修学旅行 〜終〜
誠に勝手ながら、次回の投稿はお休みします。
(ヒナ共が金一封を強請りに来るなんて言えない!)
次の投稿は1月7日ですm(_ _)m
──ふぅ、漸く! 漸く、帰って来れた!!!
■■■夕方/自宅前■■■
激動の修学旅行を終え……オレとキメラは現在、我が家の前で息を整えている。
「──本当に、帰って来れたんだな……オレ達!」
『はい! 此処が夢や幻の中で無いなら、我々は無事帰って来られたんですよ──主!!!』
互いに抱き合い、帰って来れたという安堵から──どちらとも無く、お互い感涙を流す。
「あの異世界から帰って来れたんだな!?」
『はい! 元凶となったジャバウォックも、今や主のモンスターです!!!』
結局、プレイヤー問題は何も分からなかったけど!
まま、エエわ──そんなのは後で調べよう!!!
今は、無事に帰って来れた喜びを分かち合いたい!
「もう、空飛ぶサメに襲われる事も無いんだな!?」
『はい! 此処はもうあの海ではありませんし、件のサメも空の彼方へ飛び去ったっきり見ていません!』
そうか! あのまま宇宙にでも行ってくれ!!!
でも何でカニ食いに行った連中を追いかけた先で、空飛ぶサメと戦う事になったんだ!?
ワケが分からねぇよ……オレ、何もしてない!
………………ん? ち、違うよ??? 確かに、奴らの乗った船を沈没させようとはしたけど──しただけで、未遂だし? ちゃんと踏み止まったから!!!
「じゃあもう──バカ共が唐突に始めた百物語で呼び出された悪霊が暴れる事も」
『──岩塩を投げつけといたので大丈夫です!』
「あのゾンビパニックも──」
『──元凶をシバき倒して「もうしません」と、血判押させたので問題ありません!』
「落下してくる巨大隕石も──」
『──砕きました!!!』
……そうか…………そうか……ッ!!!!!
オレ達、無事に帰って来れたんだな。
「キメラ──帰れたんだな、オレ達」
そう、最終確認するオレに……キメラは笑う。
『はい! ささッ、主……いつまでも外に居ては身体が冷えてしまいます、早くお家に入りましょう!』
と、身体中にカイロを貼りまくっているキメラくんが元気に言い──玄関のドアを開く。
すると──!
◆◆◆
「──あら境ちゃん、キメラちゃん! おかえりなさい、寒くなかった?」
「先生、キメラさん! おかえり!!!」
『なぁーん! にぃーーーッ!』
(ご主人様! おかえりなさいませ!)
と……母さん、久遠、変態が出迎えてくれる。
──あぁ、帰って来たんだな……オレ達。
それほど長く、家に帰っていないワケでもあるまいに……それでも、涙腺にウルッと来るモノがある。
「──あぁ…………ただいま!」
『ただいま戻りました、お母様!』
全く、恥ずかしいったら無い。無いの、だが……
「さっ、もう直ぐご飯も出来るから手を洗って待ってなさい。タッちゃん、荷物運ぶの手伝ってあげて?」
「ウス! さ、先生、キメラさん!」
『──ふるぅ〜〜〜、みぃ〜〜〜〜〜!』
(自然な戦力外通告、ありがとうございます!)
このありふれた日常が……幸せだと、そう改めて思うのだ。
たかだか、3日間ほど家に帰っていないだけで……
自嘲気味に笑いながら、オレは温かな我が家へと足を踏み入れたのだった。
◆◆◆MI・YA・GE◆◆◆
「そう言えば、お前はいつ帰ったんだ? 久遠」
「──え? あぁ、オレ達は先生と別れて直ぐくらいに帰ったっすよ。今回は旅行の下見ですし」
女社長もかなり疲れてたみたいですし……と、久遠が話す。
「じゃあ、土産とかはゆっくり見れなかったのか?」
「あー、そっすね……帰りとか結構バタバタしてましたし。女社長が時間を間違えたりして──」
──あ〜〜〜、まぁ……社長ならやりかねんな。
だが、そうかそうか。ロクに土産すらね?
「ふッ──では、そんなお前にコレをやろう」
「──へ!?」
ゴソゴソと、土産用の袋を漁り……ぉお、あったあった!
「はい、スタングレネード」
「え、と……あの?」
お前、好きだろ? こういうの?
「あとは仕込みグローブと──はい、スタンガン」
「──先生、オレどっかにカチコミに行くんすか?」
え? なんで……???
あッ! あとコレもだわ、催涙スプレー。
最近物騒だしね? こういうのも持っといた方が良いだろ、あ、万能ナイフもあったわ。
炬燵の上に並べられた品を見て、久遠は何故か複雑そうな表情を浮かべる。
ま、気の所為だろ! 若い子は、こういうの大好きだって相場が決まってるし!!!
「──以上だな。大事にしてくれよ☆」
なっかなかに良いお値段したのよ、コレ。
「…………スゥ〜、あの先生? その土産、まさか佐藤や女社長の分もあるんすか???」
「え? あるけど???」
綾ちゃんは勿論の事、あんなでも社長だって女性だしね? 身を護るモノは多いほど良いっしょ?
「綾ちゃんのはコッチのピンク色ので、社長のは大人っぽく紫にしました! どや?」
「………………ぁ、その…………流石に──」
『──おい、それは主が貴様らの為を想い考え選んだ品々だぞ? それを貴様……』
あ、炬燵の妖精キメラさんだ。チース!
「めっちゃ良いと思うっす、さすが先生!」
んぉ? そうか、流石はオレの舎弟!!!
土産の種類は数あれど──結局最後にモノを言うのは実用性よ、実用性!
二人の分は、家に直接お届けしておこう。
──ククク、驚くだろうなぁ〜!
ま、如月サンタからの早いクリスマスプレゼントとでも思ってくれれば良いさ!
「ほらタマ。お前にはこのご当地限定のチュー●をくれてやろう! ありがたく喰らうが良い」
『にッ!? に、にゃ〜〜〜ぉ!??』
(なに!? 何故、私だけ普通のモノなんですかご主人様ぁああああああああああああああああッ!??)
■■■──(その夜)■■■
「──ヘイ父さん!」
「お? 何だ何だ息子よ!?」
ぬっふっふっふ、仕事でお疲れの貴様に……良いモノをくれてやろうと言うのだ、感謝しろ!
「お土産は、如何かな?」
「──え、まじ? お前が、オレに???」
おい、モロ怪しんでます感を出すんじゃない! 心外ですよ、プンプン!!!
・
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「──なぁ、境ちゃん? 何コレ!!?」
「ん? 土産」
「いやそれは分かる! ありがとね!? でもさ、何このザラザラしたビート板みてぇのは!??」
……あぁ、そういう?
「ソレはえっと──あぁ、空飛ぶサメからボジって来たヒレだわ確か! フカヒレだよ、嬉しい?」
アレは激闘だったわ。ウン。
「空飛ぶ、サメ??? じゃ、じゃあコレは!?」
と、緑色の液体が入った試験管を手に持つ父。
──えぇっと、アレは……
「身体は腐るし理性は無くなるけど、その代わりに不老になるウィルス」
「ゾンビウィルス!?? おまッ、自分の実の父になんつーモンをお持ち帰りしてんだ!?!!?」
ちょ!? 投げるなよ、割れたらどうすんだ!
「あぶな!? もう! 気をつけてよね、父さん──岩塩でも食って落ち着けよホラ」
悪霊を祓った有難い岩塩だぞぉ〜〜〜?
「──塩分過多になるわッ!!!!!!!!」
ハッハッハッ、吠えるな吠えるな。
「お前なに! 修学旅行に行ったんじゃないの!?」
「──行ったよ。で、コレはその土産」
何度も言ってるでしょ、もう!
「なんで修学旅行に行って空飛ぶサメのヒレやらゾンビウィルスを土産に持ち帰って来るんだよお前もうマジでワケ分からないよもぉおおおおおお──!!?」
ここまでお読み下さり、ありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ
それと──明けましておめでとうございます!
皆様に笑顔溢れる一年でありますように!
ハッピーニューイヤァァアアアアアーッッッ!!!