修学旅行 〜怪異譚〜 11
「──大丈夫、社長なら出来ます!」
そう、ムッチムチの幼虫を手に社長に迫る。
「巫山戯んじゃ無いわよ! 何が楽しくてそこのエロ虫を抱きしめてやらなきゃなんないの!?!!?」
◆◆◆〜〜〜時は少し遡る〜〜〜◆◆◆
『──だ・か・ら! チェシャだにゃ!!!』
『知らん!!! 詐欺には引っかからんぞぉ!?』
と、言い合いを続けているメ●ルーと幼虫。
「おい、メ●ルー。ホンッッットにこのボ──幼虫が物知り老人なのか??? 嘘付いてない?」
『ホントだにゃ! あと、チェシャだにゃ!!!』
ホントに??? じゃあ、もう少しだけ待つね?
『ア°ーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!』
帽子男の悲鳴が、森の中に木霊する。
うーん……でも待ち時間って暇なんだよな。社長とでもお喋りしてようかな?
「如月……アンタ、バックブリーカーなんて何処で覚えて来たのよ? その人、白目剥いてるわよ」
「ん? 技は一通り嗜んでますよ。それよか社長、また直感みたいの来ません?」
待つの……ダルいんすわ。
敵側から明確にアクションが無いって事は、今はこのまま物語通りに動けと言う事。
別に従ってやる必要は無いんだが、変に暴れてリスクを背負うのもバカらしい。
──つーか、時間とか今どうなってんだろ?
朝食を食いそびれるのだけは勘弁願いたいんだが、早く物語を進行させてくれねぇかなぁ……。
だが、敵側がオレ達を此処に閉じ込めたがっている場合──此方からアクションを起こすべきか?
『──くどい! 詐欺なら他所を当たれ!!!』
『だから詐欺じゃないにゃッ!!!!!』
はぁ……どうすっかなぁ〜〜〜?
タバコの煙を撒き散らしながら怒鳴る幼虫と、それでも尚話しをしようとする猫。
側から見るだけなら可愛い分、乱暴するのはなぁ。
「そんな事言われてもねぇ……あ、そうだわ!」
と、何か閃いたらしい千尋さん。
「何すか? 特に期待していませんけど、言うだけ言ってみて下さいオレが許可する」
「──アンタ何様よ? まぁ、いいけど……それで、あの幼虫なんだけど」
幼虫なんだけど……?
「私の色仕掛けで魅了して情報を──って、何よアンタ、その顔は???」
「社長、虫にも相手を選ぶ権利はあるんですよ」
それを、アンタ──。
「──どういう意味よ如月ッッッ!!?!?」
「言葉通りの意味っすよ、頭イカれました?」
マジでほんの僅かにとは言え期待したオレの純心を返して欲しい。切実に。
「アンタが辛気臭い顔してるから元気づけて──」
『──さっきから人の家でなぁにをビービー言うとるんじゃ! もうちっと静かにせ……ぃ…………?』
いや、家って──周囲一帯、木しか無いが?
つーか、どした? 何か、社長の顔見たまま……幼虫がフリーズしたんだけど???
「ぇ、な、なによ??? なんでコッチを見……あ、もしかして私に惚れちゃっ──」
『──ば、婆さんッッッ!!!!!!!!!』
「「『──は?????????』」」
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・
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「え? つまり、その……亡くなった奥さんに、ぶふッし、社長が似てる──と???」
『似ておるどころか生き写しじゃあ〜〜〜!』
──ッゥ〜〜〜〜〜www
『婆さんはな、ワシらの中じゃマドンナと言われておってなぁ……それはそれは、良い女じゃった』
「ん"ッ! そ、そうですか……」
幼虫界のマドンナの生き写し──社長が。
今度、キメラには社長がどう見えてるのか訊いてみよっと。
「如月、アンタなに笑ってんのよ? 言いたい事があんならハッキリ言いなさいよ●すわよ???」
『あぁ、気が強いところも婆さんソックリじゃ〜!』
む、無理www
幼虫が涙目で、社長を婆さんって──
しかもそれがマドンナてww
「スゥ〜ハァ〜〜〜、いや、何でも無いでぶふッ!」
「──●すわ」
あ、やめて!
そんな目で見ないで婆さん!!!
せっかくのマドンナがッ、んふ、そ、そんな顔しちゃ台無しにンッ、ひひ、な、なっちゃう!
社長から繰り出される拳を手で受け止め、力を拮抗させて抑える。
ふぅ〜〜〜、頑張れぇオレ。
腹筋さんが悲鳴上げてるけど、大丈夫大丈夫。まだいける、要は気持ちの問題だ。無問題。
『にゃーにゃー、爺さん』
お、メ●ルーがいった!
『む! まだ居ったのか、ワシは今忙しいんじゃ』
『まぁ、聞くにゃ。そこの白ウサギがにゃんでもするから、教えてほしい事があるって言ってたにゃ!』
め、メ●ルー! お前──ナイスかよwww!?
「──は?」
『な、ななななんでも!? 何でもじゃとぉ!!?」
『にゃぁ』
『そ、それは乳をさわ……いや胸でパフパフ──や、優しく抱きしめてもらうとかもOK!?』
「あ、良いですよ許可します」
「──は???」
■■■と、いうワケで冒頭に戻る■■■
「──社長、言い出しっぺの法則ですよ。魅了した責任はちゃんと取らないと」
『ハァハァッ、ふぇひひ……ッ』
ウゴウゴと、妖しく蠢く幼虫を手に──オレは社長の元へと歩みを進める。
「ひ、いやッ! やめて、コッチ来ないでよ笑いながらにじり寄らないでッッッ!!!??」
──情報の為だ、社長……諦めろ。
「帽子、メ●ルー──ちゃんと社長を押さえてろよ」
『バックブリーカーは嫌だバックブリーカーは嫌だ』
『任せにゃ! あと、チェシャにゃ!!!』
「は……HA・NA・SE☆」
お、まだ余裕あるな社長?
「余裕ありますね、社長。じゃ、お爺さん……じっくり楽しんで、尻までなら許すって本人も言ってますんで」
『尻!? 婆さんの尻ッ!!? ふぉおおお──ッ』
はいはい、暴れない暴れない。じゃ、いくぞー。
「は? 尻ってどういう──い"や"ぁ"あ"あ"ああああああああああああああああああッッッッッ!!!」
ここまでお読み下さり、ありがとうございます! 宜しければ是非ともブクマなどをお願いします(゜∀゜)ノシ
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それと前話の訂正点についてですが……はい、またこのオカメはやっちまったんです。
ケルベロスのスキル名は『地獄の門番』では無く、『地獄の番犬』でした。申し訳ありません。
現在では、訂正済みですが……本当に申し訳ございませんでした。
今後とも気を付けて参りますので、これからもオカメ作品を楽しんで頂けましたら幸いですm(_ _)m
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約束は約束……ふんッッッ! ( ●・∀・)ノシ=●