魔界転移 22
■■■──城──■■■
バ ゴ ォ ォ オ オ オ ン ッ ! ! !
『──ッ、キサマ…………!』
我が城の壁をその剛腕で粉々に粉砕し、忌々しきあの者が遂にその姿を現した。
『此処から、ご主人様の、お声がしたぞぉ……!』
フシュー……フシュルゥーーー…………と、牙まみれの口からは白煙を吐き出し、
──その眼はギラギラと紅く輝いている。
『コルソン──ッ!』
「………………」
ッ、頼みの綱のコルソンの主人は……先程から遠い目で空を見上げながら「逃げなきゃ…」とか呟いていてアテには出来んし──どうする……?
『…………やはり』
『ん?』
なんだ? コルソン貴様……何故、我を睨む??? いや、睨みたいのはコチラなのだが?
『やはり、貴様が我がご主人様を捕らえていたのだなアマイモン……絶対に、絶対に許さんからなァ!?』
『はぁッ──捕らえ……?! 待て、何の事d──』
なにコイツ!? いきなり何言ってんの!!?
『──黙れ変態! あぁ、ご主人様申し訳ございませんでした。このタマが今すぐにでも、ご主人様をこの変態野郎の魔の手より救い出し……手取り足取り、いえ! 何ならそのお身体ごと纏めてキレイキレイして差し上げますので……えぇッ!!! ご安心下さいませ!』
『はぁぁッ!!?!? 変態は貴様だろうが!?』
なにお前ッ──我がその人間を攫ったみたいに言ってきやがって!?!!?
言っとくけどな、その人間は自分から来たんです!
この城をぶち破って──別に我が攫ったワケじゃありませんッ! 我は呼んだだけですぅ!!!
『──黙れ小僧!!! 此処で貴様を下し、魔界征服からの人間界をも統べ……それら全てをご主人様へと捧げて我はご主人様とエンダァァし、性……聖夜に子宝を授からねばならんのだ! もう時間無いしマジで忙しい、RTAしてる気分になって──』
「煩い。」( ˙-˙)ノシ======●
『──へぶぅッッッ!!?!???!?』
ッ!? コルソンの主人が、いま……コルソンめの顔面に投げ付けた球体はまさか──ッ!??
──ォォオオオオオオオオオオンッッッ!!!!!
やはりッ! 球体が弾け、激しい轟音と共に赤々とした灼熱の炎がコルソンめを襲う!!!
『ア"ッ"つ"ッッッ!!?!?』
「喧しい。」( ˙-˙)ノシ======●
バ リ バ リ バ リ バ リ バ リ ッ !
『ヒギィッ!?!!???』
今度は蒼雷がコルソンを──ッ!?
「──黙れ。」( ˙-˙)ノシ======●
ヒッ!? 灼熱が、蒼雷が、暴風が……それだけでは無い。有りとあらゆる森羅万象が、災厄が、コレでもかとコルソンめに放たれ、奴を呑み込む。
『ァ──ガッ、ギィ!!? ………………あッ♡』
「ちょっと喜んでんじゃねぇよ、この変態が」
と、苦しみにのたうつ奴の口に──コルソンの主人は容赦なくあの球体を放り込み──ッ!?
『──ァ"ァ"ア"アアアァアアアッッッ!!!!!』
「そら、まだまだあるぞ。良かったな」
悲鳴をあげ、苦痛を逃そうと暴れる奴を……
ただただ愉しそうに、だが、何処か貼り付けたような笑顔で嗤って眺ていたのだった。
・
・
・
あれ──!? そう言えば、我が託した宝物は?
■■■──人間&悪魔組 上空──■■■
「おrrrrrrrrrrrrrrrrrrr──」
『──イヤァーーーーーーーーーッッッ!??!!』
『くッ、おい暴れるな!? チッ! アマイモンの領域へと入った瞬間にコレか!!?』
我らへと群がって来るは、恐らくコルソンが連れて来た配下共だろう。
数を見るに、数百は居るか……。
その全てが──まるで正気を失ったかのように、コチラへと一直線に突っ込んでくる!
魔力を刃に変化させ放つが、次から次へと現れてキリが無い!!!
『──おいガープ! 策は無いのか!?』
『そうだな、口より手を……おっと! 恐らく、コレでもまだほんの数割程度だろう。アマイモンの元にはこの数の比にはならないほど、多くの悪魔が居ると見た』
──だから、何だ!??
『アマイモンを守り、コルソンを叩く為には我らが一匹でも多くこの配下共の相手をするしかあるまい』
『ッこの!』
堕天使なぞに期待した我がバカだった!
空気中より魔力を取り込み、放つ!!!
く、敵味方が入り混じり狙いが定めにくい!
オマケに無力な人間共を守りながら戦わねば──
「──バアル、炎で壁を形成して! ミシャンドラは相手の翼を狙って!!! ヒナちゃん先輩!」
「はいよー。敵には、この紙が貼り付きますよっと」
……なんだ!? 人間の女が、バラバラと空中に紙をばら撒いて何を──ッ!!?
「──皆んなー! ウチらに敵意ある奴にはマーカー貼っつけたから、ソイツら優先してーーー!!!」
ッ、目印!?
それに、薄くて気付かなかったが……我らに近しいモノの気配だと?
『ほう? 使い魔を使役しているのか、あの若さで』
『ネーネー、キミドッチ派?(^q^ )』
『ヒッ!? ナンダ、貴様ハ!!?』
ッ、貼りついた紙が動き出し……敵の妨害まで。
「ふふんナイスよ、ヒナちゃん! ワイバーンちゃん、やっちゃってぇーーーッ!!!」
「いくぜ、バハムート!」
「レヴィアタン、ブレス!!!」
………………バカな。アレほどの魔獣まで……容易く使役しているだと???
「お姉様! 背後は任せて下さいまし!!!」
「はーーーい、お願いねぇ!」
戦いの中、互いを気遣う余裕まで。
『おいクソ虫! お前も働け!!!』
『──は? この程度、貴様らだけで充分だろう? 私はあのクソ猫をシバかなければならんのだ』
………………。
「おrrrrrrrrrrrrr──ハァ、あ、アンフィスバエナも石化を……うp──たの、むっ……す」
『へッ? へぇッ!!? なに、ま、ままま魔獣!? え? 守ってくれる、の???』
………………………………。
『ははッ、凄いな! そう思わないか、ジニマル?』
『チッ! 口より手を動かせ!!!』
ダーリンが、特別なのかとも思ったが、
コレは──やはり考えを改めねばならんか。
人間とは、随分と危険で……それでいて、
──逞しい存在へと成長したのだな。
まぁ、それでもダーリンが一番だがなぁッ!!!
ここまでお読み下さり、ありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ