もう一方では・・・えっと、5!
■■■──会社/会議室──■■■
「──降霊術をしましょ?」
「え? あの、お姉様……急に何を言って……??」
「控えめに言って、頭でもイカれたの社長?」
片手に持った悪魔をポイッし、蘇生復帰した社長の方を向く。あ、頭はちゃんと付いてるね良かった。
ただ、なんか目がヤバい。
空虚と言うか、虚空を見て笑ってる。
「女社長、疲れてんだな」
「社長さん、ちょっとアッチで休みませんか? 私も付き合いますから……ね?」
と、速攻でフォローが入るくらいにヤバい。目が。
『──それをすれば、主に逢えるのか?』
そして、もう一匹……
何故か呼び出したバアルについて来た、ヤバいの──基、虫くんがキマった目をしつつ社長に問う。
「信じるのよ。逢えるって……そして、積み上がった仕事を片してもらえるって!!!(疲労+絶望)」
『なるほどな!(錯乱)』
「──ヤバいっすよ久保さん!? あの二人、目がマジっす! 何しでかすか理解らないっすよ!!!」
と、慌てながら上野が言ってくるけど……どうして、僕に言うの? 僕、君達にあらぬ疑いを掛けられて縛られたのに???
「「──久保さん」」
「お願いしますわ、何卒、お姉様達を何とかして下さいまし!」
と頭を……だから、何で僕に言うの??? あと、頭を下げられてもアレは無r──
『──ふぁふふぃ……』
(──あるじ……)
バアル、まさかお前まで……?
『ふぁふふぁふぁふぁ☆』( ^ω^ )b
(諦めろ☆)
──バアル?
お前、まだシバかれ足りないの???
良い度胸だね、歯ぁ食いしばれ。目にモノを見せてあげるよ──。
「どうせなら、悪魔召喚とか神降ろしとかもチャンポンしましょ? 数打ちゃ当たるわ」
『なるほど、天才の発想だな。さっそくやろう!』
コイツらはコイツらで……あぁ、もぉッ!!!
「──社長と虫くん、ステイ! なに禍々しい事を思い付いてんの!? 一旦落ち着いて!!!」
・
・
・
「先ずね、状況から整理すべきでしょ? こんな風に家ごと消えるなんて本来ならあり得ない。上野、撮影した写真はコレで全部???」
「──はいっす!」
一先ず、映し出された写真の映像データを一つ一つ確認する。
「家そのものが、ポッカリ消えちゃってますね」
「先生……」
『主──それに、お母様達も……クッ!』
誘拐犯は、少なくとも常人では無い。僕達と同じようにモンスターを使える……プレイヤーの可能性がある。
──でもそれなら、
「社長、勧誘したプレイヤー達の中に先輩を恨んでそうな奴とか居……」
「んなのいっぱい居るわよ?」
………………………………だね。
「えーと、怪しい動きをした奴は? 若しくは、しそうな奴は?」
「──〆切が近いのに、そんな余裕あると思う?」
………………………………ないね。
でも、それなら──先輩が新しくプレイヤーを増やしたのか?
それで、そのまま家ごと誘拐された……?
あの先輩が??? そんなポカを?
…………無い、とは言い切れないけど──流石に可能性が低過ぎないか? それ。
でも、他に考えられそうなのは──
「はぁ。ダメだ、所詮は妄想の域を出ない。社長、ちょっとPC借りるよ」
「へ? それは構わないけど……何を──?」
そんな心配しなくても大丈夫だよ。痕跡とかは残さないから。
「──もう考えるの面倒だし、見ようかなって」
「は? 見る……って、アンタまさか!?」
その、まさかだよ。
最初が『ハ』で始まって、最後が『グ』で終わる事をするだけさ! 社長のPCでな!!!
なぁ〜に、ちょっとカチャカチャするだけさ!
大丈夫大丈夫、偉い人も言ってるだろ。『罪はバレなきゃ罪じゃない』って。ね?
「脆い壁だね──ほぉら、見つけた!」
さ、出るよ──ん?
「──なに、これ?」
思わず、そう声が洩れる。
画面には、先輩の家と……それを包むように、赤い光の魔法陣のようなモノが現れ──
「──消えた?」
一際、魔法陣から放たれる光が強く瞬いたと思えば次の瞬間には……もう其処に先輩の家は無かった。
消えた。跡形も無く、消失したのだ。
「ッ、どうなって!?」
時間を戻し、コマ送りで再生していくが……魔法陣が強く光ったかと思えば、もう其処には何も無い。
──更に、妙なのが……
「家に訪ねて来た人物も居ない。どうなって──?」
それはつまり、人やモンスターの仕業では無いって事か? いやでも……こんな事が出来る存在なんて!
「あれ? 今、何か映りませんでした???」
「──え? 何処に?!」
? 怪しい人やモンスターは何処にも……???
「ほら、此処に……黒い点みたいなのが──?」
「あ、ホントだ。でもコレって……?」
言われた部分を拡大する。
「コレって、猫ではありませんこと?」
『ん? コイツは──タマか?』
「あぁ確かに……黒いし……」
タマ? あぁ、そう言えば先輩が飼ってたね。
ネコの部分を拡大しながら、画面を見る。
『ふぁふぁ、ふぁふふぃ……?』
(なぁ、あるじ……?)
「ん、何だい? バアル???」
『ふぁふふぁふぃふぇ……ふぉふぉふぁふふぃふぉふぉふふぉふぉふぉふぃふふぉふぉ、ふぉふふぉふふふはふふは?』
(もしかして……元主を誘拐したのは、コイツなのではないか?)
ん!? いま……
「この猫が変な仕草をした瞬間に、例の魔法陣の光が強まったような──?」
もう一度、巻き戻し……再生する。
──あ。
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