修学旅行 〜怪異譚〜 終?
■■■修学旅行2日目/昼/レストラン■■■
『──アリス、アリス! コノ肉、美味イ!』
と、オレの皿からベーコンを咥えて愛しいハニーの元まで持って行くのは止めてくれませんかね?
『………………(モグモグ)』
──いや、お前も食うなや! 欲しいなら注文してやるからヤメテ!!! オレのご飯を取らないで!
「はぁ〜〜〜ッ! どうしてこんな事に……!!!」
「アンタがウチ来るか、なんて言うからでしょ? あ、このステーキセット頼むわね!」
と、社長。くッ、奢りだからって高いモノを!
──そもそもさ、おかしく無い?
今回、オレ無罪じゃん!
一目惚れされただけなのに、何でオレの責任みたいになってるの!? 納得出来ないんだけどッ!!!??
……オレだって巻き込まれた側なのに──ん?
え、結局あれからどうなったって???
そんなの、見れば分かるじゃん──愛が全てを解決しちまったんだよ。
あー、はいはい──ちょっと待ってね……。
ぬぉおおおおおおおおおお──ッッッ!!!!!
◆◆◆もわぁんもわぁんもわぁん……回想〜!◆◆◆
『──アリス、見ツケタ!』
と、ジャバウォック(敵の方)が吠える!
心無しか、尻尾をブンブンさせてメッチャ嬉しそうに見えますね。喉もキュルキュル言うとりますわ!
いや、アリス(オレ)に振られてから次のアリスを見つけるまで秒過ぎませんかね? 惚れ症なの?
『──グォ?』
ほら見て? オレのジャバウォックも「何言ってんだコイツ?」みたいな顔してるよ???
明らかに、今から戦おうとカチ込んで来たんだよ?
──まぁ、↑の時はオレも寝惚けてたからニコニコと成り行きを見てたけどさぁ……!??
「ぇ、あの……き、如月さん! 大丈夫ですか!?」
ほら、綾ちゃんも混乱してる!
来るタイミング間違えちゃった──みたいな、顔してるよあの子! オレは大丈夫だよ、ありがとね!
「あれ、綾ちゃんと田中……? どうしたの、そんなに慌てて──何かあった???」
ハイ! こう抜かしたのは当時のオレです!!!
──ごめんね!? もうホントに当時はアレだったの、頭君が働いて無かったのッッッ!!!!!
「──え? あの……その…………」
「あれ? 助けに来たんだけど、もしかして……もう終わってた──恥ずかしいヤツ?」
あの田中でさえ、こう訊いて来たからね!
…………空気がね、凍ってたの。
「うわぁ……コレは、キツいわね」
「うん。わざわざ助けに来てくれて何だけどね……」
「なんだろ──今、メチャクチャ申し訳無ぇっす」
『うわキッツ! この空気辛ッッッ!!!』
『貴様が言うな!!!!!』
『おいジャバウォック……この際、何故来たとは訊かん──とりま、さっさとソイツとエンダァして来い』
そうすれば、全てがまるっと収まる。
と、言い放ったのは我らがキメラくんだ!
もうコイツほんと……キメラだな!!!
『──グルォ!?』
『アリス、アリス! アリス、ドンナ世界好キ? 頑張ッテ作ル、ダカラ──ッ』
──番、ナッテ!!!!!!!!
◆◆◆
こうして……この怪奇事件? 怪奇ロマンス? は、幕を閉じた。
どうやら、オレ達が居たあのホテルも……このジャバウォック君がスキルを併用して作ったモノらしく、
ジャバウォック君の恋が成就すると共に──
──オレ達は、元のホテルへと帰って来たのだった。
………………真昼間にね。
あ? なんだよ???
笑いたきゃ、笑えよ。
あの偽ホテルに取り込まれて、そんで更に別の世界へと連れ込まれて……帰ったら昼だったんだよ!
しかもな──オレは全裸で帰還した!!!
そらそうだ……あの服は、ジャバウォックがオレにスキルで作ったモノ。
そのスキルが解けたらどうなるか──分かるな?
魔法が解けたシンデレラ状態だよ糞がッ!
あ"ッ──社長?
奴は……あの野郎はあの世界に連れ込まれた時に服を着てたでしょうがッ!
つまり、全裸帰還は……オレだけさ!
あーはっはっはぁあ──笑いたきゃ笑えよ!
オラ来い! もういっそマジでジャバウォックの世界に閉じ籠ろうかな???
んで、其処からは隠れる&忍び歩きを両方criticalで乗り越え……何とか、豚箱エンドは免れた。
そして、今に至るのだ。
取り敢えず──
連れ帰ったジャバウォックと、元からオレの手持ちだったジャバウォックには小さくなってもらい、
朝飯──基、昼飯中である。
どんなに悲しくても、怒り狂っててもね……
──腹は、減るんですよ。
あ、またベーコン取られた!
「あ、すみません! ここから、ここまで全部お願いしまーす!!!」
「ちょっと田中、お腹壊すよ!?」
………………ふ、ふふふふふ(^^#)
い、良いよ良いよ?
お前は今回、綾ちゃんと二人で頑張ってくれたらしいからさ? オレ、許すよ。
でも──
この後──オレらを置いてカニ食いに行った教師共と同級生共を追い掛けなきゃならんけど、大丈夫そ?
「すみません、如月さん……」
「自分の分は自分で出すから、安心してくれ先生!」
「すぅぅ──全部オレが出すから、いっぱい食え!」
心が──心が、洗われるようだ。
こんな良い子達を育ててくれて有難う御座います! お子さん達は立派に成長してますよ( ;∀;)
『マ? ゴチになります!!!』
『ッ!? まだ居たのか貴様!!?!??』
『主、主ッ! この蜂蜜たっぷりのパンケーキタワーと言うモノをお願いしても良いですか!!?』
………………い、イイヨイイヨ〜(^^###)
「ふふふ、アイツの財布の中を焼け野原にしてやるわよ……さ、ティアマトちゃんは何が良い?」
『じゅるり………………( °¬°)つ』
ッ…………そ、それは!?
「ふむふむ──この厚切りステーキのトリュフ添えが良いのね? じゃあ私は追加で……」
「じゃあオレもついでに──」
『あ、これも美味しそうですよ主!!!』
──ゥゥ〜〜〜〜〜ッッッ、も、もうマジで勘弁してくれぇええええええええええええッッッッッ!!!
………………あれ?
そういえば、このジャバウォックの持ち主って結局誰だったんだ──?
あの使い魔は、雪山でジャバウォックと出逢ったと言っていたが野生モンスターは現実には現れないし。
──ん?????
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