やっぱゲームでshow──(後)
■■■〜〜〜一方そのころ〜〜〜■■■
──どうしよ……めっっっちゃトイレに行きたい!
あ、どうも皆様──コチラ、只今……膀胱さんが絶叫を上げていらっしゃる如月です。
いやぁ、参っちまうよね……?
で、ウチのキメラくん知りません???
いやぁ、最近構えて無いな〜とは思ってたんスよ? でもさ、いきなり縛るのはやり過ぎじゃない?
挙句、放置プレイだし。
オレが簡単に縄抜け出来ない様に両手足までシッカリと縛ってんのは、流石なんスけどね?
せめて──せめて、オムツ……プリーズ。
あの子さぁ、抜けてんのよ。色々と。
オレを心配して今回の暴挙に出たんだなとは思うし、心配掛けちゃったなって反省もしてる。
オレも、ここ最近の記憶トんでるからね???
けどさ──?
──ッ、コレはやり過ぎでは???
オレ、今さ……アニメや漫画とかで、封印されていたキャラ達の気持ちが良く分かるもん。
アイツら、よく耐えれたな? この拷問に。
封印した奴を恨む以前に、トイレの事しか考えられなくなるんだよ。く"あ"ッ──!
──そ、そりゃ良く理解らん強者ムーブだけして去って行くワケだよ。トイレに直行してたんだな。
っ〜〜〜……ハッ、ハァッッッ、くそぉ!
気を逸らすどころか──余計に尿意が……ッ!
おち、おちちちつけッ! 一先ず、一先ずはプランを考えろ!!! この展開を打開するプランを!
Plan1/キメラの帰還まで耐える。
──ハイ却下! おまッ、出来るワケねぇだろ!?
人の心がねぇのか、膀胱さんは今もう絶叫を上げてんだよ保つワケねぇだろうがッッッ!
Plan2/悪魔に頼む。
──正直、オレもコレがベストだとは思う。
『………………( ˘ω˘ )』
この変態が、縄で簀巻きにされた挙句──昇天中じゃなけりゃあなッッッ!!!!!
Plan3/母を呼ぶ。
ならば──残るはもう、コレしか無いか……。
だが、コレは下手をすれば父を呼びかねない危険な賭けだ。何で今日休みなんだ働け!
いけるのか、オレ? 出来るのか、オレ!?
しかもだ──この縛られた姿を晒す事にもなる。下手をすれば父に! 絶対笑われる!!!
だが、だからと言ってお漏らしは嫌だ!
この歳で、お漏らしは……お漏らしだけは──ッ!
「──もががぁーーーーーーーーーーッ!!!」
(──嫌だぁーーーーーーーーーーッ!!!)
「ん、あれ──境夜? 居るのk……???」
ぁ。終わ──
──ガチャ、とドアが開く。
「………………………………」
「もが、もががががが? もがが、もが???」
(オラ、何だよ? 笑えよ、コラ???)
ドアを開けた父と、目が合った。
「あー…………その、声は控えめに……な? 母さんには、誤魔化しておいてやるから──」
──ごゆっくり……と、ドアが静かに閉められる。
「………………」
あれ? 何でだろ……股じゃなくて……目から、お漏らしが出て来──ぅう…………。
■■■金盛財閥ゲームブース■■■
「──き、如月? 貴方、何を言っていますの???」
と、お嬢様が如月に声を掛ける。
『はぁ……まだ気付きませんか? 一流だ何だと言っていたくせに、聞いて呆れますね』
まるで呆れたように、如月──に、擬態しているであろう虫ちゃんが吐き捨てる。
「なッ!? 何ですって、もう一度言っ──」
『──一度と言わず、何度でも言ってあげますよ。私を害虫扱いしておいて、聞いて呆れますね』
無表情で淡々と、虫ちゃんはお嬢様に言い放つ。
「ッあ、貴方まさか──き、如月は、如月はどうしたの!? お答えなさい!!?」
怒りと驚愕が入り混じった表情で、そう怒鳴りつけるお嬢様に──尚も、冷たく虫ちゃんは答えた。
『主なら自室のベッドの上ですよ。満身創痍で尚も此方に来ようとしたので──縛り付けました』
……え? アイツいま、ベッドの上に縛り──
『──破廉恥だぞこのクソ虫ッッッ!!!!!』
「はいはい、ステイ。バアルくんは大人しくスマホに戻ってようね〜、喧しいからね〜〜〜」
あ、出て来て早々……家に強制送還させられたわ。あのイケメンくん。
「…………あの、写真は?」
『あると思うか? 欲しければトレードだ』
あ、綾ちゃん──??? :(;゛゜'ω゜'):
「縛ッ!? そ、それに満身創痍って、ど、どういう事ですの!?? まさか病気!?」
『……は? それ、本気で言ってるのか???』
あ、表情が動いたわ。例えるなら、マジかコイツ…って、思ってそうな顔をしてる。
「? どういう事ですの??」
そして、マジで分からんという顔をするお嬢様。
暫しの沈黙の後…………はぁぁ、と、大きな溜息を吐くと──虫ちゃんは心底嫌そうに口を開いた。
『──ストレスですよ。何処ぞの誰かさんが、随分と勝手をやらかしてくれたので!』
「誰ですのそれは!? 誰がその様な事を──」
『ッ──貴様だ! 貴様が、主のゲームを元にしたあのゲームを勝手に弄ったからだろうが!!?』
「なっ、はぁぁッ!?!!? な、何故それで満身創痍になるのですか!?」
と、お嬢様が心底理解出来ないと言うように……言葉を返す。
あー、何となく……私、理解ってきたわ。
「──確かに、あのゲームを一流に相応しいモノにする様にと命じはしましたけど!」
『その結果が、コレだろうが!』
「けれど、私は私なりにやっただけですわ! それに責任者は私です! 文句を言われる筋合いは──」
『──それ以前の問題だ! きちんと主に報告すらしなかっただろう!?』
「私が知っているから良いでしょう!? それに、如月にはサプライズとして驚かせたかったのですわ!」
『──イカれているのか貴様ッ!?』
「何ですって!!? この害虫風情が!」
何故理解らん!? と、虫ちゃんは叫ぶ。
「それにそんな事でゴチャゴチャと! 間違っていたなら、直させれば良いのでしょう!?」
ッ………………そんな事、ね?
「はぁ、成程ね──だから如月は、虫ちゃんが直接手を出す程に疲れちゃったってワケね?」
そら、疲れるわな? 自業自得とは言え、同情くらいはしてあげるわよ。
「……ッ、どういう事ですの!??」
ちょっと、私を睨まないでよ。
「ねぇ、金盛のお嬢様? 作者にとって、自分の作品ってのはね──我が子も同然なのよ」
「──女社長……」
コレが答えよ。それに、此処はゲームの祭典……聖地と言っても良いわ。
其処に、不完全なゲームを晒してしまった──
「──回りくどいお説教は沢山ですわ! そんな事よりも、早くどういう事なのかを教えなさい!」
…………そんな事より、か。
はぁぁ、コレはダメね。今、このお嬢様に何を言っても通じない。だから世間知らずだって言うのよ。
甘やかしの弊害、とも言えるわね。
「そんなに気になるなら、貴女のお爺様にでも訊いてみたらどう?」
多分、私達と同じ反応をするでしょうけどね?
それに──ほら。
──prrrrrrr、prrrrrrr!
丁度、お電話が掛かって来たみたいだし?
画面に表示されたモノを見て、青褪めるお嬢様。どうやら……予想通り、だったみたいね。
「──は、はい! お爺様!!! あのコレは、違うんですのよ! 私も良く意味が、え──?」
段々と、お嬢様の声が小さくなってゆく。
コレは……相当絞られているわね。多分。
「そんな!? い、いえ……はい、はい──分かりました、わ。直ぐに其方へ向かいます……」
と、通話を切るや否や──ギリッ!
人でも殺ったんか、という目で……何故か、私を睨みつけてくるんだけど……あの小娘?
私は関係ないわよ!? ねぇッ!!?
「ッ──このままでは、終わらせませんわ…………其処の害虫共々、覚悟しておく事ねッッッ!!!!!」
「はぁ!? 何で私ま──ッ」
『──上等だ。いつでも受けて立つ!』
ぅおいッ虫コラ──ッッッ!?!!?
「ちょッ!? 違うから、何で当然の様に私を巻き込もうとするのよ!?? ねぇーーーーーッッッ!?」
そして、私の叫びも当然のように無視され……
鼻息荒く、その場から立ち去るお嬢様。
本当に、本当にいつもいつも──ッ
──どうしてこうなるのよッッッ!??!???
私が、何を、した!??!?
「あ、キメラさんは……どうするんスか?」
『ん、帰るだけだが? 主が、何やら切羽詰まっているような気がするのでな』
と、擬態を解き無数の羽虫の姿になると……そのまま、虫ちゃんは黒い突風のように飛び去ってゆく。
こうして、一つの問題が終わりを迎えたのと共に、
もう一つの問題が……降りかかって来たのである。
■■■
『──主ぃ! 只今戻りましたぁ!!!』
「………………ぉん。( ´_ゝ`)」
ここまでお読み下さり、ありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ