出戻りとアルバイト
コレにて、財閥編完結!
──それと、次回の投稿はお休みしますm(_ _)m
( -∀-)つ『次回 クリスマス編』 4/19投稿予定!
──数日後……。
■■■百鬼コーポレーション/社長室■■■
「──ほら、次の書類をサッサと回収して持って来なさい? で・も・ど・り・クン♡」
「拳骨か手刀、どっちが良いですか?」
ぬぐぐッ、図に乗りやがってぇぇ──ッッッ!
……んあ?
あ、どうも──ご覧の通り、この度、再度この百鬼コーポレーションに戻って来ました社畜です。
ん、今は何してるのって???
………………良い質問だ。
ボクは現在──この超悪ブラック会社の極悪社長に陰湿な虐めを受けている真っ最中ですね、はい。
もし裁判になったら、その時は宜しくな(^ ^)
大丈夫だ、負けないように数枚(会社にとって)アカン書類を紛れ込ませておくからよ! くききききッ!
──とまぁ、冗談は置いておいて……はぁ、どうするかなぁ?
「ふぅ、じゃあ一緒に行きますか? お嬢様???」
とりま、ずっとオレと社長の近くでソワソワしておられたお嬢様へと声を掛ける。
「ッ、勿論行きますわ!!!」
そう、大変元気の良いお返事をされるお嬢様。
幻覚か……その背後には、犬の尻尾のようなモノが左右にブンブンと──は、激しいなぁ〜。
「ですが、如月! 此処では私も唯のアルバイト、お嬢様はやめて下さいまし。金芽、で宜しくてよ!」
「………………」
「ブフッ! 呼んであげなさいよ、如月???」
…………ふぅ〜〜〜、やっぱ『目潰し』か?
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「ねぇアンタ──下剋上って言葉、知ってる???」
「お姉様ぁーーーーーーーーーーーッ!? だ、大丈夫ですのソレ!!??? 目が真っ赤ですわよ!??」
下剋上? いや、オレの辞書には無い言葉っすね。
「良いですか? いくら社長とは言え、図に乗ったらキチンと制裁を加えるのも部下の役目なんです」
「そ、そうですの!? 本当に!!?」
えぇ──そうですのよ、マジで。
だから今度、あの爺が仕事サボってゲームをやり始めた時にでもヤッて差し上げて下さいまし。
──きっっっと、(部下が)喜びますわ!!!
ニコリ、お嬢様に笑い掛ける。
「さて、それじゃあ行きましょうか──金ちゃん?」
「ちょッ──それでは呼び方がお爺様と同じではありませんの!? ちょっとお待ちなさい、如月!」
──じゃ、行って来ま〜〜〜す!
・
・
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「…………はぁ、全く。ホント、人生ってどうなるか理解らないものよね──? 目薬、あったかしら?」
◆◆◆〜〜〜エレベーター内〜〜〜◆◆◆
「──ところで、お嬢s……金ちゃんは、嫌じゃないんですか? こんなパシリみたいな仕事???」
稼働音しか聞こえないエレベーターの中で、オレはふと気になった事をお嬢様に問う。
オレはまぁ、仕方無いから受け入れるが……。
アルバイト初体験のお嬢様からすれば、こんな仕事は嫌では無いのだろうか?
つーか、良く採用したな。社長も。
オレへの制裁後に、何か爺と密約でも交わしたのだろうか? でもそれで、わざわざこの会社でバイトを?
──無きにしも非ず、だが……それで大事な孫娘をこの会社に? 孫娘命の、あの爺が???
「何ですの、急に? 確かに、不満が無いと言えば嘘になりますけれど、学べる事も多くて楽しいですわ!」
と、何故……オレを見て言うんですか、お嬢様?
しかも、不満の部分で見ましたよね??? え、もしかして……オレ、嫌われてます?
「私は──本当に何も知らなかったのだと、そう改めて思いましたわ。お姉様はとても優しい方ですし」
「──金ちゃん、良い頭の病院がありますよ。それとも、目の方をご紹介しましょうか?」
それとも、ストレスか??? やっべ、財閥がマジでこの会社を潰しに来るぞ。
「もう! 茶化さないで下さいまし!!!」
「え? ぁ、すみません???」
もしかして、マジで言ってたのか??? ぇ、あの社長が………………優しい?????
「他の方々もそう、私……あんな卑劣な事をしでかしたのに、皆さま──笑って許して下さいましたし」
それはまぁ、そうっすね?
呑気と言うか……器がデカいと言うか。オレなら、散々喚いて絞れるだけ絞るわ。
「実はあの後……大平様の所にも、お姉様に連れられて謝りに行ったのですけれど──何故か、お爺様やお姉様共々……晩御飯をご馳走になりましたわ」
──ん? え、晩御飯???
へ、なんで? あッ、丁度メシ時だったとかか?
良いなぁ〜〜〜、ウチは最近キメラがメシを作ってくれるんだけど……何故か、オレのだけヘルシーで。
いや、作ってもらえるだけ有難いんだけどッ──我儘を言うのなら、こう身体に悪そうな濃ゆいモノを。
『── ── あ る じ ?』
ひぃッッッ!?!!?
「いやいやいやいや違う違うッ!!! 偶には、そういうモノも懐かしいなくらいだから! メチャクチャ感謝してるし、もう狂いそうなくらい美味しいから!」
だから野菜盛りは勘弁して下さい、キメラ様!
主は野菜だけでは生きられない弱い弱いクソ雑魚なナメクジ以下の生命体なんですッ!!!
『………………ふむ、まぁ良いでしょう。だが、其処の雌──貴様、なぁにが皆さまだ!』
よっしゃッ──って、ん???
『私は、まだ、謝罪を受けていないが!?? 私の事を散々クソ虫、害虫、やだもう不潔ですわ! とか言っておいて──ッ!!!』
「──ちょっと! なんか言ってないモノまで混ざっておりませんこと!?」
うん。混ざってたな???
それに……あれ? 確か、お前もなんか言っ──
『── ── あ る じ ? ? ? ? ?』
うんにゃ、主、何も言ってませんぜダンナ!!! オラ、あっち行け( `ω´)ノシ===(思考)
許せ、皆の衆……胃袋を掴まれた人間はな、皆、等しく無力なモノなのだよ。許せ、お嬢様。
『さぁ、「ごめんなさい」をしてもらおうか!』
でもコイツ、今日はいつにも増して元気だな? 暖房が効いてるからか???
「──ッ、ま、まぁ確かに失礼な事を言ったのは事実ですわね……申し訳、ありませんでしたわ」
お嬢様──ッ! (´;人;` )
おい爺見てるか!!? お前の孫娘、マジで一歩踏み出して立派に大人の階段を上がり始めたぜ?
ホラ、キメラくん! お嬢様がちゃんと『ごめんなさい』をしたんだから何て言うの!? んッ?
『フッ、仕方無い許して──』
「──でも、私……本当に、虫だけはどうしても苦手なのですわ。ですから、どうかその姿のままで……」
(˙-˙ )
(˙-˙::.
先に、帰ってます──。d(:..
「キメラぁああああああぁぁあああああああああああああぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁ──ッッッ!!!??」
キメラが心に重傷を負って霧散した!??
──チーン。
と、同時にエレベーターが指定の階層に到着し……扉が開く。
瞬間──突風のように強い風が、吹き抜けて行ったが……オレは、ソレを見送る事しか出来なかった。
──せめて、オレの晩飯が……食えるモノでありますように。お願いします、キメラ様!
■■■それから数時間後──■■■
「──よし! それじゃあお疲れ様、二人ともあがって良いわよ!!!」
「へ〜い、お疲れ様です。極悪社長……(ボソッ)」
「お姉様もお疲れ様ですわ! ん〜〜〜ッ、とても清々しい気分ですわぁ!!!」
そう、伸びをするお嬢様。ウンウン、仕事終わるとテンション上がるよねぇ理解る〜〜〜☆
「如月、アンタ今……何か言っ──?」
「──ってないデス! あ、金ちゃんちょっと!」
話を逸らす+用事の為にお嬢様を呼び止める。ごめんね、仕事終わりに。
「? 何ですの、如月???」
不思議そうな顔で、お嬢様は問うてくる。
ふッ、こういうのは長引かせず──サッサとやってしまうのが良いと、如月さんは知っているのだよ!
「金ちゃん──金ちゃんは、何時ぞやにした賭けを憶えてる?」
問う。
すると、少しばかり……お嬢様は悲しそうな、申し訳無さそうな顔をすると小さな声で、
「無論、憶えてますわ。本当にごめんなさ──」
「──あ、いや謝罪はもういいよ。あの時、ちゃんと受け取ったから」
そうではなく……オレが言いたいのは、
「賭けはまぁ、アレになっちゃいましたけど──金ちゃんは、色々と頑張ろうとしているので」
そう、見ていて思ったので。
「──僭越ながら、この如月! あの時に、金ちゃんが欲しがっていたモノをご用意致しました!!!」
「へ!? ほ、ホントに……本当に、ですの!!?」
本当に、ですのよ! いやぁ、高かった。
「では、お嬢様──目を閉じて下さい」
「──は、はひッッッ!」
あらあら、余程欲しかったんだな。そんなに声を裏返らせてまぁ──^ ^
「……え? 嘘でしょ、アンタ此処で何かするつもりなの!?? TPOは弁えなさいよ!?」
と……は???
なに、言ってんの社長? ただ、プレゼントを渡すだけなのに。
でも、近付いてみると──お嬢様? お嬢様も何かその……俗に言う、そういう顔をしてません???
──あれ? オレ、なんか間違えた???
「お、落ち着きなさい!? アンタには綾ちゃんが居るでしょうが! ハーレムエンドとかちょっと──」
ハーレム???
いやいやいや、ナイナイ! 騙されるな、オレ。コレは今まで恋愛をしてこなかった社長の妄言。
オレは、騙されないぞ!
と、お嬢様の左手を拝借する。
手を拝借した瞬間、お嬢様がピクリと動く。
「手! 手に何するつもりなのよアンタ!!! まさかアレか、見せつけか!? 三ヶ月分かぁ!!?」
そして、ソレを見て勝手に叫び出す社長。
【急募】 社長の黙らせ方。
──は、まぁ置いといて……。
拝借したお嬢様の手に、例のプレゼントを握らせる。
「はい、もう目を開けて良いですよ」
「──へ?」
「──はぁ?」
え? なに、その顔???
何でそんな顔をして──?
「あの………………如月、コレは何ですの?」
オレが握らせたプレゼントを見て、お嬢様が低い声で呟く。
──え? ご存知で無い???
超有名店のヤツなのにッ!??!?
「何って──プロテインですけど?」
お嬢様のあの馬鹿力。
そして、コチラを物欲しそうに見る赤い顔。
財閥、金なら腐るほどあるだろうお嬢様が……男のオレにねだらねばならないモノ!
そう、つまり──プロテインだ!!!
と、いうオレの完璧な推理に何か落ち度でも?
「──帰りますわ」
「送るわ」
低い声で、そう告げてサッサとその場から立ち去るお嬢様。あと『ないわー』という目をした社長。
&、一人寂しく残されるオレ。
???──オレは、いったい何を間違えたんだ?
◆◆◆〜〜〜数日前/面接〜〜〜◆◆◆
「──お姉様の元で、色々と学びたいのですわ!」
「ちょッ、待たんか金ちゃん!?」
「宜しい、採用よ!!! この私が、立派な経営者に育て上げてみせるわ!」
ここまでお読み下さり、ありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ