召喚しちゃうの?? 余裕が無いのねぇ、教皇様は?」
そして再び煽る社長──と、その勇姿を撮るオレ!
「──何ですと!? 強がりもココまで来ると滑稽を通り越して侮辱ですぞ!!!」
「強がり?? フッ、強がりかどうか……アンタ自身の目で確かめてみたら?」
売り言葉に買い言葉、社長は不敵な笑みを崩す事無くスマホを操作しモンスターを召喚する!
「──さぁ、おいでなさい! ティアマトちゃん、ワイバーンちゃん!! そして……サトリちゃん!」
淡い輝きと共に、モンスター達がその姿を現す。
「お願いします、ケルベロス、ラベンダードラゴン! 力を貸してください、イザナギ様、イザナミ様!!」
「出番だ! 白龍、黒龍!! 来い──バハムート!」
千尋さんに続く様に、綾ちゃんと久遠もそれぞれがモンスターを召喚し……今や、守護地内は混沌状態。完全に異界と化していた。
──そしてそんな阿鼻叫喚な光景を撮影し続ける、オレ。
だが…………、
「は……ぇ?? ちょ、ちょっと境夜たん? これはどういう──ッ、まさか社長やお仲間達に自分のモンスターを売ったの??」
……社長が余裕を浮かべていた理由を形として叩き付けられた教皇は、撮影中のオレへと問いを投げる。
「ん、なんだって?」
「──いや聞こえてるでしょ境夜たん!? 自分のモンスター売ったの!!? 決戦前に敵の戦力強化とか訊いていないのですが!!?!?」
慌てふためく教皇に、オレは優しく微笑み告げる。
「──そりゃあ言ってねぇもん。あと売ってない、貸してるだけだ」
「いやいやいやいやッッッ!? 貸してるだけじゃなくて! 拙者が大枚叩いて『試合不参加券』を買った意味は!??」
「オレはこの試合には参加しない──だがモンスターを貸さないとも言ってない……許せ、鈴木。飽きちまったんだ教皇編に! 長過ぎたんだよ」
いやまだ美女の命が掛かっていたりとかしたら、ヤル気も出るんだけど……一つの組織を潰す為とは言え、あの坂道と階段はちょっとな?
「──残念だったわねぇ鈴木ぃ……アンタの敗因は、如月が飽き症の愉快犯である事を忘れていた事よ!!!」
大きく高笑いし、千尋さんは告げる!
飽き症の愉快犯て……間違ってはいないけどさ? もっと別の言い方があると思うのですが??
「ッッ──! ま、まだ拙者達が負けたワケではありませんし!!? 全軍突撃ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃッッッッッ!!!!!」
見てくれてありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いしますm(_ _)m