退職届
──新章開幕!
■■■お昼/社長室■■■
「──社長! このゲームだが新たなバグが……」
「──社長! 此方の書類にも判を!」
「──社長! 給料上げろ!!!」
〜〜〜ッ!!!!!!!!!
「あ"ぁ"ーーーーーーーーーッッッもう! 理解ってる! 理解ってるわよ!!!」
山積みの書類に判を押しつつ、叫ぶ!
「──バグの件は全ての班に報告! 手が空いた子達の中にデバック経験のある子は居る!?」
「──はいコレ書類! 待たせちゃってごめんね!」
「──給料上げて欲しかったらその分働きなさい!」
忙しい! お昼ご飯を食べる時間も無いくらい、メチャクチャに忙しい!!!!!
「っと! ちょっと如月、優先順位の高い書類とそうじゃない書類はちゃんと分けて……あ」
「社長……如月さんは、先日会社を辞めちゃったっすよ。書類はすみません……オレのミスっす」
──そう、だったわね……。
「ごめんなさい上野くん……その、こんな事で怒鳴っちゃって──悪かったわ」
「あ、いや……オレのミスっすから」
「「………………」」
うぅ……部屋内が、静まり返る。
もう! それもこれも全部──如月の所為よ!!!
■■■昨日/社長室/夕刻■■■
「──はぇ? 如月……いま、何て…………?」
「今日限りでバイトを辞めさせていただきます。今までお世話になりました──と、言いました」
ッ!??
「なん──で?」
和かに笑う如月に、喉の奥が締まって声が出ない。
何で? どうして??? と、いう言葉ばかりが頭の中を覆い尽くして……何も言えなくなる。
「それは──」
……それは?
嫌なくらい心臓が強く脈打つ。
「──実は、金盛財閥のお嬢様に前々から声をかけて頂いていたので……コレを機に、と」
たっはー! と、腹立つくらい綺麗な笑顔を浮かべ、言い放つ如月。
──に、対して……
「は? 金盛……財閥の──お嬢様ですって???」
…………それはつまり……奴の事よね?
「はい!」
「…………ほぉ〜う?」
私、ここまで低い声出せたのね。驚いたわ。
「だから今日限りでバイトを辞めます。今までお世話になりました、一応、コレ退職届です♡」
■■■
──って、幸せそうに退職届を私の机の上に置きやがったのよね……あのゴミ。
「あんの裏切り者めぇ……よりにもよって、あんな世間知らずのお嬢様のトコになんて行きやがってぇ!」
呪う! 祟る!!! シバき●す!!!!!
それも、こんなクソ忙しい時期に!
態とか!? 態とね!!? 態とだろ!!???
「ちょッ、社長!? 書類を握り潰してるっす!」
「──え? あ"ッ!!?!??」
あーーー…………。
「しゃ、社長……一先ず、昼食にするっすか? オレなんか買ってくるっすよ、ね???」
「…………ごめんなさい。お願いしても、良い?」
はぁーーーーーッ! 一度、休憩でも挟んでリラックスしないとダメね。
このままじゃ、社長である筈の私が……一番の足手纏いになっちゃう。
「はいっす! 何が良いっすか???」
「えーとね……」
──プルルルル、プルルルルッ!
「あ、社長──電話が」
………………。
「社長???」
嫌々、ホンッッットに嫌々……電話を取る。
あぁ、ついでにスピーカーにもして──と。
『──おぉーーーーーーほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほッッッ!!!!!』
チッ!
「──うるさッッッ!?!!?」
『ご機嫌よう、百鬼コーポレーション社長──百鬼 千尋さん? 私、金盛財閥ゲーム開発部総責任者……金盛 金芽ですわ!!!』
ここまでお読み下さり、ありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ