修学旅行 〜怪異譚〜 3
「──な、何よ……コレ…………?」
「鏡。その残骸」
んなの理解ってるわよッッッ!!!!!
「じゃなくて! 私が訊きたいのは、どうして私達を襲って来たフロントマンが鏡になったのかで!」
ッ、頭が混乱して言葉が上手く見つからない。
そんな私の混乱中の頭に、久保は容赦なく更に混乱するであろう言葉を叩き付けてくる──!
「──社長、それ逆だよ。フロントマンが鏡になったんじゃない……鏡がフロントマンになったんだ」
「…………へ?」
「ッ、やっぱり……!」
「オレらが見たのは、マジだったって事か!?」
え……綾ちゃん? 久遠くん???
久保の言葉に、私は素っ頓狂な声を上げるが……
綾ちゃんと久遠くんは、お互い顔を見合わせ、別の意味だろう声を上げていた。
──あ、コレ私だけ除け者パターンね???
『フッ……乙』
と、イマジナリー如月が肩をポンと叩く。
………………泣いてない。私は、泣いてないから!
「──社長は兎も角、佐藤ちゃんと舎弟くんのその様子……何か見たんだね?」
……ねぇ? ナチュラルに省くのやめて???
言葉がね、メチャクチャ痛いのよ。それ。
「…………はい」
「あ、ああ」
私の複雑な心境を無視して……頷く、二人。
『フッw 気wにwすwるwなwよwww』
ねぇ、誰か……この糞イマジナリーの消し方教えてくれない??? コイツ消し炭にしたいんだけど?
「──その、鏡から……出て来たんです。そこのフロントマンさん達、全員」
………………は?????
え? ちょっと待って???
鏡から……人が、出て来たって──もしかしなくてもそう言ってるの!? マ???
綾ちゃんは、そう言って壁の姿見を指差す。
「──此処から、その人達が出て来たの?」
「あ、あぁ。最初は、見間違いだろうと思ったんだけどよ……違くて。気付いたら、囲まれちまって」
綾ちゃんと久遠くんの話しを聞きながら、久保は物怖じせず件の鏡に触れる。
コ イ ツ 正 気 ! ? ! ? ?
何で今の話しを聞いて躊躇なく触れるの!?
アンタ恐怖って感情をご存知無いの!!? いったい何処に置いてきちゃったのよッ!??!?
「……やっぱり、普通の鏡だね」
いや、普通の鏡じゃなかったらアンタどうするつもりだったのよ!?
しかも何でちょっと残念そうなのよコイツ!??
「でも一応、コレも割っておこうか……ミシャンドラ」
そう言うが早いか、現れた黒い影──ミシャンドラはそのレイピアのような腕で鏡を叩き壊す!
一応、ソレ……このホテルの備品よね?
躊躇なくヤッたけど???
「これくらいバラバラにしておけば、多分出ては来られないと思うし……情報交換でもしようか」
フッ、と此方を向き──小さく笑い言う、久保。
……コイツ、こんな男前な奴だったっけ???
◆◆◆
「──てなワケ。まったく、参っちゃうよね!」
プリプリ怒りながら、事のあらましを話す久保。
いや、『参っちゃう』の一言で済ませるの?
だって、え?
話しを聞く限り……
変な不快感で目が覚めたら、同じ部屋で寝ていた筈の子達が居なくなっていた。
↓
連れションにでも行ったのか、と顔を洗っていると鏡からその子達を模した何かが這い出て来た。
↓
うわ、気持ち悪ッ。と、鏡を割る。
↓
ついでに、その子達の偽物も撃破。
↓
取り敢えず、朝の支度も終えたし……この異常事態を先輩♡に報告するか。
──って、事でしょ?
こんなアレな体験をしておいて……それをアンタ参っちゃうの一言で良いの??? うせやろ?
「それにさ、先輩に報告しようと思ったのに部屋に居たのが田中だけとか……しかも泣きついて来たし!」
「いやぁ……お恥ずかしい…………!」
と、久保の言葉に頬を赤らめる田中。
アンタ達……ホントに、それで、良いの???
「というワケで、先輩を捜してるんだけど知らない?」
と、笑顔で訊ねてくる久保。
ふ…………ホラーっていったい何なのかしらね?
なに? 無敵なの、コイツ???
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