魔界転移 28
『──なっ!? どうしてアマイモンが彼らに攻撃を仕掛けているんだ!!?』
そう、ガープめは吠えるが……
『チッ! 語るまでも無かろう、我らが来る前に既にコルソンめに敗北していた……と、いうコトだ』
そんな分かりきった事よりも──!
『ダーリンの正式なペットとはどういうコトだ? 我は──私は認めんぞ!??』
ペットはこんな変態じゃなくて、
──もっとちゃんとした魔獣がいい! 血統書付きの可愛く、そして美しさも兼ね備えた!!!
『ダーリンと我は、我が居城で、永遠に幸せに暮らすのだ! 貴様の入る余地など無いわコルソン!!!』
あ、でもダーリンが城暮らしが嫌なら──別のを造らせよう。
暖炉付きの、ちょっと大きいめの屋敷とか。
無論、この世界が嫌だと言うのなら……我が人間界まで赴くし?
『あの──ジニマル? 今はそんな事よりm』
『別にいいよ。勝手に上がり込むから』
ッ──この変態め…………今の内に、魔法壁を購入するか。あとダブルベッドも。
『は? 主のペットに相応しいのは、この私だが? 相棒、兼、マスコット兼──可愛い可愛いペットちゃんだが???』
『なに──むぉッッッ!!?!?』
そう、ダーリン(仮)は刃に変質した腕で、情け容赦なく変態へと斬り掛かる!
『主の寵愛は渡さん……貴様は此処で死ね!』
『ッ──その殺気、実に良いが……ご主人様の寵愛はこの我のモノだ!!!』
『いやあの……だから今はそんな場合ではなk』
『『──外野はすっこんでろッッ!!!!!!』』
『………………………………』
…………ぶつかり合う、力と力。
ダーリン(仮)の刃を、変態めはその剛腕で受け止め……互いの力は拮抗する。
だが──これは、チャンスでは無いか?
『おいガープ、合わせろ! 攻撃をあの変態に叩き込むチャンスだ!!! ……おい、ガープ?』
『………………………………』
──おい???
ガープ?
聞こえていないのか、ガープ???
おーーーい、ガァーーーーープ?????
■■■
『話トハ、ナニカネ?』
「オレが此処に居るって事と、さっきの痴態──黙ってて下さい、お願いします」
地に座り、頭を地面に擦り付ける。
まぁ、いつもながらの──土下座ですわ。
ユルシテ……ユルシテ…………。
『フム。報酬ハ?』
「今後オレを元にした本を好きなだけ出していい。R指定でもG指定でも可!!!」
・
・
・
「──ちょっとヒナちゃん先輩? パイセン???」
「………………」
目の前で、手を振ってみるけど反応が無い。
──ぇ、なに? この問題児いったいどうしたの?
何で『ただの屍化』してるの???
なに? 人生からログアウトでもした???
・
・
・
『──モウ一声、欲シイナ……!』
この野郎、足元見やがって!!!
「今後、売り子費無償」
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・
「──ちょっと久保! 手伝ってよ!!?」
「社長煩い、コッチは今それどころじゃ──」
専門家兼問題児が、現実からログアウトしちゃったっぽいからどうしようか考えてるんだよ!
「………………………………うほッ」
「………………」
・
・
・
『──ナカナカニ、魅力的ナ提案ダ』
「なら──!」
キツいの一言に尽きるが、この程度で缶詰にならずに済むのならまだ安い方だ!!!
『ダガ……モット、出セルダロ???』
「………………………………」
・
・
・
「──ふひッ! ぶひひひひひッッッ!!!!!」
「どうしよう社長、ヒナちゃん先輩壊れちゃった」
怖いんだけど……虚空見て、なんか高笑いしてるんだけどこの人???
「──はぁ!? あの、アレよ斜め45度から一撃頭にお見舞いしてやんなさい! それでダメならひたすらに叩く! 大抵はそれで直るわ!!!」
「そんな、機械じゃ無いんですから……!」
「あの、その人──指、どしたんスか???」
んぇ? 指???
ぇ、なに?
親指と、人差し指を高速で擦り合わせてる???
──まるで、『もっと出せるだろ?』って言ってるみたいに………………あ。
・
・
・
「月一で、女装メイド……させていただきます」
『ダメ。週一で、お世話して欲しいな♡』
オ、グゥゥ………………ッ!
「それは流石に──」
『──バラしても良いの?』
ぬぅぁうぅぅううう──ッ!!!
『大きな鈴の付いた首輪と猫耳のオプションも』
「んな殺生な!?」
『ミニスカで、無論……尻尾付きね♡』
「ッ──ぐぅぅ……ッ!」
『あとぉ、語尾は「ニャン♡」が良い♡♡♡』
「──かふッッッ!!!!!」
…………フゥ……フゥゥ………………ッ!
考えろオレ、考えるんだ!!!
この野郎を、どうやって口止めするのかを!
周囲に……使えそうなモノは無いか? もうこの際、棒切れ一本でも良い。
──ん? コレは…………。
『それとねぇ……』
「もう──理解ったよ」
『ぇ?』
「ヒナちゃん先輩。先輩の要望を全て呑む」
いや──
「全て、呑みます……ニャン♡」
『ヒュ──ッ!!!』
「だから、だからどうか……この件はどうかご内密にして欲しいニャン♡ お嬢様…………ッ」
地面に、ヘタリと崩れ落ち……両手で顔を覆う。
オレの読みが正しければ──チャンスは一度きり。
ソレに全てを賭ける!!!
『ぉぶぇッッッ!?!!? ぇ、え? き、きききキー様そんな演技も出来るの!? え、やばぁ!!!』
化けの皮が剥がれたなぁ。先輩?
遠方から、この物体?に精神でも入れてんのか?
まぁ、途中からカタコト喋りじゃ無くなってたしね……ウン。
「…………今なら、写真撮影も無償です。ニャン♡」
『神か!?? ぇ、神なのか!?』
──にちゃり。
「まぁ、猫耳もしてないし……メイド服でも無いですしね。サービスですよ、サービス。ニャン♡」
仕方無いと、溜息を一つ。
ほら、こっちゃ来い来い。
『マジすか!? ツーショ良いの???』
「晒さないのなら。特別ニャン♡」
──スマホ貸して? じゃ、撮るよぉー。
「はい、チーズ。ニャン♡」
『いぇーーーッ──!?』
写真を撮る、その刹那──今だッ!
隠し持っていた宝物を、空いた片手に装備し、
──我は今、かの先輩を討伐す!!!
ここまでお読み下さり、ありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ




