魔界転移 10
■■■──変態の城/牢屋──■■■
『『──はぃ??????????????』』
え? ちょっと待って???
い、いま──我が王、何て言った? じ、じじじジニマル様? その、う、嘘ですよね?????
まさか、あのジニマル様が人間にこここッ──
「──で? さっき、何か言おうとしてなかった?」
『ぴッ!? ぁ、えっぇえとその……わ、我が……私の部下にも、先程の回復薬を使ってk──ほしくて』
──ジニマルさまぁーーーーーッッッ!??!?!
ぇ、なんスかその口調!? 嘘でしょ!!?
孤高で、冷徹で……でも本心はお優しいジニマル様のキャラが一瞬で崩壊しましたよ!?!!?
そんなメッチャ翼をワサワサさせて!
自らの容姿を優しい言葉で褒められて? それで怪我の手当てをされて陥落て(/Д\ )
そんなの、そんなの──ッ!!!
『ジニマル様が、恋愛ゲームにおける惚れっぽいチョロインみたいじゃないですかヤダァーーーッ!!!』
──私は叫ぶ!
だって、自分の自慢の主人がまさか──恋愛ゲームにおけるクソ雑魚チョロインとかそんなのッ!!!
『キャラ崩壊にも程がありま──むぶぅッ!!?』
途端、顔面に勢い良く液体がぶっ掛けられる!
そして、我が眼前には……絶対零度の眼差しをした、チョロ──ごほん。主人が立っておられる。
手には、回復薬が入っていたであろう小瓶。
そしてあのぉ──なんて言うかその、類稀に見るお顔をされている……ウン。
『──恋愛ゲームだとか、チョロインだとかは正直、良く理解らんが……なぁ?』
心の臓をまるで鷲掴みにされているように、錯覚すら覚える、地を這うようなお声。
間違い無い……お怒りだ。
それも、かなりのレベルのお怒りだと見た。
『この我を──馬鹿にした事だけは伝わったぞ?』
『あ、いえその……ち、違うんですよジニマル様? コレは──えーと、そう! 褒め言葉で!?』
「──え? そうなの!? この世界では要約すると、『お前マジ、チョロくて惚れやすいな(笑)』って言葉は褒め言葉になるの!? ま? 知らなかったわー!」
バッ──ひぃ!??
『ほぉ〜〜〜ぅ? 我が、惚れやすいと???』
『ち、違いますジニマル様! こ、これはその違うのです人間界の言葉を使ってみただけ……みたいな?』
──ま、不味い! ジニマル様の周囲に、とんでも無い量の魔力が集まっている!!!
このままではッ!??!?
何とかしろ! と、人間の方を向けば、
「へー、知らなかったなぁ〜〜〜^ ^」
と……くッ!? あの人間め、楽しんでやがる!
──ひぃぃッ!??!!!?!???!?
『覚悟は……良いな? 我が戻った魔力、貴様で試してやろう。光栄に思いつつ、消え失せるが良い!』
瞬間、ジニマル様より紫電が迸り──
──ぁ、オワタ\(^q^)/
■■■──一方では──■■■
「──う、んんん〜〜〜ッ! ふぁ〜〜〜ぁ!!!」
身体を起こし、一つ、大きな伸びをする。
あら? 此処は──???
それにしてもフカフカのベッドねぇ〜、寝心地も良くて……ウフフ、ついつい眠り過ぎちゃったわ。
「って! お夕飯を作らないと!!?」
あ、でも私ったら──油断して、鳥人間さんに?
……そう言えば、あの鳥人間さんは???
そぅっと、ベッドから降りて──念の為、側に飾ってあった花瓶を持つ。
お花さんは、置いておいて……と。
うん、重量的にも充分仕留められそうね! 待っててね、境ちゃん、パパ!!!
あの時は油断してやられちゃったけれど、主婦に同じ手は二度と通用しないって教えてあげるわ!
──足音を殺して、静かに移動する。
ドアのノブをそぅっと握り、
キィ──ッッッ!
最低限の音で、開ける。
(あら? 随分と、静か……というか、誰も居ない? 見張りくらいは居るかもと思ったのに──)
──チュドーーーーーーーーーンッッッ!!!!!
(ッ!? 爆発音……?)
音のした方向的に、下から、かしら???
でも、なんで──?
(──はッ!? もしかして、攻め込まれてる!!? よく映画とかドラマとかでありがちなタイミングが良過ぎる的なあの展開ね! 凄い、本当にあるのね)
でも、それならチャンスよ!
……そぅっと、近くの部屋のドアへと手を掛ける。
キィ………………ッ!
ドアの隙間から、中を覗くと──ッ!?
『馬鹿ナ、人間ノ侵入者ダト?』
(ッ、鳥人間さん! でも……誰と話をしているのかしら? 見たところ、光ってる玉と喋って???)
でも──チャンスね!
あの鳥人間さんは、今、私に背中を向けている。
つまり、背後から近づいて襲えば……殺れる!
ッ………………!
そのまま、良い子だから──そのまま、その光る不思議な玉とお話をしていてね?
大丈夫、一思いに終わらせるからッ!!!
『見タ事モ無イ「破壊魔法」ヲ使ウダト? ソレデ牢ヲ破壊??? 良イ、理解ッタ。私ガ直々ニ──』
──そぅっと、そぅっと。
焦っちゃダメよ。私。
チャンスはね、自然と来るモノなの。時には、待つ事も大事だって誰かが言っていたわ!
『ハァ……全ク、ドウナッテ──ムッ!?!!?』
「あら、こんばんは……あと、ごめんなさい!」
そうして、来たチャンスを掴むのよ。
振り返った鳥人間さん目掛けて、振り上げた花瓶をそのまま振り下ろす!!!
──力任せに叩きつけた。とも、言うわね。
ガ シ ャ ァ ァ ア ア ア ア ア ン !
甲高い、花瓶の破砕音が……静かな室内へと、響き渡る。
「あら、割れちゃった」
花瓶……綺麗な柄だったのに。
あぁ、でも──
『………………………………』
──そのお陰で、鳥人間さんを倒す事が出来たわ。花瓶は惜しかったけれど……ね?
さて、次は──どうしましょうか???
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