修学旅行 〜怪異譚〜 12
──グニャリ、と視界が歪む中……気持ちの悪い浮遊感と共に──何とか、地面に着地する。
『何見とんじゃワレェ!』
『いてこますぞゴラァ!』
『ギャフン言わせたるからなギャフン!』
で…………何この、可愛くも無い人面花共。笑顔でめっちゃ暴言吐いてくるんだけど?
「──ぁんッ!?」
『捻り潰してやろうか雑草共。私は今、機嫌が悪い』
あー……態度は、コッチもトントンだね。
凄んでた花の茎を指で掴み、ウ●コ座りで冷たく吐き捨てる一人と一匹。
『答えろ。此処に男と女は来なかったか?』
花の茎を掴んだまま、そう極悪顔で問う虫くん。
『ひ、ひぃッ!』
『マジ調子乗りましたすんません!』
『いやぁあああ誰か助けてぇええええええッッッ!』
『──私は、答えろと言ったんだが???』
悲鳴を上げる花に、虫くんは尚も問──ッ!?
「──虫くん!」
『なッ!?』
「ッ、防げ! バハムート!!!」
瞬間──ッ!
間一髪で舎弟くんの召喚したモンスター……バハムートが、虫くん目掛けて振るわれた刃を受け止める!
『──ッ、おのれ!』
く、速い!?
「ミシャンドラ、バアル!!!」
まるで突風のように、何かが物凄い速さで攻撃を仕掛けてくる!
『おいクソ虫、私が炎で敵の動きを止めてやる! ミシャンドラは剣撃、合わせろ!!!』
『く──私に命令するな割引悪魔!』
バアルが周囲に火を放ち、ミシャンドラは腕を剣に変えて相手を追い詰める様に斬りかかる!
『其処かッッッ!』
『──ぐゥッ!?』
更に其処へ虫くんの追撃……解けるように、虫くんの腕が無数の粒子へと変化し、相手に纏わり付く。
『──白のナイトさまぁ!』
『熱いッ熱いッッッ!!!』
『助けてぇえええええッ!』
…………白の……ナイト?
『──調子に乗るな!』
『ぐぁあああああッッッ!?!!?』
耳を劈くような悲鳴と共に……何かが、虫くんの直ぐ近くで土埃と共に倒れ伏す!
『ッ、おのれ……無辜の民をよくも──邪悪なる赤き女王の手駒共め!!!』
最期に、そう言い残して──白銀の鎧に身を包んだ男?は、意識を手放したのだった。
というか……邪悪なる赤き女王って、まさか?
■■■
『──むふぅ〜〜〜ッ、久しぶりに婆さんに逢えた。そして尻を……ウヒョヒョヒョッ!』
「もう、私……お嫁に行けない──!」
ガチ泣きしている社長と、ご機嫌に悶えていらっしゃる幼虫。これは、まぁ──ドンマイ!
「マジでドンマイ。お疲れっした、社長」
「コレで何も情報無かったら──あの虫……タダじゃ済まさないわ。あと如月も……!」
!?──おい待て何故オレまでッッッ!!?
『それで爺さん、訊きたい事があるんにゃけど?』
『おーおー、今なら何でも答えてやるぞい! 言うてみぃムヒョ〜ヒョッヒョッヒョ!!!』
と、ご機嫌な幼虫。
………………と、
「このうらみはらさでおくべきか──ッ」
その幼虫と……何故かオレを殺意マシマシに睨みつけてくる社長。だから、何故オレまで!?
『実は──かくかくしかじか……にゃ!』
『ほぅ? 其処の娘と、婆さん似の白ウサギは別世界の住人じゃと……そういう事か???』
ンッ!? 娘? いま、娘言うたかこの虫!?
プハァ〜〜〜ッ、と、タバコの煙を吐き出す虫!
『そうらしいにゃ。で、元の世界に帰る方法を探しているそうにゃ……何か知らんかにゃ?』
すぅ〜〜〜ふぅ〜〜〜〜〜。
落ち着け。先ずは、落ち着け? オレ。
ステイ、ステイステイ。こんな格好してるから仕方無い。落ち着こうなぁ、オレ!
ボコるのは後……ボコるのは、話しを聞いた後だ。
手を出すのは、用済みになってから。用済みになってから手を出すんですよ如月くん!
大丈夫。オレ、ちゃんと我慢できる子だから!
「ふぅ〜〜〜ッ、ふぅ〜〜〜〜〜ッッッ!」
大丈夫……大丈夫…………。
「アンタ、鼻息荒いわよ? どうしたの、お腹でも痛くなった???」
「大丈夫です。ボコるのは不要になってから……!」
「──なんでアンタがキレてんのよッ!?!!?」
いや、今……改めて思うと──ね?
なんでコイツら、ナチュラルにオレを女性として認識してんだってさ???
──我、男ぞ???
『うむぅ……残念ながら、ワシには何も理解らんの』
「──千尋さん、あの虫……良いタンパク源になると思いませんか?」
ほら、プリプリしててさ? ねッ???
「私は食べないけど──そうね? 下処理なら、手伝ってあげるわ」
あざぁーす! じゃあ、さっそく──ッ!!!
『──じゃが、白の女王様なら……何かご存知かもしれんの? どれ、城まで案内してやろう』
………………は? 白の女王様???
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