修学旅行 〜怪異譚〜 15
「──ティアマトちゃん! 白の女王の動きを止めるわよ、触手攻撃!!!」
『(#ノ°Д°)ノ』
『──クぅッ!?』
ティアマトちゃんから白銀の触手が伸び、白の女王を拘束しようと動く。
……女王様を拘束しようとする……触手……か。
ふぅッ──( ´_ゝ`)
「…………社長……女王様を触手で拘束って──そういうアブノーマルプレイはちょっとどうかと……」
ニュルニュルで、つやっつやの触手が……女王様に絡み付いて──ンもう、やぁ〜〜〜ねぇッ!!!
想像するんじゃ無いわよ、男子ぃ!
──へ? オレ???
ンなもん想像するに決まってんでしょ!? オレ、これでも健全な男の子だもの! そりゃ想像するわよ!
『ゥ、グぅ!』
『???( ・ω・)???』
「ねぇ──如月、アンタ随分と余裕そうね? アンタも拘束してあげましょうか?」
え? それって──つまり……?
「──社長……すみません。その…………申し上げ難いんですけどオレ、ノーマルなんです!」
すみません……だから、そういうのはオレ以外で。
「ねぇ、マジでそれっぽく言うの止めてくれない?」
だって、ねぇ? オレ、ノーマルだし……。
『──衛兵! 来なサい!!!』
「ほら! 衛兵呼ばれちゃったんだけどッ!??」
と、社長の叫びと共に……白銀の鎧を身に纏った兵士達が、大きな扉より入場です!!!
…………こういう玉座が置いてある部屋って何て言うんだろ──玉座の間? で、良いのかな?
ま、良いか! 知らんけど!!!
──ゾロゾロと砂糖に群がる蟻みてぇに玉座の間に入場してくるんだけどコイツら……どうしよっかな?
「──社長、大変だ! 敵に援軍っすよ!!!」
「見りゃ分かるわよッッッ!!!??」
あっそ。じゃ、そのまま女王様の相手宜しく!
お、援軍の中に帽子や猫……幼虫の姿も見えるな。
こりゃ、相手さんは結構キレてると見て良いな。キャラを総動員して物語の崩壊を止めに来たか……。
くっくっく──面白い。
口角が上がる。
背中の剣を抜き、両手で、そぉ〜れ☆
「──ふぁッ!? ちょ、如月!!?!?」
そのまま、ぶん投げる!
剣……お返ししまっせ、敵さん☆
ついでに、入口も崩しておきましょ〜ね!
「そして、来い──『お前達』」
ハイ、影組集合〜〜〜ッ!!!
総動員には総動員を!
──全面戦争と洒落込もう!!!
「は!? アンタ何でモンスター居るのよ!??」
「護衛用のモンスターを影に潜ませてたからですけど? ほら、最近物騒でしょ???」
パラサイトは今休暇中だからね! その分、護衛の数を増やすのは当たり前でしょうよ!!!
「じゃ☆ コイツら貸すんで、オレはこれで。シャドウゴーレム、『穴』よろしく!」
「──ぇ、はぁ!?? はぁあああああッッッ!?」
全面戦争とか言っといて何ですけど、オレは足手纏いにならない様に隠れてますね! ヘコヘコ!!!
剣はさっき棄てちゃったしね!!!
まるで沼の上に立つように、影の中にズブズブと沈んでゆく身体……。
では──アイルビーバァァァック! Σd( ̄  ̄)
「──如月ぃいいいいいいいいいッッッ!!!!!」
■■■赤の城/庭園■■■
「──女王様、ローズティーです」
「ふむ、ご苦労。して、白の軍はどのように動いておる? 殲滅は進んでおるか???」
忌々しき白の女王率いる白の軍……愚かな民共は、奴らを救いの象徴などと呼び扱っておるが──
「はい、女王様。全ては女王様の仰せのままに」
「宜しい……ふふ、妾の法に背く者は悉く、処刑しなければならんからな」
──奴らなど、所詮は愚か者の集まりに過ぎぬ。妾こそがルールであり、世界なのだ。
カップを傾け、喉を潤──
「──女王様! 報告致します!!!」
「ぶふッ──あっつ!?」
「あ、すみません。で、報告なのですが」
『で』!? 『で』って、はぁッ!!?!?
おまッ、この妾を驚かせ火傷させておいて『で』って言うたかこのヤロウ!?
「で? 報告とは何ですか???」
──メイド!?? お前もか!!???
「はッ! 敵兵が攻めて来ました!!! 宣戦布告とか一切無しっすよ蛮族ですよマジで!」
「軽ッ! お前、妾──女王ぞ???」
もっとこう、緊張と言うか……ないの?
「はい。知ってますが?」
「あ、もういいわ。お前、処刑な?」
何故!? と、悲鳴を上げる兵士だが、いや寧ろ何故分からないのか……普通分かるだろ。寧ろ分かれ。
「まあまあ、それで敵の情報は?」
「──まあまあ!?」
え、コレ……妾がおかしいの???
「あ、はい。白銀の鎧を身に纏った兵士と、見た事の無い魔獣を引き連れた者が二名ほどです!」
ほぅ……白銀の鎧を纏った兵士は、おそらく白の軍の者であろうが──魔獣とな???
「では──」
「──では、貴方は女王様を連れ安全な場所へ」
あるぇ? お前が指示出すの、メイド???
「兵達には、私が前線へ赴き直接指示します」
「うん、色々おかしいな??? え、なにお前、そういうのが得意なタイプのメイドなのか?」
「──ふ、『千人殺しのメイドちゃん』とは何を隠そう私の事ですよ女王様」
「いや知らんが?????」
そんなドヤ顔で言われても──。
「まあまあ、ではサッサと行きますよ女王様!」
「──う〜ん、不敬ッッッ!!!!!」
コイツ、後で絶対処刑しよう。
そう、妾は心に決めた。
◆◆◆〜〜〜隠し路〜〜〜◆◆◆
ピチョン、と薄気味の悪い水音を聞きつつ……暗い隠し路を歩いて行く。
「──くそ、なぜ妾がこのような場所を歩かねばならんのだ」
そも、敵が少数ならば城の衛兵共だけでも対処できたのでは無いのか???
わざわざ、この様な場所で……ネズミのように隠れ移動する必要など本当は無いのではないか?
そう、問うておると言うのに……。
「………………」
なぜ、コイツは黙ったままなのだ???
思えば、さっきから身体もおかしい。感覚が鈍いし気分も悪い……これはいったいどういう──?
「──毒ですよ。漸く、効いてきたみたいですね?」
「なに? なにを言って……ッ!」
ッ──足が!?
「おっと。大丈夫ですよ、まだ軽めの毒なので」
「──っ」
毒など何時……?
「分かりませんか? 飲んでたでしょ、さっき」
「さっ、き???」
さっき、飲んでたモノ……ッ、まさか!?
「──気付いたみたいですね? 感謝して下さいよ、最初から嘘を付けなくする方でも良かったのに……」
ニヤリと、兵士の口角が上がる。
「わざわざコッチにしてあげたんですからね? それで、質問なのですが──」
・ ・ ・ 主 は 何 処 だ ? ? ?
ここまでお読み下さり、ありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ