お買い物 5
──くッ……身体が、動かん…………ッッッ!
ハッ、当然か。
魔力の殆どを使い果たした上に──尚も、不足した分を無理矢理出力したのだからな。
下手をすれば、消滅してもおかしくは無い荒業だ。
だが──。
可能な限り、周囲を見渡す。
──無理を通した甲斐は、あった……か。
魔界とは、景色が違う。
蒼い空に、白い雲……暖かな陽光の中、私は、柔らかくも緑豊かな地の上に──居た。
──此処が、人間界…………か。
『(存外、美しい場所ではないか)』
コチラを見下ろす大樹も、力強く逞しい。生命の輝きに満ち満ちている。
魔界を足掛かりに、人間界を支配し──ご主人様へと献上する!
ッ……!!!
我が王の、言葉を──思い出す。
『(我が王は、愛すべき魔界と共に……この世界までもを支配しようと言うのか?)』
その──ご主人様──とやらの為に?
──ッ、こうしてはおれん……ッ!
重い身体に、力を込める。
動け、動いてくれ! 我が王を止める為、愛すべき魔界と──美しきこの世界を護る為に!!!
頼む、我が身体よ──ッ!!!
「──あら? ウフフ、お庭が騒がしいと思って来てみれば……こんにちは、可愛い小鳥さん♪」
『──ピッ?』
(──はッ?)
可愛い、小鳥さん…………だと???
■■■〜〜〜11:15〜〜〜■■■
「──ごめん。止まらなくなっちゃって(/-\ )」
「あー、いぇ……気にしないで下さい、如月さん! ほら、割引チケットも貰えましたし、ね???」
本当に、ごめん……ッ!!!
「変なスイッチが入っちゃって……恥ずかしい。忘れてくれると、嬉しい、デス!」
「ッ! だ、だだ大丈夫ですよ如月さん!!! 記憶からはちゃんと抹消しますから!」
・
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『──記憶からだけじゃなく、「記録」からも抹消して差し上げろや雌ゴラァッッッ!?!!?』
お前がコッソリ撮ってたの知ってるからな?
主が可哀想だろうが、ア"ァ"ンッ???
『キメラ、それを言うならお前も撮え──』
『──何のコトだ、記憶に無いな?????』
この私が、主の嫌がるようなコトをするワケが無いだろ何を言ってるんだチミは?(`・ω・´)キリッ
『バアルがお前をクソ虫と呼ぶ理由が理解ったような気がする……ん? アレは…………???』
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「キミ達、超カワイイねぇ〜!!! ねぇ、オレ達と一緒に遊ばない? イイでしょ、ハイ決まりッ!」
あ"ッ──何だコイツら????????
いきなりテンション高く話しかけて来たと思えば、秒でナンパですか???
確かに、綾ちゃんはべらぼぅにカワイイけどッ!
連れの野郎共もニマニマとヤラシイ笑みを浮かべていて──何というか、the☆ナンパ野郎って感じ。
もっと簡単に言うなら、『不快』だ。
「──え? あの、その……こ、困ります……!」
「勝手に決めないで下さい。あと、ナンパなら他所でやってもらっても良いですか?」
邪魔だ失せろチ※※※共が──を、オブラート数百枚で包んで言ってはみるが。
「うわヤベッ! 怒った顔も超カワイイ!!!」
「オレ、コッチの困った顔した子の方が好み!」
「お兄さん達が、何でも好きなモノを買ってあげるからさぁ〜〜〜良いでしょ? ね???」
で・す・よ・ね〜〜〜?????
ウン、オレ理解ってた。
こういうのに、言葉は通じないって! ふぅ、まったく困っちまうよなぁーーーッ( ´Д`)メンド
「き、如月さん……どうしましょう…………?」
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『──撃って良いっすか? 良いっすよね!?』
「止めなさい! アンタ、公共の場で殺人事件でも起こすつもり!? ダメよ、ステイッ! メッ!!!」
名探偵のお孫さんとか、身体は子どもなのに頭脳は大人な小一とかがスキップして来たらどうするの!?
私、嫌よ!??
部下がKのお世話になるのもだけど……捕まるのなら、アンタ一人で捕まりなさいよ上野ッ!
「オレ、行って来るっスよ!!?」
あーもぅ! 久遠くんまで!?
「ど、どうしましょうお姉様!?? フェンリルで一思いにガブっと──!?」
──貴女も混乱してスマホを構えないの!!!
こんな場所でモンスターを召喚なんてしたら、大変な事になるでしょうがッ!
主に──ナンパ男共が!!!
R-18Gな展開なんてゴメンよ!? あと、多分フェンリルちゃんの身体にも良くないわ!
って……もう!!! ツッコミが、ツッコミが追い付かないのよ!? いい加減にして!
久保、アンタもさっきから黙ってな──
「──あぁ、僕だけど……今すぐ、スコップと軍手、あとブルーシートを用意してくれるかな?」
アッ、間に合いそうに無いならドラム缶とコンクリでも構わないよ。ウン。えっと数は……
「………………………………。」
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──はぁ。しょうがないか……。
「えっ!? 何でも、好きなモノを???」
「ッ!? き、如月さん……???」
綾ちゃんが驚いた顔で、オレを見てくる。大丈夫だから任せておいて。(´∀` )ニヤニヤ
「ウンウン! オレ達、すっげぇ優しくて親切?だからさぁ〜〜遊んでくれたら、何でも買ってあげちゃう♪」
「だからぁ〜〜〜、良いよね???」
「オレ達と遊ぼうよぉ? それ以上意地を張って、オレ達を怒らせると──怖いよぉ???」
ニヤニヤ、ニマニマ──と、男達は嗤う。
あ"〜〜〜、キモち悪い。
「あはッ☆ それなら、良いですよ??? 一緒に、遊んであげても?」
「──ちょっと如月さん!??」
慌てて止めようとする綾ちゃんを無視して、オレは話を続ける。
「あ、『私』一緒に遊ぶのに良い場所を知ってるんですよ☆ 案内しますので、手を」
そう、少し目を潤ませ……上目遣いに相手を見る。
ウルウル……ウルウル。さぁ、早く手を取って?
・
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『──レアショットきたぁーーーーーーッ!!!』
(は??? あのクソ猿共56す56す56す!)
『言葉と心が逆だぞ、キメラ』
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「へへッ、やった☆ んで、何処に行っ──」
「──きゃぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーお巡りさぁーーーーーんッッッ!!!!!」
( ´Д`)y<ポォォリスメェェェンヘェ〜ルプミ"ィ"ィイイイイイイイイイイイイイイイイイイッッッ!!!!!
掛かったなヴァカめ! では喰らえ、このオレの裏声大絶叫を。あ、拝借した手は胸にピタリと。
ゴメンねぇ〜〜〜ペッタンコなお胸でwww
だってホラ、オレ、男だし。男子だしね???
ん、綾ちゃんの胸? ハッハッハッ、触らせるワケねぇだろうが……指一本触れさせねぇわ!
「たぁ〜〜すぅ〜〜けぇ〜〜てぇぇ〜〜〜〜〜!!!」
「──はぁっ!?? ちょ、テメェ! テメェが触らせてんだろうが何言──っ!?」
はぁぁ??? 何言ってるって?
「言ったでしょう? 『遊んであげても』って、アハハハハッ楽しいですねぇ〜〜〜ほらッ!!!」
「──ひぃッッッ!」
男達にだけ聴こえるように、声を潜め──嗤う。
あらら。周囲の目に、声に、いったい何をビクビクしてるのか……キミ達を怒らせると、怖いんでしょ?
──それなら、もっと堂々としてないと♪
「此処で一つクイズです。チャラくて頭の軽そうなナンパ男三人衆と──『私達』──さぁて……」
お巡りさんは──いったい、何方の言い分を信じるんですかねぇ〜〜〜???
「フフッ……とっっっても楽しみですね???」
◆◆◆付き合いの長さよ◆◆◆
『──うっわ……(ドン引き)』
「──うっわ……先生やべぇ」
「うわ──コレ、モンスター要らないですわね……」
「流石だよ先輩!!! ハッ、撮影しなきゃ!」
アレは、間違い無く──男共の手を力尽くで、如月が自分の胸に押し当ててるわね。
それで触られたって悲鳴あげてるんだから……
「観なさい──アレが巨悪よ」
……紛う事なき、悪よね。如月。
ここまでお読み下さり、ありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ