クリスマス会議 5
■■■〜〜〜side──プレイヤー〜〜〜■■■
【苦痢蘇魔釈 プレゼントリスト】
現金
断末魔
子宝
──うーん、コレは酷い。
マトモなのが一つしか無い。なので、もうちっとマトモな意見を取り入れるべく……
唯一、常識人枠な久遠の意見を聞こう!
オラ、お前ら静聴しろッ!!!
「──では、ビシッとお願いします!」
もう、こう普通って感じの案でも良いんで! いやむしろ、そういうのを下さい!!!
大丈夫、お前ならやれる筈だ! 先生、信じt──
「えぇ──いきなり言われても困るっすよ、プレゼントなんて……あッ──!」
と、何か思いついたのか……久遠が声を上げる。
「あの──『世界』──とか、どうっすか!?」
「久遠????????」
久遠????????????????????
お前、キメ顔で何言ってるんだ久遠???
どうっすか? って、お前……どういう??? え、朝起きたら枕元にあんの? 母なる星が?????
ハッ──もしや、地球儀のコトか??? と、淡い期待を込めて訊く。訊いてみる。
「せ、世界ってアレか……地球儀のコトか?」
「いや、世界は世界っすよ。WORLDのコトっす!」
────( / _ \ )────ッ。
「ちょっと如月……大丈夫???」
「すぅ〜〜〜ッ、ダメかもしんない」
思わぬ方向に舵を切ってきた、常識人?を前に……オレは手で顔を覆う。
オレか? オレの教育が悪かったのか???
「それは──良いでござるなッ!!! く、拙者としたコトが……節穴でござった!」
「でしょ!? やっぱそうっすよね!!?」
そして、何故お前は大絶賛なんだ鈴木ぃ!? 久遠も嬉しそうにするなキャラが崩壊してんぞお前!
──何処に常識を置いて来た!? 教えてくれ、今すぐ拾って来るから!!!
「えっと……舎弟くんに、鈴木さん? 『世界』をプレゼントってどういう???」
と、久保。
……ッ、戦闘不能なオレの代わりに──すまねぇ!
「え? どういうって、まさか久保さん……」
若干、驚いたような──意外そうな顔を久保に向ける久遠。
「ん???」
あれ、僕……なんか可笑しなコトを言った? と、その様子に、疑問の声を上げる久保。
「まさか──『クレしん』を知らないんっすか!?」
「…………え?」
──え? 『クレしん』???
クレしん……って、アレだよね? 子どもが主人公の人気アニメで、映画とかも結構ある……
「いや、知ってるけど……?」
それと、プレゼントが『世界』にいったいどういう関係性があると言うのd──
「──ですよね!? 『紅の刃之介』、略して『クレしん』。やっぱ知ってますよね!? 人気ですし!」
「いやぁ……胸熱なアニメでござるよ!!!」
………………………………ゑ?
「ゑ? あの、ごめんね??? なんか、僕が知ってる『クレしん』じゃ──ッ」
ない。と、言う間も無く。
「拙者はやはり劇場版『紅の刃之介 〜さらば、妖血閻組長に捧げる鎮魂歌〜』が一押しですな!」
──いや、ごめん。知らん。
「あぁ、あの神作っすね!!!」
そ、そうなん??? 神作なの?
「うぬ! 刃之介が所属する妖血閻の組長が、餅を喉に詰まらせ生死を彷徨う中……刃之介は世話になった組長へのせめてもの手向けとして、世界各国の猛者を打ち倒し、組長が夢見ていた世界統一を成し遂げる!!!」
「涙あり、笑いありの素晴らしい作品っすよね!」
…………いや、ソレ笑いしかなく無い???
「最後に、実は生きていた組長の病室に……刃之介が世界各国の猛者達の返り血を浴びて紅く染まった妖血閻の旗を持ってくるシーンは最高でござった!」
「組長、マジで生きてて良かった……!」
と、鼻を鳴らす久遠。
「そ、そうなんだ? 僕としては、そんな理由で統一された世界がかなり不憫だと思うけど……(ボソッ)」
そんな理由でボコられた、世界各国の猛者もな?
「えーと……つまり、プレゼントが『世界』って言うのは──そういう……???」
今まで、黙って聴いていた社長が──問う。
まぁ、まぁまぁまぁ……ね? 確認はさ、大事だからね??? ワンチャンあるかも、しれないし?
でも社長。心無しか……めっちゃ汗かいてません?
「──うっす!」
「これしか有りますまい!!!」
目を、キラキラさせた久遠と……鈴木の言葉を、受けて…………ッう、マジで???
ぇ、コレ……書かなきゃ、ダメ?
嘘でしょ──誰か、頼むから嘘だと言ってくれ!
【苦痢蘇魔釈 プレゼントリスト】
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断末魔
子宝
世界←NEW!
心の中の抵抗虚しく、ホワイトボードにはガッタガタの字で『世界』と書き、記された。
現在──会議が始まって……ちょうど1時間。
………………コレ、ヤバくないか???
■■■〜〜〜side──悪魔〜〜〜■■■
ッ──ご、ご主人様ッッッ!?!!?
真っ白なボードに記されている二文字の単語に、我は思わず目を見開く。
──『世界』──
そう、多少歪に記された文字。
………………。
ご主人様、ご主人様は──この世界を、お求めになっていらっしゃったのか!??
い、いやでも──ご主人様は常々、世界なんて支配したところで管理が面倒くさい。と、仰って……?
──ΣΣΣ((((;゜Д゜)))))))──っは!?
そう思った瞬間、我が身体に……電流にも似た閃きが駆け巡る!!!
──そうだ、そうだった……ッ!
我が忠誠を誓いしご主人様は、捻くれ──ゴホン。本心を隠す事に長けたお方!
……つまり、今までのお言葉──それらは全て!
『あぁ……この愚鈍な悪魔をどうかお赦し……しなくても良いです。仕置きして下さい、ご主人様!!!』
ふるり、と身体が震える。
ッ──だが、仕置きを強請るのは後だ!!!
如何に我が絶大な力とは言え……世界を一つ支配するには、恐らく足りぬだろう。
『お側を離れるのは心苦しいが、仕方あるまい』
バサッ──翼を広げ、暗くなりつつある空へと……雲を貫き、昇る。
『一度、魔界へと戻り……準備を整えなければ!』
魔法陣を展開させ、魔界へのゲートを開く。
──待っていて下さい、ご主人様!!!
必ずや、この蒼き世界をご主人様へと献上してみせます! そして、その暁には……ッ!!!
『世界』の、一つ上に記されていた文字を思い出す。
──『子宝』──
幸い、この身には性別など有って無いようなモノ! 我が魔力を用いれば、どっちでもバッチ来いだ!!!
──グフフフフフフッッッ♡
あぁ、想像するだにアカン事になってしまいそう。
ご主人様、第一子は男の子が良いですか? それとも、女の子???
クリスマス当日には、この世界で──
──人間共の『断末魔』を聴きながら、熱い夜を共に過ごしましょうね! ご主人様ッッッ!!!!!
◆◆◆
──Σ(-᷅_-᷄ )!?!!?
「ん……アンタ、どうしたの??? 凄い汗よ?」
心配そうに社長が………………ッ。
「──すみません。何か、物凄い悪寒がして・・・」
風邪でも、引いたのだろうか……???
ここまでお読み下さり、ありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ