…流れに……流れて……
■■■如月side/休憩所■■■
ふぅ……お嬢様に賭けを持ち掛けて、早くも数日。
祭典まで、残り僅か──。
ゲームは既に体験版が出来てはいるが、設置場所やら何やらと色々と準備が忙しい!
──はぁあああああぁぁぁ〜〜〜!
疲れた……何がとは言わないが──疲れた!!!
だが、漸く仕事の『し』の字程度には、お嬢様が仕事をし始めたのだ。
やはり、餌は偉大! ハッキリ理解んだね!!!
──コレなら、いける! 間に合う!
「お、如月くんお疲れ〜!」
ん? あぁ、確か──
「あ、はい。確か……●●担当の品原さんですよね、お疲れ様です! コーヒーブレイクですか?」
「あー、いやいや。コッチ」
と、胸ポケットから嗜好品を取り出す品原さん。
「成程、其方でしたか……」
「いやぁ、こういうのウチのお嬢様は煩いだろ? だから此処でコッソリとね……あ、バラすなよ?」
え〜〜〜?
「仕方ない、カフェインで手を打ちますよ」
「あはははは! 君、ちゃっかりしてるなぁ!!!」
と、品原さんは置いてある自動販売機で賄賂を買って手渡してくれる。ふむ、良い人だ。
……もし賄賂がカフェオレとかだったらお嬢様にチクッてたけど、約束通り黙っておこう。
「いやいや、青少年の肺を副流煙で犯すのを黙認するんですから……このくらいはね?」
「嫌な言い方するなぁッ君!?」
はははははッ、まぁね〜?
「はぁ、まったく……!」
「あれ? 吸わないんですか?」
胸ポケットに嗜好品を戻す品原さんに問えば、
「あんな事言われたら吸えないだろ! もう!」
と、苦笑いで返される──ふむ、やはり良い人のようだ。
「では、代わりに此方をどうぞ」
「ん、飴?」
ポッケから飴を取り出し、手渡しておこう。
「禁煙用にでも、ね?」
「君……ホントに良い性格してるよね〜!」
無論、甘さ控えめである。
「ま、ありがたく戴くよ……ふぅ」
品原さんは一つ溜息を吐くと、包装を外し、飴玉を口の中に放り込む。
そして、ソレを暫く口の中で転がした後──
「──にしても、君って凄いよねぇ……よくあんな面白いゲームを考えつくもんだ」
今回のゲームについて、話す。
「それは…………お客様に楽しんで欲しいので」
過去の自分がした事に対する、贖罪のようなモノでもある。
そう、確かに想っている。
でも、それだけじゃない──そんな綺麗な感情だけじゃない。
「あとは──負けたくないので」
寧ろ、コッチが本音だ。
もう、見誤らない。見誤りたくない。
二度と、人の想いを蔑ろにして数字にのみ固執したりしない。
あの時と、同じ過ちは繰り返さない。
「へ〜? それって、百鬼の人に?」
──あ、知ってたんだ。
「ま、そうですね。良い歳して恥ずかしいですけど」
ふ、オレも男の子だって話さ!
「──良いね〜! 青春だねぇ〜〜〜ッあ、でも」
ん……なんだ???
「それなら、お嬢様があのゲームにコッソリと手を加えたって噂は知ってるかい?」
「 ・ ・ ・ は ? ? ? 」
ナニソレ、如月、知ラナイ。
「知らない? 何でも、お嬢様がいま変に張り切っててそんで命令されて仕方なくって話だけど……」
「 は ? ? ? ? ? 」
あのゲームってアレだよな? もう体験版が出来てる……え? そこに手を、付け???
あのゲームの『ゲ』の字も馬鹿にして理解しないような、金髪縦ロールゴリラが手を付けた???
──ま?
こんなお前ッ、〆切ギリギリに!?? やらかそうと……いや、やらかしたかもだと!?
……ぶるり、と背筋に悪寒が奔る!
「すぅーーーッ、すみませんオレちょっと急用が!」
「あッ──まぁ、噂だから……その、ガンバ?」
・
・
・
・
・
ふッ──結論を言おう。
どうやらオレは、また、選択をミスっちまったらしいわ……あれ、目から汗が…………orz
──如月は 目の前が 真っ暗になった。
■■■社長side/社長室■■■
「お"わ"った"ぁ"あ"あ"あ"あ"あ"ッッ!!!!!」
「社長、テンションの赴くままに撒き散らかしたその書類──ちゃんと自分で片付けるんだよね?」
──あ。ウス!
「これでもう、缶詰にされる事も無いのね! あぁ、自由って素晴らしいッッッ!!!!!」
「はぁ、終わったのは祭典までの仕事なんだけど?」
むぅ!!!
「──それでも仕事が終わったのは事実でしょ! さぁ、飲むわよ!!! アンタも付き合いなさい!」
「やだよ。僕は帰って寝る」
ふふーん、さて社内放送もしなくちゃね!
『皆んな、お仕事お疲れーーーッ! と、いうワケで業務後打ち上げするわよ〜無論、私の奢りで!!!』
さて、お店の予約もしなくっちゃ!
──ふへへへ、楽しみね〜〜〜ッ!!!!!
「はぁ、たく! 良い歳して、あまりハメを外し過ぎないようにね?」
・
・
・
──おかしいわ。来る子はフロント前に集合って、ちゃんと伝えた筈なのに……どうして、
「どうして! 誰も! 来ないのよ!!?」
此処までお読み下さり、ありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ