お買い物 4
■■■〜〜〜魔界/西〜〜〜■■■
『──ぬぅぅんんんッッッ!!!!!』
『ッ、くどい!』
何なのだコイツは!?? ワケの理解らん事を喚いたかと思えば、がむしゃらに拳を繰り出してくる!
しかも──
『ッウ〜〜〜ッッッ♡♡♡ わ、我が拳をはッ──弾き返すとは何と小癪な……アッ、しゅごい♡』
・・・・・・喜んで無いか? アイツ???
我が魔法壁に拳を弾かれ、尚も、縦横無尽に魔法壁を殴り続けて喜んでいるよな?
──えッ、なんで??? 怖ッ。
コイツ、人間界に呼び出されたと聞いたが……え? それでこうなったの???
人間界で何があった……?
『コルソン、貴様……人間界で何があった?』
大変に今更ながら、問う。
──元々、ちょっとアレな悪魔ではあったけど……ここまでキモ──愚かでは無かった筈だ。多分。
いや、でも最後に会ったの数百年前だしなぁ……。
『え? 何だ急に──???』
『いや……元々、かなり変わり者ではあったが──ここまでぶっ飛んでは無かっただろ貴様?』
──それが何故???
・
・
・
いきなりなんだ? ジニマルの奴???
我と、ご主人様の馴れ初めが聴きたいのか?
フッ──良かろう!!! 問われたのならば、我も包み隠さずに答えちゃおうでは無いかッ!!!!!
『そう、アレは我が人間界に召喚された時のコトだ』
我は、語り始める。
拳で魔法壁を殴り続けながら──。
か
く
か
く
し
か
じ
か
『──と言うワケで、我はご主人様のお母様より新たなる名を与えられ、ご家族の一員となったワケだ』
どうだ──???
聞くも涙、語るも涙……な、素晴らしき馴れ初め話であろうが? ン???
感動の余り、言葉も出んか?
『………………………………が……!』
──ん???
『どうしたジニマル? ブルブルと震えておr──』
『『『──こんの……こんの痴れ者がぁぁああああああああああああああああああああッッッ!!!!!』』』
・
・
・
コルソン……コルソンーーーーーッッッ!!!!!
『貴様ッ、貴様ァァアアアアア!!! 悪魔としての誇りをいったい何処へやったコルソンッ!?!!?』
コルソンッ! この、愚か者め!!!!!
『──じッ、ジニマル様!? お気持ちは理解りますが、どうか! どうか、お怒りをお鎮め下さい!!!』
『出来るかッッッ!!!!! 今すぐにでも、この場で八つ裂きにしてくれるわこの痴れ者がぁぁッ!!!』
あの愚か者の恥知らずめがッッッ!!!!!
悪魔として、最低限の誇りさえ棄て去ったか!??
魔王であると言うのに! 四王の一柱であると言うのに!!! 人間界へ呼び出された挙句に──
──人間共に、媚び諂っていただと!!???
『ハァァッ!? 開幕早々、ガープくんの城をぶっ壊した「痴れ者」が何を言ッ──』
『──黙れ愚か者!!! 誇り高き悪魔でありながら矮小な人間に媚び諂うなど、恥を知れ!!!!!』
体内で魔力を練り、それを刃状にし……言葉と共に、奴目掛けて放つ!
『グォッ!??』
この痴れ者めがッ! この程度で済むと──
『──はぁ、ン♡ イイッ♡♡♡』
ッッッッッ!?!!???!?!!!??
なッ……よ、喜んで…………いる、だと?
『うわ、きっ──』
──我が使い魔が言葉を紡ぐ前に、もう二、三度……魔力を練り、刃を放つが…………
『ァアアアッッ♡♡♡♡♡ しゅるどくて、イイッ♡ も、もっとシて???』
ッ〜〜〜〜〜きっ──!???!!?????
『──背後、ガラ空キダ……』
『しまッ!?』
ガープ!? いつの間に魔法壁を抜けてッ!!?
『ジニマル様ァァアアアアア──ッッッ!!!!!』
■■■〜〜〜一方〜〜〜■■■
「──じゃあコレ、配送でお願いします」
「はい、承りました! またのご利用、宜しくお願い致します!!!」
爽やかな接客スマイルで、店員さんは言う。
はぁ……中々に、お値段的に良い買い物だった。
コレが物価高と言うモノか。
まぁ、コレで虫達へのプレゼントは買えたワケだし……良しとしよう。ウン(・ω・`)
「お待たせしました、如月さん!」
「ん? あぁ、綾ちゃんも買えた???」
別のレジでお会計を済ませた綾ちゃんが、小走りで駆け寄って来る。
「はい、バッチリです! ケルベロスへのプレゼントにちょっと良いドッグフードを奮発しました!!!」
「──ぉ、おん? やっぱケルベロスって、ドッグフード食べるの??? 生肉とかでは無く?」
「え? あぁ、勿論お肉も食べますけど、ドッグフードも美味しそうに食べてますよ???」
ソ、ソウナンダー……?
「あと、レヴィアタン用の魚の餌も買えました! 中々に種類が多くて迷っちゃいましたけど──!!!」
さッ──魚の餌!?!!? あの巨体で!??
「ぇ、あの……魚の餌を、食べるの……レヴィアタンが──? た、足りる? その、量とか……???」
「はい! スーパーとかで買った魚の切り身とかに掛けてあげると、とても喜ぶんですよ!!!」
え──あぁ! ふりかけ、的な???
成程ね………………って、あれ?
だとしても、ちょっとコスパ良すぎない? あの巨体で、スーパーに売ってる切り身と魚の餌だけだと???
いやでも、モンスターだし……。
綾ちゃんも、こんな小柄なのに──スイーツを無限に食べまくるし。しかも、体型がいっさい変わらない。
い、生き物って……不思議だなぁ〜〜〜。(遠い目)
「???──如月さん?」
「ぇ? あ、ごめんね……ちょっとボーとしてた。それで、キメラへのプレゼントも買えた???」
気を逸らす為にも、話題を変える。
「え? キメラさんへのプレゼント、ですか???」
と、心底不思議そうに──?
ん??? 何で、そんな不思議そうな顔を?
──え? 今日オレを買い出しに誘ったのって……キメラへのプレゼントを買いたいからなのでは???
あれ?????????????????????
「????????」
「????????」
──────Σ(・□・;)!?──────
そうか、そういうコトかッッッ!!!??
◆◆◆
『──で!? 店内の様子とかは、どうなってるんスか社長!!? あの野郎、騎士様に手とか出して無いっすよね!?!!? ねぇッッッ!?』
「安心なさい。手は出して無いわ」
『手は!? 手はってどういうコトっすか!??』
まさか別のナニかを出したんっすか!?? と、スマホの向こうから悲鳴が上がる。
「──なんか急に、昆虫ゼリーに対するプレゼンが始まったわ。栄養だの何だのって……」
『は??? 昆虫、ゼリー?』
えぇ。昆虫ゼリー。
「正直、話術が凄いわ。プロ顔負けと言うか……店の人達も歓声をあげるレベルよ」
『──なんで??? いや、なんっすかソレ?』
いや、私に訊かれても……???
大方、また何か勘違いしてトチ狂ったんでしょ。
──にしても、あのプレゼン能力は捨て難いわね。
今度、綾ちゃんの写真でも餌にして……頼んでみようかしら?
◆◆◆
『──ッ〜〜〜!!! あ"る"し"ッ、そこまで私のコトを想って──ッッッ!!!!!!!!』
『良かったな、キメラ』
(オレもそのゼリーを良く食っているが、黙っとこ)
触らぬ狂虫に、祟り無し──。
──ま、そういうコトだ。
それにしても……(¬_¬)
『あ"る"し"ぃ"ぃいいいいいいいいいいいいい♡♡♡あ"い"し"て"ま"す"ぅ"うううううううッッ♡♡♡♡♡』
あの狂虫は、やや喧しいが……な。
■■■──???──■■■
『──グゥッ! こ、此処が……人間、界……か?』
ここまでお読み下さり、ありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ