クリスマス会議 2
■■■〜〜〜同日/鏡界内〜〜〜■■■
【side──モンスター】
『だが主達へのプレゼント会議とは言っても、人間達が欲しがるモノなんて理解らんぞ? 案はあるのか?』
と、バアル。
…………ふむ、意見が合うのは癪だが……確かに一理あるな。だが──
『フッ──だから貴様は割引価格で売っ払われるのだ割引悪魔! 私は、主が欲するモノを知っている!』
それも、意思疎通を使わずにな!
他の人間共の事は知らんが、主に関してだけは間違い無くコレだと断言もできる!
ククッ、貴様には到底真似出来まい? 割引悪魔!
『………………ほぅ? 言っておくが、「現金」はプレゼントでは無いからな???』
『──え?』
ニヤニヤと、憎らしい程の微笑みを浮かべ……奴は更に言葉を続ける。
『当然だろう? 目が覚めて、枕元に現金がポンと置いてあるとか恐怖でしかない。あと何か嫌』
『うん(´・ω・)うん』
『ぐじゅる……』
(せやな……)
──なっ!? て、ティアマトやパラサイトまであの割引悪魔と同じ意見だと言うのか!!?!?
『それに、それって境ちゃんがお小遣いとしてキメラちゃんに渡したモノなのでしょう?』
茶を啜りつつ、イザナミまで……。
『ふむ、そうじゃな。それは返金であり、プレゼントでは無いと思うのぉ〜?』
『──と、いうコトだが……金以外で、何かプレゼントの案はあるのか? なぁ、クソ虫???』
ぐぅぅ……イザナギの言葉を追い風に、よくも。主に売り払われた割引悪魔の分際でぇ──ッ!
『あ、主は気にしない!』
『いやぁ? 如何に金に汚い主でも、流石に渋ると思うぞ。それは主が、お前の為に用意した金だろう?』
──あ、主が私の為に……って、セラフ! どうして天使であるお前が、割引悪魔の肩を持つんだ!?
『そうだなぁ。愛の方向性を間違えている』
愛用の弓の手入れをしながら、キューピッドまで!
うぅ……全員で否定ばかり──貴様ら全員、捕食してやろうか!?
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『むぅぅ………………ッ!』
『拗ねるな──あとその豚の貯金箱を仕舞え。さて、では会議を続けるが何か案のある者は居るか?』
くそぉ、ジャバウォックめぇぇ……貴様まで否定派だと言うのか!!? この部屋から出せぇッッッ!
前後左右透明な壁で仕切られた隔離部屋の中で暴れるが、くそ。全く出れん、どうなっているんだ此処は!
試しに擬態を解くが──むぅ、上もか!?
ぅうう……おのれぇええええええぇぇぇッ!!!
『うーん、そうねぇ……「お手伝い券」とかどうかしら? ほら、境ちゃんてば最近バタバタしてるし』
『良いですね! さすがイザナミ様!!!』
と、サトリの一押しにより……一先ず、候補欄に『お手伝い券』と記される。
『………………解せん』
何故、アレが良くて『現金』がダメなんだ!?
やはり虐めか??? 私はいま、虐めを受けているのでしょうか……主?
懐から写真を取り出し、問う。
『うぅ……みんなが、私を虐めるんです主ぃ!』
「──そうかぁ。それは辛いなぁ〜」
あぁ、イマジナリー主の声がする!
『なぁバアルや、もうキメラが色々と限界そうなんじゃが大丈夫か? 一旦、解散するか???』
『アレは放置で大丈夫です、病気なんで』
ふッ、そんな妬み痛くも痒くも無いわ! イマジナリー主がヨシヨシしてくれるからな!!!
『あとジャバウォック、出現させた主の幻影を消せ。そのクソ虫に甘やかしは不要だ』
『──グルォ?』
(──いいの?)
『構わん。見てて腹立つから消せ』
──ッ!?
い、イマジナリー主が……消え、た、だと!??
そ〜……(`・ω・´)つー _| ̄|○
『女神も無意味なコトはしないように。はぁ、それで他に意見は? 案はあるか???』
『──ヴォン!』
(──はい!)
………………ケルベロス、か。
『ヴァルルルゥ!?』
(ちょっとお高いドッグフードとかどうです!?)
『はぁ? 貴様、この犬コロめが……主にドッグフードを食わせるつもりか??? あ"ッ?』
モフモフだからと言って、図に乗るなよ!?
『……流石に、それはキツいな…………』
『キューン、アォーーーーーン……』
(ダメですか、美味しいのに……)
『グルルルルル、オォン!』
(理解るよ、美味しいよね!)
おい割引悪魔──フェンリルの後押しがあるとは言え、ソレを案として書くのなら『現金』も書け!
『……シャー! シーーーーー?』
(……それなら! 自分の皮とかどうすかね?)
今度はお前か、ヨルムンガンド。
『えっと、ソレはどういう……?』
『シャーーー、シューシューーーーー』
(あのですね、人間の間では蛇の皮って縁起物らしいんですよ)
『ほぅ?』
──あ、また書いた!?
『差別だ! 此処で差別が行われている!!!』
『喧しいぞクソ虫。他に案のある者は居るか?』
オマケに軽くあしらわれた!? このぉ、割引悪魔めが調子に乗りおってぇ……!
『お! ピーンと来たぞ!!!』
ちッ、次はイザナギか……。
どうせまた欄に書くのだろう? 虐めマジ格好悪い──クリスマスが終わったら、主にチクッてやる!
『春画とかどうか──ちょ、冗談! 冗談じゃからイザナミちゃん待っ──ッ』
『──さいってい!!!!! 天誅!』
そう、イザナミが叫ぶや否や……赤色の光の束が、爆音と共に上空より降り注──あ。
■■■〜〜〜如月宅〜〜〜■■■
「──はぁぁ、クリスマスプレゼント……どうしましょうか? 難しいわね〜???」
『にゃーーーーーあぉーん! ふるるるるぅ!』
(両陣営からハブられる我! だがそれも良し!)
だが、せっかくの機会だ。我のこの熱く煮え滾る忠誠を是非とも、ご主人様に示したい!
『ゴロゴロゴロゴロ、にゅーーーーーん!』
(そしてあわよくば、蔑まれたい!)
「あら、タマちゃんお腹空いたの?」
ふむ! 決めた!!!
ご主人様のお母様の膝の上から飛び降り、我は行動を開始する!
「え? お外に出たいの???」
──困らせてしまい申し訳ありませんお母様! ですが、ですが! コレは全てご主人様の為!!!
『ふるるん、ふにゃー!』
(仕置きなら、後で幾らでもお受けします!)
それはもぅ、喜んで♡
「あ、こら! タマちゃん!!?」
──玄関のドアが開いた隙に、我は外へと飛び出した。
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