お買い物 8
■■■──12:00──■■■
「──如月さん如月さん! 見て下さい、この牧草ブルーベリー味だそうですよ!? 凄いですね!」
お目目をキラキラさせ、綾ちゃんが嬉しそうに話しかけてくる。
ウン、可愛い。二百点満点の笑顔だと思う。
しかも、しかもね──その手に、えらく毒々しい色をした牧草?を持ってんのよ、あの子。
何で、あんな見るからに怪しいモノを素手でイケるんだろ。やっぱマジすげぇよ、綾ちゃん。
「ぅ、うん? す、凄いね……色が」
あと、牧草なのに──ブルーベリー???
ナンパ野郎共の件から数十分……オレ達は、何かよく理解らん店?に来ていた。
というか……オレ、こんな店PUしたっけ???
いやでも、現に載ってるし──ぶっつけ仕事だったからなぁ。記憶に残って無いだけか?
……まぁ、モンスターだって色々居るしな。
そういうモンスターを連れてるプレイヤーの為にも載せておいたんだろう! 多分。知らんけど。
でもこの店……言っちゃ悪いが──
【グリフィンの羽ペン】……500円
【シルフの霧】……1800円
【オーガーの髭】……100円
【ニーズヘッグの鱗】……1220円
【アルミラージのツノの欠片】……300円
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──等など。
売り物、店の立地から考えても……あまり、人が来なさそうに見える。
現に、店内にもオレと綾ちゃん……後は、
『カラカラ、この牧草はイチゴ味なの〜ね♪』
「えっ、本当ですか!? 凄いです!」
この、胡散臭い店員さん?だけである。
…………何故、店内で仮面を?
しかも、なんかピエロみたいな恰好まで──もしアレが従業員の制服なら、申し訳ないが……
オレはこの店では働けないと思う。悪いけど。
『………………』
「…………?」
ふと、店員さんと目?が合う──と、いうか……オレの方を、ジッと見てた???
『君は……何か欲しいモノとか無い〜の? いっぱいサービスする〜よ???』
「──え"??? いや、オレは別に……」
申し訳無いが、オカルトグッズはちょっと。
だが、確かに何か買わないのも失礼だよな。客として来てるワケだし──?
店内を見回し、買えるモノを探す。
なるべく、なるべく普通のモノを……
【ファイヤードレイクの炎】……1280円
【スケルトンの召喚紙】……1950円
【ザントマンの眠り砂】……300円
──う〜〜〜ん、胡散臭い……。
【ゴーストの未練】……1201円
【ゴーレムの羊皮紙】……5000円
【マッスルマヨネーズ】……50円
【マーメイドの歌声】……1617円
【ホムンクルス生成キット】……4017円
う"ぅ"ーーーーーッッッ、やっぱり胡散臭s──あるやん。もっとも素晴らしき宝が、棚に!!!
「──コレ下さい!!! ありったけ!」
『え??? こ、これにする〜の? もっと良いのも沢山あるけ〜ど?』
「 コ レ に し ま す ! ! ! 」
幾らですか、50万?
カードいけます??? 小切手は? あ、定期購入の契約とかって出来ますかね?????
──お願いします(土下座)
『ね、熱量が凄い〜〜〜の!!! それ全部で50円でいいか〜ら、落ち着いてほし〜〜〜のね!』
このマヨネーズ全部で、50円だと……?
「神か??? だがそれではオレの気が済まん、其処の棚の商品を全部貰おうか( ´Д`)y━・~~」
こんな良店を経営難で潰すワケにはいくまい。
オ レ が サ イ フ に な る ! ! !
さぁ、幾らでもふっ掛けてくれ!
大丈夫だ、オレはこんな時の為に血を吐くような仕事だってして来たんだからなぁーーーーーッ!!!
──好きなだけ、足元を見てくれ!
『お、落ち着ッ──だ、だからお願いだから落ち着いて欲しいのぉ〜〜〜ねぇ〜〜〜〜〜ッッッ!!!!!』
◆◆◆
「──おかしいわね……如月達、何処いったの?」
『見失ったっす! 騎士さまぁーーーーーッ!!!』
◆◆◆
『クソ! 主はいったい何処に──ッ!??』
あるじぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいい何処ですかぁぁあああああああああッッッ!?!!?
■■■〜〜〜魔界〜〜〜■■■
………………が、ガープの奴……ナゼ、ソレを?
『え? じゃあジニマルの奴、人間に振られたから人間の姿をしてんの???』
『アァ、今デモソノ人間ガ忘レラレンラシイ』
本気デ惚レテイタカラナ。ジニマル。
『〜〜〜〜〜ッッッガァアアアプゥゥウウウ!!!』
──あの野郎!!!??
まるで遠い昔を思い出すような目で、我の、私の痴態をよくもバラしたな!? ●してやる!!!
魔力を分散させ、複数の刃を形作り……あのクソ堕天使に向けて一斉に放つ!
『なら、あの姿は……まさか?』
『オット! アァ、奴ヲ振ッタ女ノ姿ダ』
避けるなクソ堕天使ッッッ!!!!!
『ファーーーーーwww え、重ッ。重すぎて普通に引くんだけど? だから人間アンチなの?』
『ソウダ』
『──ッ、ち、違うわ! この穢らわしいホラ吹きクソ堕天使めが!!!』
先程から減らず口を叩きおってッッッ!!!!!
お前ら纏めて、このジニマルがあの世に送ってやらぁこの変態コンビ! マジで4ね!!!
(──集中だ。集中しろ!!!)
『え、じゃあアイツが天使アンチなのは?』
『昔、天使ニモ振ラレタカラダナ』
しゅ、集中……集中して、魔力を──出来るか!
この領域ごと、消し炭にしてくれるわぁあああああああああああああああああああああッッッ!!!!!
体内、そして周囲の全魔力を一箇所へと集める!
制御が難しく、そして消耗の激しい技だが……仕方あるまい! あのクソ共が消せるなら安いモノだ!
──集めた魔力から、紫電が迸る!
『やだちょっと、ジニマルちゃんくんったら……全力で口封じに来たわ!!! ぶふぉッwwwww』
『笑ッテヤルナ……フッ。ア、ゴメン』
ぷっ──(°Д°#####)──てぃん!!!!!
──4に晒せ、クソ変態コンビぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいッッッ!!!!!!!
ここまでお読み下さり、ありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ