襲撃 2/4
■■■翌日/昼/病院■■■
「──はぁ!? じゃあ何!!? アンタ、闇討ちされたってコト!!?!???」
「そうだが……落ち着け。病院では静かに」
いやいやいやいや──ッ!?? 逆に何でアンタはそんなに落ち着いていられるのよ!?
「落ち着いてられないでしょうが!? アンタ、入院するほどの大怪我させられたのよ!!?」
呑気に言う佐藤の様子に、声が荒くなる。
見たところ、それほど怪我してるようには見えないけど! 心配させまいと隠してるんでしょ!?
「──いや、コレは…………」
「あの、社長さん──父の入院は過労と、栄養不足によるモノで……怪我によるモノでは無いんです」
持って来た見舞いの花束を花瓶に活けつつ、申し訳無さそうに綾ちゃんが話す。
「は? エッ……ど、どういうこと???」
間抜けな声を上げる私に、
「最近の父さんは随分とお仕事が忙しかったみたいで、ロクにご飯すら食べてなかったんです……」
と、綾ちゃんが補足してくれるけど──何かしら、言葉にトゲみたいなのを感じるんだけど……?
「い、いやお弁当については後でちゃんと食べようと思っていたんだが……その──」
「──結局忘れてたんでしょ? お母さん、手が付けられてないお弁当箱見て、悲しそうにしてたよ」
あッ、そゆこと!??
「え? じゃあ、闇討ちされたって言うのは──?」
「──確かに、変な仮面をつけた女にモンスターをけしかけられ襲われはしたが軽い凍傷と気絶程度だ」
大した事では無い。と、佐藤が答える。
「…………はぁぁ、何よもう! 驚かせるんじゃないわよ、佐藤のクセに!」
「私のクセにとは何だ!? 此方としては大問題なんだぞ、主に女房との関係が!」
はぁぁあああッッッ!!!!! 安心したら、力抜けてきちゃったわ──よかった。
「ふふッ……お母さん、父さんが帰って来たら縛り付けてでも飯食わせるって張り切ってたよ?」
「うぅぅ──そ、それは勘弁願いたいな……」
仲睦まじい親子の様子も見れたし、私はそろそろお暇しましょうかね!
「取り敢えず、私はそろそろ帰るわね……あ、佐藤!」
「…………何だね?」
む! 今明らかに、面倒臭そうな顔したわね。
言っておくけど──
「──暫くは、アンタに回さなきゃいけない様な仕事は無いからゆっくりと休みなさい! 以上!」
私、そこまで鬼じゃないわよ?
……まぁ、働かせ過ぎちゃったのは反省だけど。
はぁ、こんな事ならお見舞いの品と一緒に有給の申請書でも持ってくるんだったわ。失敗ね。
「……感謝しよう…………社長」
「ありがとうございます、社長さん」
「どーいたしまして。じゃ、私は帰るから」
後は親子水入らずごゆっくり……と、病室から出ようとした所で──
「──あ、待ってほしい社長」
佐藤からストップが掛かる。
「? 何よ??? 有給の申請書類なら、今回は特別に私の方で書いといてあげるけど?」
「──それは有難いが……違う。私を襲った者についてなのだが……」
と、佐藤は静かに告げる。
「相手はどうやら、我々に恨みを持っているようでな──もしかすると、私以外にも襲われるかもしれん」
■■■そして、時は流れ──■■■
(現在──18:50)
「──ふぃ〜〜〜、今日も良く働いたでござる!」
と、言っても……拙者、今ゲーセンから出たばかりでござるけど! グフフフフフフッッッ!!!!!
仕事帰りのゲーセン、何と甘美なモノか──!
しかし、社長が言っていた事は本当でござろうか? 佐藤氏が闇討ちされた等と……。
「フッ──だが、奴は四天王の中では最弱!」
と、言ってみはすれど──心配でござるな〜?
「──まったく、襲撃イベントとは言え……事前に報告すらせぬとは、運営クソか?」
報連相……コレ大事!
事前に予告するからこそ、イベントは盛り上がるんでござるよ。ぷんぷん!
ふむ……だが──
「──思えば、この暗さ……少し傍に逸れれば、行き交う道には、拙者ただ一人! コレはもしや…………」
……絶好のシチュ──では?
ふぅむ──周囲に人影なし!
「──ンンッ! ゴホン!!!」
喉の調子all green!
デュフフ……やはり、拙者とて男。こういう事は、やってみたいんでござるよ!
思い切り、空気を、肺に取り込みぃいいい!
「フッ──誰だ? 其処に居るのは分かっている、隠れてないで出て来たらどうだ???」
──なんつってなんつって!
史上最大級のイケボで言っちゃったでござるよキャーーーーーーーーーーーーーッッッ(/∀\ )
さ、流石に……は、恥ずかCでござるぅ!!!
此処は、速、撤退すべし!
『──ッ!? な、何故分かりましたの!??』
「──ほぇ???」
おろ? 拙者、また何かしちゃったでござる???
ここまでお読み下さり、ありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ