お買い物 9
■■■〜〜〜魔界〜〜〜■■■
『フゥ、フゥゥッッッ──やったか?』
我とこの地の魔力を束ね、放ったのだ……。如何に彼奴らと言えど──無事では済むまい。
土煙がモウモウと一帯を舞い、我が視界を阻む。
『使い魔よ……貴様の仇、晴らせ──』
『──そういうのはフラグだと……ご主人様が仰っていたが、どうやらソレは本当のようだナァ?』
な ぁ 、 ジ ニ マ ル ゥ ゥ ? ? ?
ッ──なッッ!?!!? 土煙の中から!?
『くぁッッッ!??』
巨大な腕が、我が身体をまるで人形遊びのように鷲掴み拘束する!
──バカなッ!? あの一撃を受けて何故!??
いや、今はこの腕をどうにか──ッ
『サセン……オ前ノ負ケダ、ジニマル』
『あガァッ!!?』
ッゥ、コレは拘束魔…術……か…………おのれ!
『ふふん! 残念だったな、ジニマルよ。冷静に魔力を練れておれば、こうはならなかったモノを!!!』
『オ前ラシクモ無イ、ナントモ粗イ一撃ダッタ』
コルソンがニタニタと嘲笑い、ガープが残念だとばかりに言い放つ。
それはッ──貴様らの所為だろうが!!?
と、言い返す事を出来ず……舌打ち一つできない自分に腹が立つ。
『元より、我らより力の劣る貴様は「量」よりその「質」で戦う他ない。だと言うのに──』
〜〜〜ッ、そんなコト理解っている!!!
マジその顔やめろ! あとガープも──
『──怒リニ呑マレ……練リノ粗クナッタ魔力デアレバ、我等ノ純粋ナ力デ「相殺」スル事ガ可能ダ』
──解説するな! 腹立つ!!!
要は、「怒りに集中力乱されてザマァ!」と言いたいのだろう糞コンビが!?
そんなの、我が一番、理解っている!!!
というより……そうで無ければ、貴様らが無傷な筈が無いと理解してしまったのだ。ファ●ク!
クソがぁ──魔力の結合が甘かった。
怒りに呑まれ、結合の未熟な攻撃を放ち……結合の甘い魔力は奴らに届く前に分離したのだろう。
後はただ「我」と、「取り込んだ魔力」──
──ソレらと同程度の魔力をぶつけるだけで良い。それだけで、我が技は「相殺」される。
『同じくらいの力をぶつけて相殺したΣd( ^ω^ )』
何とも単純で……当然の解答なのだろうか。
アァ──腹が立つ!!!
『あーぁ、勿体な!』
『ソウダナ。アレガ真ニ完成サレタモノデアレバ、我等トテ無事デハ済ムマイ』
………………喧嘩売ってんのか? アッ???
主にコルソン。
お前さっきから、ちょくちょく腹立つ言葉をわざわざ選んで言っているよな? ん???
──いや、喧嘩は元から売られていたのだったな。すまない、アマイモン……後は、頼む。
未熟な我とは違い……お前は常に、冷静に物事を判断し行動する。
魔界を、あのクソ共から救ってくれ。
あと、出来ればで構わないから……
……あのクソ変態主従プレイコンビをギャフンと言わせしめる一手を宜しく頼む。マジで。
■■■
『──ぜぇ、はぁ……お、落ち着いたの〜ね???』
「あはは、すみません。テンションが上がっちゃってつい。でも、オレは落ち着いてますよ?」
ただちょっと、この素敵なお店の商品をありったけ買って売り上げに貢献しようとしただけデス☆
『どこがだよ……あ、なの〜ね?』
? あれ、いま言い直しました???
その口調──素じゃないなら、無理しなくても別に良いのでは?
『──コホン! それじゃ、この商品達は責任を持ってワタ……ボクちゃんが配送でお届けするの〜ね!!!』
「ガッタガタっすね、キャラ」
(ぁ………………はい、お願いします!)
「如月さん逆です!!!」
え──おっと。スマン、ミスった。悪気は無いんだよ許してくれ。許せ!
『〜〜〜ッ、ぁ、あと! 沢山買ってくれたお礼にオマケをプレゼントなの〜ね!!!』
と、いきなり何かが投げて寄越される。
そして、そのまま背中をグイグイと押され……半ば店から押し出されるように──
『──それじゃ!!! またのご来店をお待ちしております! あと、そのオマケは飼い猫にでも使ってやれです〜の! 来てくれてありがとうなの〜ね!』
オレと綾ちゃんは店の外へと追い出されたのだった。
そして、背後からはバタン!
と、店のドアが勢い良く閉じられる。
「キャラが崩壊して恥ずかしかったのかな?」
(怒らせちゃったかな?)
「──また逆になってますよ如月さん……ところで、何を渡されたんですか???」
そう言えば、何だろ???
と、無意識下でキャッチし……そのまま手に持っていたモノを見ようと──
「(──あれ? オレ、変態を飼ってるなんて一言も言って無いよな??? なのに、どうして……?)」
「如月さんッッッ!??!???!?!!?」
「ぇ、なに? どうした……の"…………は???」
◆◆◆
『──!? 今のは騎士様の声っす!!!』
「それもまるで悲鳴みたいな……まさか、あの二人に何かあったんじゃッッ!?!!?」
「──おいでなさい、フェンリル! 皆様、乗って下さいまし!!!」
「おい! こんな所でモンスターは!??」
「言ってる場合じゃないよ舎弟くん! 社長も、はやく乗ってグズグズしない!!!」
ッ──!!!
久保の声に追い立てられるように、私達はフェンリルの背へと騎乗する!
「──フェンリル、如月の匂いがする方へと向かうのですわ! 急いで!!!」
悲鳴にも似た、金ちゃんの声を聴き……フェンリルは駆ける!
──お願いだから、無事で居てよ二人とも!!!
・
・
・
『今の声は──あの雌の……!』
──そして、その声は主を呼んでいた!
『クソ! 何があった!??』
最早、寒さが如何とか言っている場合では無い! 主、貴方のキメラが直ぐに向かいます!!!
幸い、今の悲鳴で大まかな居場所は特定出来た。なら、後は我が能力を使い捜し出すまでの事!
数は力だ。故に──
──どうかもう少しだけお待ち下さい、主!
あと、ついでに雌も。
仕方が無いから、この私が特別に助けてやる。
主のつ・い・で・に……だがな!!!
感謝して咽び泣くが良い!
そして主の秘蔵写真を自ら差し出すのだ! あと、ゴメンナサイもちゃんとしろよ???
■■■
くっそ、境夜のヤツぅ……タマちゃんが行方不明になったって言うのにデートだなんてぇぇ──
「──なんて羨まけしからん息子だ!」
しかも、しかもしかもしかも!!! 次男の話によれば相当に可愛い女の子が相手だとか!
え? 次男なんて居たのって……???
お前の息子は、あのクッソ生意気な長男だけだろって? ハハハッ、ナニヲオッシャッテイルノヤラ。
次男どころか、三男まで居るよ。
……いや、居るから!
これマジで。マジのマジで!!!
──居るもん! 次男と三男は居るんだもん!!! 居るっつってんだろうが!
長男がクッソ生意気な分、次男は途轍もない良い子なんだよねコレが!!!
まぁ、その長男が連れて帰って来たんだけどね?
彼方の親御さんには許可を取ったってよ。アイツ本当に毎回ナニしてんだろうね???
でも礼儀正しいし、長男と違って人をバカにもしないしでもうコッチが本当の息子なんじゃないかって。
いや息子だよ……間違い無い!
──パパには分かるぞ!!!
ぇ? 三男は…………ウン。
と、兎も角ね!?
多分、嫁さんが知らないウチに産んだんだよ! 良い子をありがとうございます!!!
いやぁ、マジで良かったよ。
我が家の子どもがあの長男だけとか、絶望にも程があるからね。
顔と頭が良いだけだよあの性悪は。
にしてもさ──?
勝ち組にも程があるだろうが! まぁ? ウチの嫁さんに比べたらね、まだまだだろうけどねゴメンね。
ウチの嫁さん、マジ女神だから!!!
「──ただいまぁ!」
おっと、そんな事を思ってたらウチの可愛い可愛い女神のお帰りだ♡
「あぁ、おかえり……って、その鳥は???」
「このコはピーちゃん。今日からウチで保護する事にしたの……ぁ。ダメ、だった?」
──ミ°ッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!
すぅーーーーーはぁぁーーーーーーーーッッッ。
コホン。ねぇ、一つ訊いても良いかな???
可愛い可愛い女神に、申し訳無さそうな顔でダメ? って、訊かれてお断りできる人間っておる?
──少なくともね???
少なくとも…………ワシには……無理じゃぁ……。
ここまでお読み下さり、ありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ