やっぱゲームでshow──(前)
──『やっぱゲームでshow』当日……
■■■???■■■
「むがぁーーーーーーーーッッッ!?!!?」
『申し訳ありません。では、行って来ます!』
■■■社長side/ゲームブース■■■
「──ど、どうかしら二人とも? 何処か、変なトコとかは無い!? ちゃんと面白い!!?」
「社長、緊張し過ぎ……」
だ、だって──ッ! い、いえ……そうね、お、落ち着かなきゃ!!! ひっひっふ、ひっひっふぅ!
「はい! 絵も綺麗だし、操作もし易くてストレス無く遊べるかと──あ、龍鬽くん!!?」
「うぉッ!? す、すまねぇ佐藤!」
あらら……敵に突っ込んじゃった。
「うーん……もうちょい、接敵の範囲を狭めた方が良いかな? 避けやすいように……」
「あ、いや! す、すみません……オレがよそ見してたからなんで──せっかく誘ってもらったのに」
久遠くんは、暗い顔でコントローラーを置く。
──あぁ、コレは……さっきの会話をまだ引き摺ってるって感じね。まぁ、仕方無いけど……。
◆◆◆数刻前……◆◆◆
「さッ、着いたわよ!」
車から降り、三人に告げる。
「社長、二度と車に乗らない方が良いよ……」
「あはは……それにしても、大きな建物ですね?」
「うわ、人もスゲェな!? まだ時間でもねぇのに、もうあんだけ並んでんのかよ!??」
ホントにねぇ──お陰で車を停めるのも一苦労よ……まぁ、関係者用のトコだからまだマシだけど。
「はいはい、文句なら後よ後! 二人とも、渡しておいた名札を付けておいてね……じゃ、行くわよ!」
歩いて数分……関係者用の扉から、会場内へと足を踏み入れる。
ふぅ……相も変わらず広いわねぇ、此処は! ま、時間になればお客様で溢れ返るけど。
「じゃあ、ウチのゲームブースに案な──ッ」
「──あら、これはこれは百鬼コーポレーションの百鬼 千尋様じゃありませんの」
この耳障りな声は……アイツか……。
「あらあら、コレは金盛財閥の──ゲーム開発部総責任者の金盛 金芽様? 何のご用で?」
「──んなっ!? 喧嘩なら買いますわよ!!?」
あらまぁ、随分と余裕の無い事で……おほほほほ!
『お嬢様? どうかされましたか?』
「──ッ!」
あー、そりゃあ……コイツも居るわよね。
「え? 先せ──」
「──如月! 良い所に来ましたわ、貴方からも何とか言って下さいまし!!! この女が……みゅッ!?」
「ゑ???」
え? あの、何して──?
嫌味が来るのを身構えていたけど、え?
如月は、笑顔を崩さず……寧ろ微笑みながら、金盛の唇に人差し指を当て塞ぐ。
『お嬢様、その様に声を荒げては喉を痛めてしまいますよ? それに、今は挨拶に来たのでしょう?』
──ぇ? いや、誰この爽やかイケメン?
私……砂吐きそうなんだけど……???
何コイツ、我儘お嬢様に振り回されてストレス溜まり過ぎて壊れたの? 大丈夫、頭???
「そ、それは! そう、ですけど……でも!」
『お嬢様は忍耐強い方です。そうでしょう?』
ha? その我儘娘が???
『言いたい者には言わせておけば良いのです。お嬢様の実力さえ見れば、何も言えなくなるでしょうし』
──ね?
と、一層爽やかな笑顔をお嬢様に向ける如月。
コイツ ホントに どした!??!?
え──キモ。
やだ、どうしましょ……鳥肌通り越して、蕁麻疹が出て来ちゃったわ。
『あの──先程は、此方の総責任者が申し訳ありませんでした。「この女」などと……』
うわ、話しかけて来やがったわ。
「別に、気にしてないわよ……それより、アンタこそ何か私に言う事があるんじゃないかしら?」
あ"ぁもう! 私も女々しいわね!!?
『言う事ですか……そうですね──お互い、死力を尽くし此度の祭典、無事成功させましょう』
──ッ!
ニコリと微笑み、右手を差し出してくる如月。
「っぅ〜〜〜、もういいわ! みんな、行くわよ」
「──ちょ、社長!?」
「社長さん??!」
「…………ッ、どうなって……?」
私は半ば、その場から逃げるように──あの子達の声を背に、足早に離れる。
・
・
・
「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!!!」
やっちゃった……情け無いわ。
「はぁ、要約すると……お互い頑張りましょうって、随分と余裕だね先輩」
──う"ッ!
「それに、社長以外は眼中にも無かったし……蚊帳の外ってヤツかな? ははッ」
完全なるout of 眼中に、久保は苦笑する。
確かに、まるで今日会ったばかりの他人みたいな様子だったわね。アイツ……。
──もっとこう、何かあると思ったんだけどね。
「………………」
「……なぁ、女社長…………?」
ッ! 来たわね……!
さっき、如月に会った時──『?』って疑問に満ちた顔してたものね、久遠くん。
全く、ちゃんと説明くらいしときなさいよね!
「車の中に先生が居なかったワケとか……それに、さっきの女も──あれってどういう……?」
■■■かくかくしかじか……そして刻は戻る■■■
「はぁ──先生が、まさかそんな裏切りみてぇな事を」
と、言いかけて……止まる、久遠くん。
気付いた? アイツなら「する」って事に。
「……でも、それなら最近の先生の様子がおかしかったのも辻褄が合うか……はぁぁ」
まぁ、上がアレに変わればねぇ?
「そんなにおかしかったの? 最近の先輩」
そう、久保が訊くと……一つ大きく頷いて、久遠くんが話し始める。
「あぁ、最初はタマの事を吸ってただけだったんだがよ……後々悪化してきて──」
玉を吸ッ……???
「──ねぇそれ、初っ端からクライマックスぶち抜いてない? アイツ大丈夫???」
やっぱ壊れた線が濃厚ね……如月。特に良いヤツでも無かったけど、冥福を祈るわ。
「いや、その時はまだ先生にも余裕があったんだ」
マジで言ってる? 玉吸ってんのに!??
「──でも、少しして急に『猫の糞ってコーヒーになるらしいな?』って水でコーヒー粉を練ったモノを冷凍庫で固めて『じゃあコレはウ●コだな!』っていきなり爆笑して貪ったり」
「ねぇ、ソレ本当に先輩に余裕あったの?」
久保が青褪める。よかった、私だけじゃ無いわ。
「最近じゃあ、奇声に呻き声は当たり前で……」
あ、無視なのね──あとアイツ、ヤバいわね……。
「粉のプロテインをそのまま飲んで咽せたり、ゴリラって書いてある藁人形を壁に釘で打ち付けたり」
「猫の尻の匂いってストレス解消効果があるらしいなってタマの尻の匂いを嗅ごうとしたり……」
ぉ、おん──え? アイツ、キメ過ぎてない???
「あのゴリラぁッッッ!!!!! って、叫びながら、天井に張り付いてヘドバンとかもしてて──」
──悪魔憑き!?
なにそれアイツ、悪魔にでも取り憑かれたの!!?
退魔師呼ぶ!? それか……ハッ、危ないお薬とかに手を出したんじゃ無いでしょうね──!!?
「オレもキメラさんもどうして良いか理解らなくて、困ってたんス」
「取り敢えず、精神病院にでもぶち込みましょ」
良い病院でも調べて──あれ? でもさっきの如月は……?
ピン、ポン、パン、ポーン──
ん、放送? いったい何かしら???
『──開催まで残り10分です。本日、お越し下さいました皆々様……もう暫く、お待ちください』
ふぁッッッ!!???!??
えッ!? 嘘でしょ、もうそんな時間!!?
く、まだ話したい事はあるけど──一先ずは!
「全員、配置について! 何か問題があれば自分だけで解決しようとせずに報連相を心掛けなさい!」
小型の通信機に、指示を飛ばす!
あ。綾ちゃんと久遠くんはお客様だから、好きにしてて良いからね?
「──それじゃ、やるわよ!!!」
「は〜い」
『『『『『──応ッッッッッ!!!!!!』』』』』
一先ず、話は置いといて──
無事、この祭典を乗り切るわよッ!!!
ここまでお読み下さり、ありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ