魔界転移 21
■■■──悪魔&人間連合軍──■■■
………………うーーーーーん?
「どうしたんですか、久保さん? なんだか難しそうな顔をしてますけど???」
『──どうした? 乗り物酔いならぬ、悪魔酔いでもしたか?? それとも高所恐怖症とかいうヤツか?』
そう、綾ちゃんと悪魔……くん? さん? が、心配して問い掛けてくれる。けど──
──悩んでるのは、ソコじゃないんだよなぁ。
あと、高所恐怖症でも無いよ。でも……心配してくれて、ありがとね。
「いや、それは大丈夫なんだけど……さ?」
僕は周囲を見る。
──悪魔。悪魔、悪魔……何処を見ても、僕達の周囲は悪魔ばかり! 何ならッ!!!
『あ、すみません。自分、乗り心地悪かったですか? もうちょいスピード落としましょうか?』
僕達を乗せて飛行してくれてるのも、悪魔!
──しかも、かなりフレンドリーな!!!
マジで此処、異世界なんだなぁ……と、思う。
『そ、そんな事はありませんぞ! とても素晴らしい乗り心地です、ジニマル様の使い魔殿!!!』
と、さっき問うてきた悪魔……くん? が答える。
というか──ジニマル様って誰???
この世界の偉い人的なポジションの悪魔なのかな? 魔王とかその側近とか、そういう立場の?
『ぇ──そ、そう? この姿、久々だから変なトコがあったら言って下さいね、変態様の従者くん!』
……また出た。
コルソン様って誰???
全然、話について行けないんだけど?
──まぁ、当然と言えば当然だけどね……!
だって──!
ヒナちゃん先輩に、異世界へ連れて行かれる(強制)
↓
先輩がマヨネーズ工場を守りに行ったらしく、虫くんが悪魔達と行軍するとか言い出した(勝手に)
↓
行 軍 中 ! ! ? ? ?(←イマココ)
──すぅーーーーー…………泣いていい?
フッ。もうね、何が理解らないのかが──理解らないんだよ。どうしろってんだよ、知らないよ!!!
専門家の方を見ても!
「──え? キー様が好きなの!!? じゃあ、お近付きの印にこの本をどぞ! 感想もおなしゃす!!」
とか言って、一緒に乗ってる悪魔……さん? に、自作本(先輩に似た絵が表紙)とか渡してるし!!!
『む、貢ぎ物か。中々に殊勝な──ダーリン!?』
「あらぁ……中々に過激ね。でもアイツならこの触手を逆に引きちぎって大元を叩きのめすわよ?」
──なんで社長まで読んでんだよ!!?
『それに主はこんな女々しい顔しない。もっと獰猛でいて、荒々しく……そしてゲスく嗤うのだ!』
『そうだ! 元主を舐めるな!!!』
虫くん……って、バアル!?? お前、いったい何時の間に出て来たんだ!?
「あちゃぁ〜〜、ガチ勢達からは不評かぁ。この粘液塗れのシーンとか自信あったんだけどなぁぁ〜〜!」
『ね、ねね粘液!? それにダーリンがこんな顔を』
あの、悪魔さん……? なに、顔を赤くしながらも食い入るように見てるの???
それに──今更ながら、ダーリンって?
ぇ? 先輩、まだコッチ来て……一日しか、経ってない筈…だよね?? え???
それで、ダーリン呼び?????????????
「え? あ、ああの!? さ、さっきから気になってたんですけど──だ、ダーリンって……えとその、だ、誰の事ですか!?? ま、まさか如──」
「ちょ──佐藤ッ、立ったら危ねぇぞ!!?」
「そうですわよ!? ダーリンって誰の事なんですの、ハッキリと仰って下さいまし!」
「──いやお前も立つなよ!?? あーもう、久保さん手伝ってくださ……い?」
流れ的にもあのダーリンという単語に当て嵌まる人間は一人しか居ないワケだけど、え?でも、先輩がこの世界に来たのって一日前、つまり昨日だよね?え、どゆこと???もしかして、この世界と僕達の世界では時間の流れが違うとかそういう設定?じゃなきゃ、先輩が一日で……え?マジで言ってる???一日で?一日でオトしたって言うの?ぇ、嘘だよね??でも、流れ的にはどう考えてもダーリンって──???
「あ、久保の奴ショートしてるわ。おもしろ、撮影ってもいい? いや、むしろ撮影るわね!!!」
「ちょ、あの手伝って!? 女社長!!?」
社長、後で、〆る──。
『……あ? ダーリンはダーリンだが???』
ダーリンは、ダーリンだが??????????
「だ、だからそのダーリンのお名前をですね!?」
「──コッチは知りたいんですわよ!?? いいから、サッサと仰って下さいまし!」
「おーーーッ、修羅場よ! 青春ねぇ!!!」
「いいぞぉ! やれやれぇーーーッッッ!!!!!」
「うっぷ。すみません、ちょっと酔って来たんスけど吐いちゃっても大丈夫っすかね?」
『──え? 嘘ッ、ちょやめて!?? 変態様の従者くん止めてください! らめぇーーーッ!!!』
「あーもぅ、先生たすけてぇーーーッッッ!!!!!」
・
・
・
『どうしよう……このままアマイモンの元へ行っても大丈夫なのか不安になってきた』
『激しく同意致します、ガープさま』
『『──はぁーーーーーーッッッッッッ!!!!』』
■■■──城──■■■
──バキャァアアアアアンンッッッ!!!!!!!
『ッ、バカな! 魔法壁が砕かれただと!??』
チッ、コルソンが遂に直接動いて来たか!
フッ──だが、コチラにはコルソン……貴様の主人が居るのだ! 故に──
──貴様に勝ち目など無い!!!
そう、コルソンの主人たる人間を見る。
:(;゛゜'ω゜'):──く、来る。来よるでぇ……!
『!? え、えーと…………キミ、顔をそんなに蒼くしてどうしたの〜ね?』
オマケに高速振動まで。
──しかも異常な程、発汗もしている。
今、一番顔色が悪いのでは無いか? ぇ、魔法壁が砕けた我らですらソコまでじゃないよ???
「──だ、だんだん近付いて来てるんです。オレの自由を奪わんとする悪しき社長共が!!!」
『は? 何を言って……???』
「感じる! 感じるんです!!! 仕事に追い詰められた社長共が、オレを捕えに来たんだって! やめろ、オレは──缶詰にはならねぇッッッ!!!!!」
──は? かん、づめ???
『あの、ホントにさっきから何言って──?』
顔を蒼くして怯えている中、申し訳無いが……その、戦いの方に集中して欲しいのだが? 切実に。
『ご……さま…の──が、す……ぞ?』
『へ?』
なぜ…………壁から、声g──ッ!!?
ここまでお読み下さり、ありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ