VS 卯/亥2
◆◆◆_| ̄|○◆◆◆
──おっすオラ如月!!! ヌッルヌルびちょびちょな格好で現在、レース最後の氷山エリアに居っぞ!
ん? そのハイテンションはどうしたって??
……気にすんな!! 連続でクッソみてぇな事が起きたから現実逃避してるだけだ!
んん? どうしていきなり氷山エリアに居るの、海エリアは?? って?
…………気にすんな!! 意図的に除外したんだ。海エリアなんて最初から無かった、イイネ?
んんん? 何でヌッルヌルびちょびちょの格好をしているのかって?
………………気にすんな!! 大人用禁書に出てきそうな野生の触手に襲われただけだ!
おい、ちょっとこのマップの作成者出てこい。Dか? Eか?? どっちだ?
……百歩譲ってな? 触手がレースを妨害してくるのはまぁ、いいわ。
でさ、その触手がな? 大人な禁書で出てくるような、ヌルヌルでネバネバなピンクい触手なのも……まま、ええわ。
………………でもな──?
──何で襲われたのが、オレだったの???
おかしく無い? おかしいよな(怒)??
普通さ、触手に襲われるのは女性キャラじゃん。もっと言うなら美女や美少女キャラじゃん!
そんで服の中とかに触手が入ってきて、あんなトコやこんなトコなんかをモニュモニュされて「らめぇぇ!!!」ってなるのがお約束だろう!!?!?
……それが全世界共通の礼儀だろうに!!! それをお前ぇッ! なんでオレ!?
マジでふざけんなよ!! どうせこういう展開になるんだったら、オレは綾ちゃんが触手でモニョモニョされて「らめぇぇ!!!」ってなるところが観たかったし何ならその際に助けるフリして色々と──(少々お待ち下さい)
◆◆◆〜〜〜(心が綺麗になる流水映像)〜〜〜◆◆◆
──ふぅ! まぁ、あの触手は八つ裂きにしたし「らめぇぇ案件」は水に流そう!!
だが……問題は触手の事だけじゃ無いんだよなぁ。
オレはキメラへと目を向ける。
『あ、ああるじじじじじざむぐばありばぜんががが?!』
「………………」
はい──キメラ君がね、ダウンしました!!!
ちなみに、さっきのキメラの言葉を訳すと「主、寒くはありませんか?」だ。
うん、いくら擬態して動物な姿をしていてもその正体は虫だからなぁ、寒さに弱いのは仕方ないさ………………やっべ、どうしよ?
──どうすればいいかなぁ……もう別のモンスターに乗り換えるか?
でもそうしたら、絶対に後で拗ねそうだしなぁぁ──いやでもこのままキメラに騎乗してレースを続行するのは……、
『おおお炬燵のな、な中でああ温まりたい……あ、ああるじじじとと、ぬくぬくじてね、ねねむりりりににつつききたいいぃぃ……』
(訳:お炬燵の中で温まりたい……主とぬくぬくして眠りにつきたい……)
──無理ッ! いくらオレでも今のキメラをコキ使うなんて無理だ!!! 可哀想だろ!
けど、乗り換えるにしてもどのモンスターにするか……先ず、飛行系のモンスターは論外だ。
……この氷山エリアは物凄く吹雪いているので、最悪、ホワイトアウトで方向感覚を失って迷子ルート一直線になる。寒い。
──であれば、やはり陸上系のモンスターだが……なんか良いの居たっけ?
この吹雪をモノともしない、頑丈そうなモンスターで──そうそう、丁度向こうから走って来るような……え?
◆◆◆
「………………」
「さぁ行くわよティアマトちゃん──が召喚した仔!!」
──ブモォーーーーーーーッッッ!!!!!
「………………………………」
いや、世の中ってやっぱどうなるのか分からないモンだよね。
──先ず……なんでこの社長、落雷にぶち当たったのにピンピンしてるの?
そんでこのモンスターは何? なんかトリケラトプスにゴツい翼が生えたようなモンスターなんだけど、社長こんなモンスター所持ってたっけ??
『ランクS/クサリク (Lv MAX)』
それにこのレベル……千尋さんが自分で育てたとは思えないし、そういえばティアマトが召喚したとか言ってたけど──あのスキルが発動したのか?
「ふははははははッ!!! 行きなさい! たとえ視界が白一色でも直進して行けばそのうち何処かには辿り着くでしょ!! ガンガン進めーーー!」
『ψ(`∇´)ψ』
テンション高く社長は叫び、ティアマトちゃんも心なしか楽しそうに見える。
そして──、
「き・さ・ら・ぎくぅ〜〜〜ん!!! どうよ散々下に見てた人間に助けられた気分は〜? そんで何でアンタそんなヌルヌルびちょびちょテカテカなの?? 寒くないソレ?」
『(゜∀゜)?』
──寒いわ!!! 寒くて喋れないの!! びしょ濡れの服着て猛スピードで吹雪いてる氷山爆走されてみろよ喋る余裕無くなるどころか生死の一歩手前だわ!
「うわ、アンタ唇が蒼くなってるわよ? 寒いんなら炎とか出せるモンスターを召喚びなさいよゲーム製作者」
『( ̄∀ ̄)』
──オレだって召喚びたいんだよ社長!!! でもキメラが召喚を許してくれないんだよ社長!!!!!
『ア、ァアアアるるじはぁゎだじじじまぜンよぉォォ』
(訳:主は渡しませんよ)
何を勘違いしているのか理解らんがブルブル震えているキメラの背に拘束されているのでスマホの操作自体が出来ないのだ。無理に降りようとすればズボンが脱げる。
「誰も取らないわよそんなモン。まぁいいわ、せいぜいこの慈悲深〜〜〜い私に感謝しながら生死の境を彷徨ってなさい如月!」
『(`・∀・´)』
…………そうして、マジでこの状態のまま社長のモンスターはゴールに着くまで爆走を続けたのだった。
え、オレ? オレは……マジで生死の境を彷徨ったとだけ言っておく。あと走馬灯も見たし、川は綺麗だった。
見てくれてありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いしますm(_ _)m