この偽物め!!!!!
■■■side 社長■■■
──一方的に切られたスマホを見る。
「アイツ……絶っっっ対に何か知ってるわね! こうしちゃ居られないわ!!!」
最低限の用意をし、急ぎ外へ出る!
「出て来なさいワイバーンちゃん! 今から夜空の散歩と洒落込むわよ!!!」
スマホを操作し、ワイバーンちゃんを召喚する。
──あの裏切り者めぇ、絶対に逃さないわ!
草の根掻き分けてでも捜し出してやるから……覚悟なさい如月ぃッッッ!!!!!
■■■
──ズバンッ、ズバズバズバズバズバズバズバズバズバズバズバズバズバズバズバァーーーンッッッ!
『あぶッ!? ちょ、お、お待ちなさい如月!!? 私ですわ! 金盛 金芽ですわよ!!??!?』
器用に投槍無双を躱し、お嬢様が叫ぶ!
その瞬間──ピタリと、無数に投槍を投擲していた先輩の腕が、止まった。
「貴女が、金盛お嬢様???」
投槍を構えつつ、先輩は訝しむように問う。
『そうですわ! 貴方の金盛 金芽ですわ!!!』
──おいコラ待て……なにドサクサに紛れて言ってるのかな、このメス●キ風情が。
「………………」
『ですから、其処の愚か者を早kゅ──ッ!?』
──ズドァーーーーーーーンッッッ!!!!!
お嬢様が立つ……いや、立っていた地面が、破砕音を上げて──粉々に、消し飛ぶ。
無論、原因は先輩だ。
先輩が、笑顔のままブン投げた投槍が……地面を穿った瞬間、爆音を立てて爆発……したのだ。
『──ひ、ひぃッッッ!??!?』
フェンリルが咄嗟にお嬢様を庇い、飛び散る瓦礫からお嬢様を守る。が、爆発の余波……
そして、不気味な程ニコニコしている先輩を前に、
恐らく……腰が抜けたのだろう、お嬢様はその場にへたり込んでしまう。
「──嘘を吐くんじゃねぇよ……偽物が」
『へ……?』
不気味な笑顔のまま放たれる先輩のド低音ボイスに、お嬢様はカタカタと身体を震わせる。
にしても……偽物?
「ウチのお嬢様はなぁ──気高くて、真っ直ぐで、ひっっっじょうに優秀なんだよ!!!」
………………………………は???
「んで──人にも感謝出来て、頑張り屋で、ちゃんと仕事もしてくれる──」
え? あの、誰の話をしてるの先輩???
「──努力家で、頭脳明晰で、弁が立って……齢16にして、あの金盛 政次郎氏にも認められて──」
………………あッ(察)
「俗物想いで、とにかく──パーフェクトレディ! そんな実力のある御方なんだーーー(棒)!!!」
完全なる棒読みで、先輩は言い放つ。
『──ぶふッ! そ、そうだーそうだぁー(棒)』
うわ、虫くんまで悪い笑みで便乗し出した!
「そんな御方がなぁ──私怨塗れで恨みがましく陰湿な闇討ちなんて真似するワケないだろう!!!」
──良い加減にしろッッッ!!!!!
と、先輩は非常に満ち足りた顔で一喝する。
うん。もう一度言うね?
めっちゃ良い笑顔で、そう、仮面の女(お嬢様)に言い放ったんだよ。先輩が。
要約すると──テメェみてぇな私怨塗れで恨みがましい陰湿な奴が、ウチのお嬢様なワケねぇだろ!?
って、言ったの。仮面の女(お嬢様)に。
『ッ──ち、ちがッ!?』
先輩による真っ向からの否定に、その意味を理解したのか……か細い声で否定しようとする仮面の女。
だが──
「──まだ言うか! ウチのお嬢様の名を無断で名乗り、その顔に泥を塗らんとする不届者めが!!!」
先輩は怒鳴り、武装を投槍から大型の銃のようなモノへと変形させると、
『ひぃッ!? ふ、フェンリル!!! 逃げ──』
無様にも、自分のモンスターに咥えられるという形で逃走を試みる仮面の女に、
…………その銃口を向けた。
「逃げようたってそうはいかねぇ! キメさん、上空は任せたぜぃ!!?」
『──へぃ! 任せて下せぇ主!!!』
あー、先輩達……ノリノリだなぁ。
余程、鬱憤が溜まっていたんだろうね──メチャクチャに良い笑顔だよ二人とも。
『──ッ──ッッッ!!!!!』
うん? 歌声が……止んだ???
『──……』
「あぁ、お疲れ様。ミシャンドラ」
そう言えば、先輩の乱入で忘れてたけど……ミシャンドラにヘルを任せたんだったね。
ごめん、すっかり頭から抜けてたよ。
取り敢えず、これでお嬢様のモンスターは多分、フェンリル一匹の筈だ。
──冷気もじきに収まるだろうし……。
「あの問題児は先輩に任せておけば良いとして、僕は一先ず──大平さんの様子でも見てるか」
あれ? そう言えばバアルは──
『──私も手を貸すぞ、元主よ!』
『いらん! 帰れ割引悪魔ぁ!!!』
「バアルか! よし、それならお前は奴らの逃走経路に炎壁を設置しろ!!! 絶対に逃すなよ!」
………………あー…………ね?
「──犯人を捕らえるぞ、お前らぁ!!!」
『『──応ッッッッ!!!!!!』』
『わた、私の話を聞きなさい如月ぃいーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!』
ここまでお読み下さり、ありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ