なんで 何処にも 居ないのよ!?
■■■side 社長■■■
──なんで 何処にも 居ないのよ!?
「あんの裏切り者めぇぇ……いったい、何処に、隠れやがったァアアアアアアアアアアアアッッッ!?!!?」
『キュ、キューーーン……』
(いや、自分に訊かれましても……)
ふぅー、ふぅーーーッッッ……!
……落ち着きなさい、百鬼 千尋! 此処で焦ったら、ますますあの裏切り者の思い通りよ!!!
冷静に、冷静に──考えて……!
ハッ──そうだわ!?
スマホを取り出し、とある番号に連絡する!
『──はい? 上野っスけど、珍しいっスね……何かあったんスか、社長???』
「あ、上野くん!? 遅くにごめんなさいね!」
我が百鬼コーポレーション『隠密部』、その部長こと上野 一! 選抜理由は何となく、よ!!!
『それは別に構わないっスけど……マジでどしたんっスか? オレ、何かしちゃいました???』
「いえ、ちょっと貴方にお願いがあってね」
スマホの先から『え? お願いって何スか???』と、若干……出なきゃ良かった感を醸し出す上野。
「──至急、隠密部を動かしてほしいのよ!」
『ぇえ!?? ちょ、そんないきなり言われても困るっスよ! オレ達にも予定というモノが……!!?』
んなモン理解っとるわぃ! その上で、こうして頼んでんでしょうがッッッ!?
その言葉を呑み込み、話を続ける。
「………………特別手当て……欲しくない?」
『 や る っ ス ぅ ! ! ! ! ! 』
──ふッ、チョロいもんよ。
『で? で??? 仕事内容はなんスか!? 何処に侵入するんスか、誰の情報を抜くんスか!!?』
「話が早いわね。欲しいのは、如月の位置情報よ!」
『──え"?』
ん、何よその声は???
『き、如月さんっスかぁ……マジかぁぁ……』
ははん? コイツ、さてはビビってるわね???
まぁ、理解らなくも無いわよ? でもね、今回ばかりはそうも言っていられないの!
「ちなみに、如月を捕まえた者には──手当て二倍よ」
『──やるっスぅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ♡♡♡』
ふふ、話が早くて助かるわ!
「じゃ、任せたわよ。上野くん!」
『うっす、任せて下さいっス! いやぁ、推しのガチャに課金して金欠だったんスけど天からの助ッ──』
──ぶつんッ!
さて、私は私で捜索を続けましょうか!
そう言えば──アイツ……「何かありました?」って随分と白々しい事を訊いてたわね???
もしかすると──!
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「──佐ァァ藤ォオオオオオッッッ!!!!!」
「ぶふッッッ!?!!? な、何だねいきなり!?」
「どうしたんですか、社長さん???」
病室内には……飲んでたお茶をそのまま吹き出した佐藤に、驚いた顔の綾ちゃん──のみ、か……?
「──此処に、如月が来なかった???」
そう、警戒心剥き出しで訊いてはみるけど……
「如月くん? いや、来ていないが???」
訝しんだ顔のまま、佐藤は言葉を返してくる。
「チッ! 読みが外れたか……!」
てっきり、此処に来てるかもしれないと思ったんだけどね──何かアイツ、情報求めてたし。
ついでに、お見舞いという体で来れば佐藤の好感度も上がり……綾ちゃんを攻略し易くもなる!
かーーーッ! セコいわね、マジで──って、そうじゃなくて!?? アイツがセコいのなんて今更よ!
「あの……如月さんが、どうかしたんですか?」
小さな声で、綾ちゃんが問うてくる。
「あー、その……実はね──?」
報
連
相
「──なるほど……如月さんが、父を襲った人のことを何か知っているかもしれない、と?」
「えぇ。あくまで『かも』だけどね」
そう答えると……綾ちゃんが、俯いてしまう。
──そりゃ、そうよね……綾ちゃん、あの如月の事が好きなんだから、そりゃあ辛いか。
正直な話……
何処を好きになったのか微塵も理解出来ないけど。
「突然お邪魔してごめんなさいね? 私はこのまま如月を捜すけど、綾ちゃんはこのま──」
「──理解りました、私も手伝います!!!」
………………へ?
「あ、綾? その、父さんの看病は──?」
「──父さんはとても強いって昔言ってたよね? だから、父さんは一人でも大丈夫!!!」
ガッ! と、綾ちゃんは拳を握る。
…………今更かもしれないけど、この娘、如月が関わると性格変わるわよね??? 恋は盲目なのかしら?
「じゃ、行きましょうか社長さん!」
「え、えぇ……(ごめんなさいね、佐藤)!」
真っ白な灰となった佐藤に心より合掌を送るわ。でも恨むのなら如月を恨んでね? 佐藤。
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「──あの、社長さん。如月さんだって人の子です、家には戻るのでは???」
「それだわッッッ!!!!!」
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「──先生なら、まだ帰って来て無いっすよ?」
無慈悲に返される言葉に、膝を突く!
「クソがぁ! あんの裏切り者めが、マジで何処に居るってのよぉーーーーーッッッ!?!!?」
「し、社長さん落ち着いて! どうどう!!!」
懐から、スマホを取り出し──
「──田中ぁあ! 如月知らない!??」
ワンチャン、ホントにワンチャン……訊く。
『え? 知らな──』
「──知っときなさいよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!!!!!」
『えぇッ!? んな事言われても!??』
あいつマジ、何処に居るのよ!?? なに!? 透明人間にでもなったの!!?!?
「──佐藤……女社長、どうしたんだよ?」
「えーと、それが──」
説
明
中
「──しゅ、襲撃!? それに先生が何か関わってるかもってマジで言ってんのかよ、なぁッ!!?」
「落ち着いて! 知ってる『かも』だから!!!」
「落ち着いていられるか!!! 先生が、先生がそんな事するワケg………………ッ!」
久遠くんは言葉を止め、ソッと目を逸らす。
「──久遠くん、貴方は間違っていないわ……」
肩に手を置く事しか出来ない私を、どうか許してちょうだいね。久遠くん。
「い、いや流石にそれは──そうだ! 電話、先生に電話して訊けばッ!!?」
「──何度掛けても、出ないのよ。アイツ……」
その一言で……久遠くんが、言葉を失う。
『──なぁ〜〜〜ん、にぃ〜〜〜!』
(──家の前で騒ぐな、近所迷惑とか中々にドS!)
・ ・ ・ 。
私達の目線が、一箇所に集まる。
「そう言えば、アンタ……マジもんの悪魔なのよね?」
玄関から出て来た、猫を見る。
何処から、どう見ても……猫ちゃんにしか見えないけれど──ものは試し、よねぇ?
手詰まりだし、悪魔頼みも……仕方ない、わよね?
『にゃ??? にゃぉごぉ?』
(なんだ??? 何やら背筋がゾクゾクするぞ?)
ここまでお読み下さり、ありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ