VS 辰2
◆◆◆〜〜〜混沌龍〜〜〜◆◆◆
「──ッッ!! ふ、ふざけんじゃねぇえええええ!!!」
あ、坊ちゃんがキレた。
そして怒りに任せたような物凄いお顔で、スマホを乱暴に操作し──、
「来やがれ『黒龍』! スキル『混沌』を発動!!」
──まるで夜の闇を思わせる漆黒の龍を召喚する。
ふぅ、やっぱり持ってたんだな……。
『ランクA/黒龍 (Lv 51)
(HP 8596/8596)
(MP 2642/2642)
(攻撃力 4631)
(防御力 4128)
(魔法力 357)
(魔法防御力 127)
・
・
・ 』
そして、『白龍』と『黒龍』が同じ戦場に存在する場合……特殊スキル『混沌』を発動することが出来る。
──二体の龍は、純白と漆黒の粒子へと解け、そして混じり合い……一体の巨龍へとその姿を変えた。
『ランクS/混沌龍 (Lv 52)
(HP 34448/34448)
(MP 14648/14648)
(攻撃力 10352)
(防御力 8776)
(魔法力 9372)
(魔法防御力 6806)
・
・
・ 』
──うはw 自分で作っといて何だけど、特殊スキルを強くし過ぎた感は否めないな。
白龍に与えてたダメージも回復してるし、せめてダメージは引き継がせた方が良かったかな? ま、いいけど。
「──それだけじゃねぇぞ!!」
そう吠える坊ちゃんは、スマホを操作し……一つのアイテムを召喚した。
ッ!? あの小瓶は──『激化薬』! まさか!!?
──坊ちゃんはその手に持った瓶を開け、中身を『混沌龍』へと掛ける!
途端に、混沌龍は地を揺るがさんばかりの咆哮を上げ……眩い光が周囲を包み込んだ!!
……次に目を開けたオレの視界には──黒雷と白雷をその身に纏い、空を覆い尽くさんばかりの巨体へと変貌を遂げた神々しい化物の姿が映るのだった……。
◆◆◆
『ランクS/混沌龍 (Lv 52)
(HP 344480/344480)
(MP 146480/146480)
(攻撃力 103520)
(防御力 87760)
(魔法力 93720)
(魔法防御力 68060)
・
・
・ 』
──なにこれレイドボス? つか、キメラの能力値超えたとかマジ??
このゲーム作った奴バカじゃねぇの? オレだけど。
「ははッ、はははははッッッ!!! すげぇ、こんな事も出来るのかよこのゲームは! どうだ!? 見たか!! これでもまだオレを馬鹿にできんのかよ!!?」
おっと坊ちゃんが闇堕ちした! やっぱ力って人を変えるんだな。
高笑いし、坊ちゃんは叫ぶ。
なので──。
「ハッハッハッ、別に馬鹿にしていたワケではありませんよ? 思った事を正直に述べていただけですし」
──オレも笑いながら言葉を返す。
「それが馬鹿にしてんだろうが!!!」
すると、今度は坊ちゃんが怒鳴る。感情が豊かだね〜。
「え? そうなんですか?? それはついウッカリ……すみませんね」
「ふざけやがって……ッ! やれ、混沌龍!!」
坊ちゃんの激昂に呼応するように、混沌龍は雄叫びを上げ──その巨大な口から、オレ目掛けて、これまた極太いレーザーを発射き出す!!
──再び、背中の投槍を掴み投擲するも……今度は投槍の方がレーザーに触れた瞬間にアッサリ蒸発した。
まぁ、そうなるわな。知ってた。
「パラサイト──『盾形態』!」
──そうパラサイトに命じた瞬間、背に残っていた四本の投槍と剣刃が溶け合う様に混ざり合い、オレの眼前に一つの大盾が形成される。
その大盾を両手で持ち、姿勢を低くし構え……、
「パラサイト、オレが吹き飛ばされない様に足を地面に固定してくれ」
……再度、パラサイトに命じると──オレの足首の辺りから複数の棘の様なモノが地面へと穿たれる。
試しに足に力を込めて動かそうとしたが、全くと言っていいほど動かない。
──よし、オレの方はコレでいい。後は、
「……ジャバウォック、千尋さんと綾ちゃん、後はキメラと背後で黄色い悲鳴を上げている馬鹿を結界の外へ弾き出せ。その後──オレが結界から出てくるまで誰一人としてこの結界の中へと侵入させるな!」
そうジャバウォックに命じる。
『主!? どうし──』
──キメラが大声で何かを言おうとしたが、ジャバウォックの行動の方が早かったらしい。どんまい!
まぁ、千尋さんや綾ちゃんは何も出来ないだろうが……キメラは無理矢理にでも戻って来そうだからな、ジャバウォックには悪いがキメラの足止めを頼む。
「──あと他の奴らにも言っておくが、絶対に手を出すなよ? これは命令だ」
一瞬、異議申し立てするようにオレの影がモゾモゾと蠢いたが……ソレは無言の笑顔で黙れ☆ と、圧を掛けて黙らせた。
まったく……自分からパラサイト以外は使わない(ドヤ顔)! とか言っておいて、それを自分から破るワケ無いだろ格好悪い。自分達の主人の顔面に泥を塗るつもりかコイツらは!!
──ジャバウォック? アイツはノーカンだ!! そもそも自分の為に使ったんじゃないし!
それにしても……人間、死を覚悟すると時間を長く感じるらしいが……よくもまぁ、レーザーが放たれてからココまで出来たモンだよ。オレすごくね?? 多分、めっちゃ早口だったよオレ。
それともあの龍、ワザと遅いレーザーでも撃ったのかな? いや、レーザーに遅いも速いも無いとおもうが……。
──思いっきり息を吸い込み、足に力を込める。
さて、では勝負を始めるか!
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