スースーするとは思ったよ
◆◆◆
「……あのさ、もしかしてだけど──オレ達、攻め込むの早かった?」
今現在、オレ達(尚、オレはキメラに騎乗中)は馬をモチーフにしたであろう鳥居へと足を踏み入れる一歩前。
まだ半分すら出来上がっていない鳥居を目にし、思わず……オレは久遠へと問い掛ける。
──ん? 鈴木?? あ〜、アイツはあの後、負け惜しみを残して逃げて行ったよ。
「あーまぁ、そうっスね──なんせまだこの組織が出来て一月近くしか経ってないんで、半数近くの守護地がまだ未完成っスよ」
──苦虫を噛み潰したような顔で久遠は告げる。
あ〜、やっぱりか……二人組になって出て来る奴らが随分と居たから、薄々そう感じてたよ。
でも、それはオレの所為では無くて──、
「──千尋さん……もうちょいタイミング考えた方が良かったのでは?」
社長の所為だから! なのでオレを恨まないでくれよな!!
「……はぁ!? 何で私の所為みたいになるのよ! 大体、この拠点を発見したのは隠密部の上野よ!! だから私を恨むんじゃなくて上野を恨みなさい!」
社長は社長で見事な責任転嫁を披露している。皆は、こういう人間にはなっちゃダメだぞ☆
「つーか如月、アンタはいつまでそんな厨二感マシマシな格好をしてんのよ? いい加減その、えと……パラサイトだっけ?? 外したら?」
千尋さんからすれば、この会話の流れを変えようとして言ったであろう一言だろうが、
「──ッう!」
その一言が、オレの胸を抉り取る!
「…………んで……です…………」
「は? 何て??」
──ッッ〜〜〜〜〜だからッ!!!
「パラサイトの下は全裸なんで解除するのは無理だって言ったんですッッッ!!」
◆◆◆〜〜〜数十分後〜〜〜◆◆◆
「……ま、全裸ってアンタ、ぶはッw ひ、攣る、お、お腹が──イタタタタwww!!!」
オレの羞恥の告白から、早数十分……まだこの社長は腹を抱えて爆笑してやがる。
──大体なぁ、オレだって驚いたんだ! パラサイトを解除しようとしたら、服も下着もドロドロに溶けて原型が無かったんだからな!? 確かに混沌龍との戦闘中に「何かスースーするな?」とは思ったよ?? 思ったけどさ!!? 流石に溶けてるとは想像もしなかった!
『つまり……今のパラサイトは産まれたままの姿の主を包み込んでいるというこt──』
『──(`・ω・´)b』
『ッッッ!?!!? パラサイト貴様ぁあああああ!!! い、今すぐソコを私と代われ! 代わってくださいお願いします!!』
「……ごめんキメラ、お前は何かヤダ」
──個人的な考えなんだけど、何かモゾモゾしそうだから却下で。
『何故ですか主ぃいいいいいッッッ!?!!?』
「………………………………( ˘ω˘ )」
『( ̄д ̄;)』
オレと社長、キメラとパラサイト、何故か安らかな顔で気絶した綾ちゃん……と、それを背に乗せ運ぶケルベロス──主に社長とキメラによる騒音で喧しい周囲。
「あの、先生……? もうすぐ次の鳥居に──って、誰も聞いてねぇか……」
と──久遠が何かを言っていたが、時既に遅し!
「「「──ぅるっせぇんだよこのジャリ共がぁぁあああああああああああああああああッッッッッッ!!!!!」」」
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