時間稼…ぎ? 3/3
次回の投稿は私用の為、お休みします。
次の投稿日は3/26です。ご迷惑をお掛けし、申し訳ありませんm(_ _)m
──何が、起こった???
パラサイトが勝手に盾を展開した瞬間……凄まじい衝撃に襲われて…………?
「──?」
気が付いたら、上空に……飛ばされ……?
・ ・ ・ は ? ? ? ? ?
パラサイトの翼を広げ、バランスを取る。
『申し訳ありませんご主人様ぁーーーーーッ! 幾らでも、このタマ、幾らでも仕置きを受けます故──』
視線を下に向けると──尻尾ブンブンの悪魔が、そんな事を宣っていた。
下から、上に拳を突き上げた……俗に言うなら、アッパー後の姿勢のまま…………な?
「・・・・・・。」
コレは、つまり──?
頭の中の、点と点が、線で繋がる。
この悪魔、またやりやがったな? と、いう極太一本の線で。繋がったのだ。
「はは……ははははぁ…………」
理解した瞬間、口角が上がり──喉の奥から、溢れるように声が出る。
「──アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッッ!!!!!」
あぁ、まったく……。
腹を抱え、自分でもどうかしていると理解るほど、嗤った。それはもう、声高らかに。
「ハハハハハハッ……はは…………はぁぁ。」
あー、嗤い過ぎて腹が痛い。乱れた前髪を、片手で掻き上げ──
「──ぶっっっ●す!!!!!!!!」
怒鳴る。
そしてスマホを操作し、激化薬を出現させると……ソレを手に取り、ゴクリ。
一息に……飲み干した。
◆◆◆
「へ? ちょ、いま先輩何飲んだ!?!!?」
「嘘だろ──まさかアレって!?」
『──激化薬だ』
『──激化薬だな。余程、あの悪魔にぶっ飛ばされたのが癇に障ったらしい』
「いやいやいや!? そんなノンビリ言ってる場合じゃないでしょ、どうするの!!???」
『『──さぁ? まぁ、元主/主の好きなようにさせてやるしかないのでは/だろうな』』
「魔王が魔神に進化するかもしれないんだよ!?」
『『だが、被害を被るのはあの悪魔だし……本人も望んでいるようだし、別に構わないのでは??』』
「それは、そうかもしれないけど──ッ周辺の被害はどうするのさ!!?」
「オレ、ちょっと止めに行って来ます!!!」
『やめとけ。元主に秒殺されるだけだ……って、もう行ってしまったか』
『──あぁ、それならジャバウォック共に再度スキルを発動させるように言ってこよう。カメラよろ』
「あ、了解です」
「いや止めようよ──佐藤ちゃん!?」
・
・
・
「……半裸で放置するのは、やめてくれないか?」
『──ピィ』
「くっそ、あの如月めぇ……あ、大平ぁ、オレの上着貸してやろうか?」
「だから、『さん』を付けたまえと──いや、ありがたく借りるよ……ありがとう」
◆◆◆
ぐにゃり……と、一瞬──視界が歪む。
激化薬を飲んだ事に対する、身体的異常かとも思ったが…………違う。
「ジャバウォックが、スキルを展開させた……か」
流石、ステータス10倍。
いつもより、思考がクリアだ。少しだけ、頭が痛いが力に代償は付きもの。
──甘んじて、受けよう。
そして、『ぶっ●す』と叫んだ反面……大変に恥ずかしいのだが、怒りが嘘のように凪いでゆく。
成程、ステータスが10倍という事は、必然的に思考力なども10倍になるという事か。
つまり、結論を言えば──今のオレは、スーパー如月さん状態という事だなOK理解した。
「なに……如月の様子が変わった……? ヘンタイ悪魔、気を付けなさい!!!」
如月って、しかもそんな堂々と。
『あぁ……ああッ! 感じる、感じるとも!!! ご主人様の激しい怒気を、はぁんッ♡ 気持ち良い!』
目を迸らせ、涎を垂らし、叫ぶ悪魔。
魔性って怖いな──と、改めて思う。あと、怒りは凪いでいるのだが……いったい何を感じ取ったんだ?
「パラサイト、こうッ──ん?」
パラサイトに命じようとした矢先……何かが、いや、久遠がバハムートに乗って飛んで来る。
「──先生! もうやめてくれ、オレも、オレも一緒に謝るからッ!!!」
「久遠……」
必死な顔で、久遠はオレを止めようと手を伸ばす。
「先生が、何でその……闇討ち?に手ェ貸したのかは理解らねぇけど、いや、そもそも闇討ちしたのか?」
緊張と恐怖で混乱しているのか、『あれ?』と首を傾げる久遠。
「落ち着け、オレは闇討ちなんてした憶えは無い」
「──は? ちょっとそれどういう事よ!!?」
社長が、久遠同様……驚いた顔を向けて来るが、オレってそんなに信用が無かったのか?
いや、まぁそうか……そうか(・ω・`)
「どうもこうも──闇討ちなんてオレはしてないし、する必要も無いでしょ?」
そもそも潰すなら、真っ向からやるわ。面倒臭い。
「じゃ、じゃあ何で金盛を逃したのよ!?」
ごもっともな意見だ。だから怪しまれて、こんな事になったワケだしな。
「それは、その……すみませんでした。上司からの依頼だったモノで」
ちゃっかりと、上司を売りつつ告げる。何なら、証拠品も見せようか?
「──はぁ!!? 依頼ってどういうッ!?」
混乱した様に、社長は怒鳴るが……それよりも。
「久遠、すまん」
「──先生ッッッ!?」
オレは、やや強引に久遠を……というか、バハムートを突き飛ばした。瞬間──
「──くッ」
下から伸びて来た巨大な腕に、鷲掴まれ、そのまま悪魔の眼前へと玩具のように運ばれる。
『フーッフゥーッッッ♡ そんなどうでもいい事よりも、早く、早く仕置きを! ご主人様!!!』
目を迸らせた悪魔が、荒い呼吸と共に懇願してくる。
「──全く、待ても出来ないのか? 悪い仔だ」
『ンン〜〜〜ッ♡♡♡ も、申し訳ありません!!! ご主人様ぁ♡』
お前、絶っっっ対思ってないよな? それ。
まぁ、いいか。
だが、仕置きか……それは中々に難しいと言わざるを得ないな。だって、悪魔お前──
痛めつける→喜ぶ。
蔑む→喜ぶ。
無視する→喜ぶ。
その他etc→→→ 喜 ぶ ! ! !
──だろ? この世の、そういうアレを煮詰めた様な性格?性癖?してるじゃん……お前。
そんな奴の、仕置きになる様なことか。
あ──いっその事……。
「ちょっと悪魔! まだ話が──!?」
「──先生を離せ!!!」
と、ワイバーンとバハムートによるブレス攻撃を喰らっても……悪魔はビクともしない。いや、寧ろ──
──喜んでいる。
『んふふふふふッ温い、温いわ! もっと、攻撃とは激しくするものなのだ!!! 全然良くない!』
やり直し! と、悪魔は叫ぶ。
流石は魔性……攻撃されても、やり直しを求め喜ぶその精神。正直、今のオレでもキモさを感じる。
「──この! ヘンタイめぇ!!!」
「バハムート、全力でブレス攻げ──」
「ストップ──待って下さい!!!」
オレは、社長と久遠に停止を呼び掛ける。
──そんな事をしても、奴を喜ばせるだけだ。
「なに!? コッチはアンタにまだ訊きたい事があるのよ! だから仕方無しに解放してやろうと──!」
「──大丈夫です、理解ってますから! ちゃんと質問には答えますし、絶対に逃げないと約束もします」
ステータス10倍を舐めないでほしい!
社長が何を言いたいか、久遠が何を思っているのかちゃんと全部理解っている!!!
その上で、告げる──!
「だから──何もせずに、黙って見ていて下さい!」
◆◆◆
『アリス、サッキハ驚イタ……』
『…………グル』
『アリスモ驚イタ??? フフ、アリスモ一緒ナノ凄ク嬉シイ!』
『グォ……?』
『ン? アレ、ナ──!?』
「──ごめんなさい! 私、今とても急いでおりますの通して下さいまし!!!」
・
・
・
「ちょ、か、金ちゃん! こ、これはす、スピードの出し過ぎじゃぁないかの、ぉおおおおおッッッ!?」
「何を言っていますのお爺様! フェンリル、怪我が治ったところごめんなさい、でも急いで!!!」
『──Gurrrrrrrr!』
暗闇の中を、白銀の閃光が駆け抜ける。
「(ちゃんとお爺様とも話し合いました……私の考えはまだまだ甘い。けれど──)」
──今、何をすべきなのかは……少なくとも理解ったつもりですわ!
だから──ッ!
『──ひぃいいいいいぃぃッッッ!?!!? や、やめて……お辞め下さい! ご主人様ぁあああ!!!』
ここまでお読み下さり、ありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ